名古屋市の東山動植物園で、 11歳と2歳のアジアゾウ姉妹が見せる仲良しぶりが熱々かつ“圧々”で、「名古屋遊び」と呼ぶ人もいます。地面に転がって踏んだり蹴ったり乗っかったりと満足そうですが、観覧側からは「仲良しなんだ」「重そう…」「楽しそうだけど何してるの?」と、反応もさまざま。日ごろからアジアゾウファミリーの日々の様子を見守り、SNSに投稿するらすかる(@rascaltypeb)さんに話を聞きました。
同園生まれの姉さくら、妹うらら。母親のアヌラ(23歳)との3頭暮らしで、別スペースでメスのワルダー(推定1971年生)、姉妹の父親コサラ(20歳)が飼育されています。
ーあの“遊び”はいつから?
「妹のうららちゃんが赤ちゃんからゾウらしく成長し、姉のさくらちゃんと意思疎通ができるようになって始まった遊びなのだと思います。さくらちゃんは、ある日突然現れた小さな存在に初めのころは蹴ったりどついたりすることもあって、24時間365日、常に付きまとってくることに戸惑いがあったり、たまには離れていてほしいときもあったりするのかな?と思いながら見ていました」
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ー仲が良さそうです
「ゾウはタイヤや丸太で遊ぶなど、体重をかけて何かに触れたり体で押したりといった行動はどの園でもよく見られるように思います。母アヌラと父コサラも名古屋に来たばかりの子どもの頃に今の姉妹と同じような遊びをしていたそうです」
ー重そうですが…
「見ていると、さくらちゃんがものすごく慎重に足の置き場や腹圧をかける加減などに気をつけているのが分かるので大丈夫かと思いますが、同じ場面を見ても人それぞれ感じ方は違いますし、危険な遊びと思う方もいらっしゃるかもしれません。ただこれは、姉妹の意思疎通がないとできない非常に高度な遊びだと思っています(笑)」
同園に聞くと、「野生の子ゾウによくある行動で、じゃれあっている面もありますが、 野生でも岩でお腹を掻いたりすることがあるのでそのような意味もあるのかもしれません。4月頃から見られるようになりました。姉のテンションが上がりすぎて危険だと感じたときには飼育員が止めに入りますが、それより先に母が止めることもあります」とのこと。姉さくらが今のうららくらいの頃は、遊び相手がいないので飼育員と遊んでいたのだそうです。
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姉と母の体重は3600kg。うららは1350kgで、トレーニングでは採血の姿勢がとれるよう頑張っているところ。同園のゾウ展示の魅力は、「野生のゾウと同じくメスの群れの状態での飼育展示です」と同園。だからこそ見られる姉妹の成長、母との関係が見る人を引き付けています。
その一人であるらすかるさん。「甘えんぼうだったあのさくらちゃんが、小さな妹の存在と遊びを通して、いつか母になるために必要なことを学んでいる過程なのだなと感じます。日本の動物園で生まれたゾウが無事成長し、繁殖にまで至った例はまだありません。母親、血縁のないワルダー、飼育員さんたちという小さな群れの中で成長する姉妹をこれからもずっと見守っていきたいです」と期待を込めて話してくれました。
<文中の画像などはすべて、らすかる(@rascaltypeb)さんのX投稿から>
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)
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