管理職向け研修を数多く担当させていただいておりますが、若手の離職にはかなりナーバスになっているようです。先日も受講生から、
「初めて退職代行業者から若手の離職の連絡をもらいました。こんなこと、本当にあるんですね。ショックでした」
「若手を配属してもらっても辞められてしまったら、僕らのせいだと上に責められるんだろうな」
といった言葉が出ていました。
管理職の仕事は、なかなか大変な時代になってきています。そんな若手からの離職の申し出は、出てきた時には“時すでに遅し”のことが多く、離職を留まってもらえることはほとんどないようです。
そんな突然やめてしまう若手の現状に対して、上司としてはどのような関わりをしていったらいいのでしょうか。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
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若手が離職を考えるタイミングを4つのパターンで考える
若手が離職を考える職場として、2つの対象的な職場を理解しておく必要があります。一つ目の職場は、若手に対して自律的な成長を求め、自分で考えながら残業も厭わず仕事をしてもらおうといった職場です。この職場では、若手の反応は大きく次の2つのパターンに分かれます。
パターン1:仕事を任せられる職場だからこそ忙しいけど、自分の成長を感じられる。
パターン2:仕事量が多くて、自分で考えていかなければならないので忙しく、ワークライフバランスが保てない。
離職を考えるタイミングをパターンごとに考えると、パターン1では、仕事に慣れてしまい成長実感を持てなくなった瞬間。パターン2 の場合は、忙しすぎてワークライフバランスをこれ以上保てない、という瞬間になるでしょう。
二つ目の職場は、若手のワークライフバランスを尊重し、残業のない優しい職場です。この職場でも、若手の反応はとしては、大きく次の2つのパターンに分かれていきます。
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パターン3:ワークライフバランスが保てていて、とても居心地の良さを感じられている。
パターン4:ワークライフバランスは保てているが、職場が優しすぎて自身の成長を感じられない。
こちらも離職を考えるタイミングは、パターン3の場合は、立場が変わり仕事への責任と負荷が上がりワークライフバランスを保てないと思った瞬間。パターン4の場合は、学生時代の同期と比べて、自身の成長の鈍さの現状に焦りを感じた瞬間になります。
それぞれのパターンの離職兆候に気づき、関わりを強める
管理職としては、上記の4つのパターンに気づき、個別の対応をしていく必要があります。以下、それぞれのパターンの離職兆候と対応についてまとめていきます。
■パターン1
離職兆候:仕事を自身で回せるようになっている反面、仕事が単調な作業に思えてやりがいを見失い、仕事が終わるとぼーっとしている瞬間が増える。
管理職としての対応:1ON1等で現状への思いを傾聴し、能力を超える背伸び仕事を与えていきましょう。
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■パターン2
離職兆候:仕事が忙しくてワークライフバランスを保てないと感じるとともに、仕事をやり遂げることに自身の能力の無さを感じ出すと、新しい仕事に消極的になっていきます。また、「わかりません」と言った言葉も増えていきます。自身の力不足を感じ、体調不良を訴える方もいらっしゃいます。
管理職としての対応:新しい仕事に取り組むことによる成長実感を、こまめなフィードバックによって醸成していきましょう。成長していることや能力が上がっていることへの声かけが大切です。社外の研修に参加してもらうことも有効です。
■パターン3
離職兆候:後輩等ができ、求められる役割変化により仕事が忙しくなっていくとワークライフバランスがこれまでのように保てなくなっていきます。するとその日の仕事が終わっていないのに帰宅してしまうことが多くなります。離席が増え、有給休暇の申請数が増えていきます。
管理職としての対応:変化した役割に求められる能力向上の場を用意していきましょう。能力が上がれば、ワークライフバランスが再度戻ってきます。タイムマネジメントスキルやパソコンスキルなど、業務遂行に必要なスキルを獲得させることも有効です。
■パターン4
離職兆候:急に本を読み出しり、終業後の社外勉強会等に参加するようになります。学びの姿勢は歓迎できるのですが、他の会社の魅力を感じやすくなっていきます。ランチを一人で食べるようになったり、以前は参加していた飲み会に欠席するようになったりします。
管理職としての対応:1ON1等で現状に対する不満を傾聴し、仕事を通した成長を感じられるように、少しずつ負荷の高い仕事を任せていきましょう。
以上、今回は若手世代の4つのパターン別に、「退職の危機」を事前に察知し、職場の定着率を高める関わり方についてご紹介してまいりました。人の心は複雑であり、この4つのパターンに必ず当てはまるとは限りませんが、若手の離職防止の一助としてください。
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