東京・渋谷区内の自宅の浴室で亡くなっているのが発見された中山美穂さん(享年54)。所属事務所は公式サイトで「検死の結果、事件性はないことが確認されました。また、死因は入浴中に起きた不慮の事故によるものと判明しました」と発表した。
40代〜50代でも危険
浴室で亡くなった芸能人は中山さんだけではない。俳優の故・二谷英明さんの妻で、知的で爽やかな演技で人気を集めた女優の白川由美さん(享年79)も、2016年6月に自宅の風呂場で亡くなった。死因は心不全だった。2016年10月に亡くなった俳優の平幹二朗さん(享年82)の最期もまた、風呂場だった。死因は不明とされている。2020年2月には元プロ野球監督の野村克也さん(享年84)が自宅の浴室の中で意識を失い、死亡した。死因は虚血性心不全だった。
4人はヒートショックで亡くなったのだろうか。医師で東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉さんによると、
「ヒートショックの可能性があると思います。風呂場で亡くなる人は7、8月の暑い時季が最も少なく、11月から一気に増えていきます。長風呂だと熱中症の可能性もあります。中山さんは不慮の事故ということで、可能性が幅広く特定はできませんが、何らかの原因で意識を失ったのでは。一般論ですが、脳や心臓の病気、熱中症になってしまったか、眠気を催す医薬品の摂取など、さまざまな可能性があります」
高齢者だけでなく、40代〜50代でもヒートショックは起こり得ることなのだろうか。
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「あり得ます。血圧が高い、コレステロールや中性脂肪が高い、糖尿病でも治療をしていない、など動脈硬化の危険を抱える方に起こりやすいです。肥満や喫煙者の方もリスクが上がります」(早坂さん、以下同)
女性ならではの注意点も
寒い時季の入浴法について聞いた。
「ヒートショックは急な温度差によるものなので、脱衣室と浴室を暖めることが一番大事です。リビングとの温度差は5度以内に。お風呂に入るときはコップ1、2杯の水分補給をし、浴槽につかる前はかけ湯も忘れずに。冬だからといって熱い湯ではなく、40度のお湯で10分を目安にしてください」
してはならない入浴法も。
「20分、30分を超える長風呂で、血圧が下がりすぎてしまうことも。スマホを見ながらの入浴時間は平均25分間といわれますので、スマホの持ち込みは避けましょう。飲酒の後の入浴も危険。
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また、熱が37・5度以上あるときはお風呂に入らないほうがいいですね」
女性ならではの注意点としては、
「動脈硬化の予防効果がある女性ホルモンが減る閉経後は、血圧が上がることがありますので注意が必要です」
厚生労働省研究班が2014年に公表した報告書では、「年間約1万9000人が入浴中に亡くなる」と推計された。当時の交通事故の死者数が年間約4000人で、4倍以上にもなる。風呂場が最期の場所にならないよう注意が必要だ。
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