恋愛経験ゼロの28歳女性が「初デートの相手に怒鳴られた」ワケ。若い女性でも苦戦する“令和の婚活事情”

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2024年12月28日 16:00  女子SPA!

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24歳で婚活をスタートし、結婚するまで6年迷走した美咲さん(仮名・30歳/デザイナー)
こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験を活かし、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。

婚活サービス、中でもマッチングアプリを使って婚活する人は増えました。明治安田生命が今年11月“いい夫婦の日”にちなんで発表した夫婦に関するアンケート調査によると、1年以内に結婚した夫婦の「出会いのきっかけ」は、1位がマッチングアプリ(29.8%)で2年連続トップでした。

しかし、婚姻率は伸びていません。厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2023年の婚姻率(人口千対)は3.9で、前年の4.1よりも0.5ポイント低下しています。

マッチングアプリなどの婚活サービスが一般化し、利用年齢も低下しています。そこで何が起きているかというと、20代の若いうちから婚活を開始し、過度な高望みをしていないにもかかわらず、結果が出ずに自信を無くし苦しむ人が増えているのです。

24歳という一見婚活では有利な年齢で婚活をスタートした美咲さん(仮名・30歳/デザイナー)は、婚活で6年も迷走した女性です。実際にどんな部分で苦戦したのか、令和の婚活の難しい点についてお話を聞きました。

◆アプリで恋人ができるのは、元々モテる人だけなのか

24歳で婚活を開始した美咲さんには、男性との交際経験がありませんでした。周りに女性が多い環境で育ち、さらに過干渉気味な母親に束縛され、男性と友達になることさえ難しかったのです。

初めて参加した婚活パーティーでは、カップリングした男性から理不尽に怒りをぶつけられる嫌な経験をしました。その後マッチングアプリを使い始めると、会社の男性同僚から「マッチングアプリに登録してるよね。アドバイスしてあげようか」と話しかけられてしまいます。婚活にすっかり嫌気がさしてしまった美咲さんはアプリをやめて、早々に婚活をお休みすることにしたそうです。

「婚活実態調査2024(リクルートブライダル総研調べ)」によると、結婚相談所やマッチングアプリなどの婚活サービスを通じて恋人ができた人の特徴として、“前向きに取り組んでいた”、“楽しく活動”、“楽観的な心持ち”など「前向きな姿勢」に関するものが上位を占めました。

恋人ができる人とできない人とで、意識や行動に違いが見られます。要するに、モテない人が婚活サービスを利用しても恋人ができるわけではなく、マッチングアプリがなかった時代でも恋人ができそうなモテる人がサービスを通してパートナーを見つけ、恋愛が苦手な人はサービスを利用しても苦戦しやすい、という印象を受けます。

◆恋愛経験ゼロで婚活しても、正しい努力の仕方が分からない

美咲さんのお母さんは、娘が社会人になってからも、夜に帰りが遅いと文句を言うような状態でした。それなのに、25歳になるころには「彼氏はいないの?」と言い始めます。

友達の中には結婚や出産でライフステージが変化する人も出てきて、結婚への焦りが再度募ってきた美咲さん。マッチングアプリのwithとPairsを併用して出会い探しを再開しました。

ですが恋愛経験のない美咲さんは、努力の方向性がどこかおかしいのです。

あるとき彼女は、好きなキャラクターが一致する男性とマッチングします。有名ではなく割とニッチなキャラクターなので「運命の人だ!」と前のめり気味になってしまいます。

彼と付き合うために、ネットで恋愛ノウハウを調べだしました。当時Pairsが公開していたカップルレポートでは、マッチングしてからリアルで会うまで1カ月ぐらいのカップルが多かったそうです。そのため「すぐ会おうとせず1カ月はチャットを続けた方がいい」と思ってメッセージのやりとりを続けます。

しかし1カ月経っても相手は誘ってきません。こちらからデートに誘い、彼に気に入ってもらうためにそのキャラクターの非売品グッズのプレゼントも用意してデートに行きました。

待ち合わせ場所には、写真とはまったく別人の男性がやってきました。だいぶ若い頃の写真を登録していたようです。さらに相手の声が小さくて何を言っているかあまり聞き取れず、盛り上がりに欠けたままデートは終わりました。

◆婚活3年目、使うアプリの数だけが増えていく

またあるときは、「そこそこかっこいい1歳年下の男性」とマッチングしてデートをします。3回も続けてデートしたのは、その男性が初めてでした。しかし、告白されているわけではありません。思いきって「私のことどう思っているの?」と聞いたら、「友達としてしか見られない」と言われて、ショックでしばらくアプリをやめてしまいます。

元々恋愛において自信がなかったのが、このできごとでさらにこじれてしまった美咲さん。「ブスだからダメなんだ」と自分を責めてしまいます。

その後もマッチングアプリでの痛い経験を繰り返し、26歳になったころには、Pairs、with、タップル、Omiai、Tinder、Dineなどの様々なマッチングアプリを使うようになっていた美咲さん。自分から積極的に「いいね」を送っていました。来た「いいね」をさばくだけの受け身な女性が多い中で素晴らしいと思いますが、やはり会えた相手はクセ強メンズだらけでした。

◆「結婚したいならアプリ使うな!」初対面の男に怒鳴られた

中でもひどかった1人は、見た目もカッコよく、コミュニケーションもしっかりとれる同年代男性。デートまでのステップもスムーズで、初デートは恵比寿にあるオシャレなレストランで食事です。

食事中にアプリ登録のきっかけの話題になり、美咲さんは「お付き合いする人とは結婚を考えている」と言いました。すると彼は態度を一変させ「結婚したいなら結婚相談所使えよ! 結婚したいのにマッチングアプリなんか使うな!」と怒り出したのです。

当時の美咲さんは28歳。結婚を視野に入れる方も多い年齢です。彼の“目的”と一致していなかったのかもしれませんが、これではあんまりです。

この他にも、会話していても視線が合わない、会話のキャッチボールが成立しないといったコミュニケーションに難がある人や、デートのドタキャン、デートの約束を取り付けた後に無言でLINEブロックするといった失礼な人にも何人か遭遇しました。

何年も苦戦した美咲さんには気の毒ですが、筆者に言わせると、これらは全て「マッチングアプリあるある」なのです。

ドタキャンする失礼な人も、もしアプリでなく知り合いの紹介であったなら、自分の信用にかかわるのでドタキャンをしないかもしれません。マッチングサービスでつながる出会いでは、知人からはされたことがないような雑な対応を受ける確率がぐっと高くなるのです。

お互いに、自分の未来のためと思えば損得で相手を見ます。週5で働き、余暇で行う婚活でも、評価し評価されることが続けば消耗していくでしょう。さらに、相手に合わせがちな美咲さんは、向こうが出てきやすい場所でデートをしていたのもあり、ますます疲弊していきました。

◆28歳のうちに、結婚相談所に登録したけれど

怒鳴った男はおかしいけれど、言い分には一理あると思った美咲さんは、結婚相談所の利用を検討しはじめます。事前にネットの記事やSNSで情報収集すると、様々な結婚相談所のブログに「婚活は若い方が有利」「20代で本気の婚活を始めた方がいい」と書いてありました。

美咲さんは4〜5つほどの結婚相談所の説明会に参加します。結婚相談所は、アプリのようにWEB上で登録できるわけではありません。入会金も数十万円など高いので、複数の結婚相談所の話を聞いて比較検討して、どこに登録するかを決めるケースが多いです。

結婚相談所の無料相談で、美咲さんは希望する男性の条件を聞かれました。そして、その条件に該当する会員がどれぐらいいるかを、モニターでも見せられます。

どこの結婚相談所も、それまでアプリでがんばってきた美咲さんの婚活を聞いて「今までのやり方が失敗。当社に入会すれば結婚できる」のような趣旨の言葉で入会のクロージングにつなげようとしてしてきたそうです。

美咲さんは、そのうちの1社に登録しました。カラー診断や顔タイプ診断ができるスタッフから勧められたのが、パステルカラーのウエストリボンワンピースでした。美咲さんの普段の服装の好みとはかけ離れていましたが、そのワンピースを着て、勧められたスタジオで写真撮影をします。

◆無料相談の時に見た「これから出会える男性たち」はどこへ

28歳の美咲さんには、たしかに男性からの申し込み(会ってみたいという意思表示)はそこそこありました。しかし、無料相談時にモニターに出てきたような爽やか男性からの申し込みはなく、同じようなネイビースーツを着てメガネをかけた理系男子たちからのアプローチだけです。写真では、男性が全て同じように見えました。東京大学、芝浦工科大学、東京理科大の卒業生が多かったそうです。

ですが一方の美咲さんも男性側から見れば、同じような清楚っぽい服を着た量産型婚活女子の一人なのです。

無料相談時にサクラを見せていたわけではないと思いますが、結婚相談所にいる爽やか男子は、女性からの申し込みが殺到する超人気会員です。でも、入会する前にそんなシビアな事情は共有されません。

◆結婚相談所の倒産件数は過去最多を更新

結婚相談所に登録する方は、筆者の体感では8割以上はマッチングアプリを経ています。マッチングアプリと比較すれば料金は桁違いに高額で、そのため男女とも大卒以上の割合が高く、高学歴で収入も高めの会員が多いです。

なお、マッチングアプリでモテる男性ならば基本的に結婚相談所にはやってきませんし、仮に登録してもすぐに成婚退会して卒業していきます。もちろん例外はいますが、結婚相談所においては基本的にガリ勉タイプが多数派で、多様な独身者が在籍しているわけではないのです。

今年2月、帝国データバンクが発表した内容によると、2023年に発生した結婚相談所の倒産は合計11件で過去最多を更新、休廃業・解散となった件数(11件)も過去最多の水準だそうです。マッチングアプリの台頭で、結婚相談所の倒産が増えています。にもかかわらず副業ブームで結婚相談所を開業する人は増えており、既存の結婚相談所はどんどん集客に苦戦するのです。

とにかく入会してもらうために、事前の説明では期待させることばかり伝えて、都合が悪い情報は言わない。そんな結婚相談所が多いのでしょう。

女性無料のマッチングアプリで“戦い方”が分からず何年も苦戦し、意を決して入会した結婚相談所でも思うようにいかず困り果てる美咲さん。24歳で婚活を開始し、高望みをしていなくても、このように苦労する人がいる。あくまで恋愛強者に有利なのが、令和の婚活なのです。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文&写真/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt

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  • 運命の人などいない。手近な奴とやることやって運命の人をでっち上げるギャンブルが結婚ってやつだ。それと「芝浦工業大学」な。
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