今年は、初代『ドラえもん』の声優でおなじみの大山のぶ代さん(享年90)に、のび太役の小原乃梨子さん(享年88)、『ちびまる子ちゃん』でまる子役のTARAKOさん(享年63)など、多くの人気声優の訃報が相次いだ。そこで今回は、あなたの記憶に焼きついている好きなレジェンド声優と、そのキャラクターを全国の30代〜50代の男女300人にアンケート。結果はいかに!?
キャラの魅力は声の魅力もあってこそ
10位に選ばれたのは古谷徹が演じた『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ。アニメを見なくても「アムロ、行きます!」などの名ゼリフを知る人も多いかも。選んだ理由として「少年の雰囲気がよく出ていた」(宮城県・55歳・男性)といった声自体の評価から「第2次声優ブームのころ、古谷さんたち人気声優が結成したバンドのファンだった」(千葉県・50歳・女性)という声も。
古谷といえば古くは『巨人の星』の星飛雄馬役、近年では『名探偵コナン』安室透役として息の長いレジェンドだが、昨年、自身の不倫やDVが報じられ、残念ながら担当キャラの降板を余儀なくされている。
9位は高山みなみの『名探偵コナン』の江戸川コナンがランクイン。「昔からずっと見ていて、この声以外考えられない」(埼玉県・35歳・男性)、「友達といるときの子どもらしい声、事件を解決するときの凛々しい声、場面に応じた声の使い分けが、コナンの魅力を増している」(山梨県・50歳・女性)と推す声が。
アニメ放送開始から来年で30年、これからも“見た目は子ども、頭脳は大人、声は高山”で、末永く楽しませてほしい。
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8位は、池田秀一の『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブル。女性読者にはなじみが薄いかもしれないが、シャアは主人公、アムロ・レイと並ぶ最重要キャラで、クールでカリスマ性あふれる軍人。心に闇を抱えたイケメンのため、主人公をしのぐ人気がある。シャアを選んだ理由には「気障なセリフが好き」(愛知県・54歳・男性)、「キャラと声が合っている」(神奈川県・55歳・女性)といった意見が。作中では数々の名言も生まれていて、イケメンが繰り出すイケボと相まって多くの視聴者を魅了。ちなみに、『コナン』に登場するクールなスナイパー・赤井秀一も池田が演じている。
時を経ても愛され続けるレジェンド声優たち
6位は2キャラがランクイン。まずは小林清志さんが演じた『ルパン三世』の次元大介。'69年のアニメのパイロット版から'21年に勇退するまで、50年以上の長きにわたって次元役を務めた小林さん。理由としては、「渋くてカッコいい」(京都府・54歳・男性)といった声が多く寄せられ、中には「次元大介に憧れて一時期同じポールモールのタバコを吸っていた」(宮城県・32歳・女性)なんていう声も。
次元は洒脱でダンディーなキャラクター。そんな彼にマッチした粋な低音ボイスは小林さんの完全な地声であり、次元は“自分の分身”と語っていたとか。88歳で後任に役を譲った翌年、惜しまれつつこの世を去っている。
もう1キャラは神谷明が演じた『シティーハンター』の冴羽リョウ。神谷といえば、キン肉マンや『北斗の拳』のケンシロウなど数々の主役声優として一世を風靡してきた。そんな中で冴羽がもっとも多くの声を集めた理由は、「とぼけているときと、カッコいいときの演技の差はこの方でないと」(神奈川県・39歳・男性)や「シリアスとコミカルな演技のギャップがすごい」(千葉県・38歳・男性)という声に尽きそう。
『シティーハンター』は'87年にアニメがスタート。'19年には20年ぶりに新作が映画化され、スクリーンに復活。このときリョウを演じた神谷は70歳だったが、エネルギッシュな声は健在で、続投についても意欲を燃やした。
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ここからは上位の発表。5位は国民的アニメ『サザエさん』でおなじみ、加藤みどり演じるフグ田サザエ。昨年10月には「最も長く放映されているテレビアニメ番組」としてギネス記録を更新。同時に、初回から主人公のサザエを演じてきたことで「同一のアニメキャラを最も長く演じてきた声優(女優)」の世界記録も更新している。
しかも加藤は『サザエさん』の放送開始から55年、一貫してサザエ一筋! そのためアンケートでも「生まれたときからずっと聞き続けている」(大阪府・57歳・女性)、「日曜の夜はこの人の声で終わらないと締まらない」(三重県・54歳・女性)といった声であふれた。この先も記録の更新を望むばかり。
4位は山田康雄さんの演じた『ルパン三世』の初代ルパン。「ルパン三世のキャラを作った声優」(東京都・59歳・男性)、「ふ〜じこちゃ〜んの言い方が好き。独特の抑揚も」(東京都・57歳・女性)、「ルパンそのものが好き。さらに声はより最高」(兵庫県・42歳・男性)。
この国民的人気は、時におどけ、時にシリアスに、役にルパンらしさを吹き込んだ山田さん独特の節回しがなければ成しえなかっただろう。山田さんが亡くなって'25年3月でちょうど30年、それでもまだ人々の頭の中には、ありし日のルパンがイキイキと生き続けているようだ。
トップ3は誰もが認める国民的アニメのあの人
3位は戸田恵子演じるアンパンマン。『アンパンマン』は“物心ついて最初に見るアニメ”の代名詞。そのため、「子どものころから慣れ親しんでいる」(埼玉県・43歳・女性)、「一番なじみがあるから」(埼玉県・40歳・女性)といった声が多数寄せられた。また、戸田は女優としても活躍しているため「優しくて正義感あふれる声が生かされている」(山口県・39歳・女性)や、「優しい声で癒される」(奈良県・42歳・女性)など、その声に魅了されていた。
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2位は声優界のトップランナー、野沢雅子演じる『ドラゴンボール』の孫悟空。「あの年で悟空を演じているのがすごい! 代わりなんていないです」(埼玉県・40歳・男性)、「可愛い声なのに、力強いキャラも演じて素敵」(東京都・39歳・女性)など、親・子・孫の3役やド迫力の戦闘シーンまで華麗に演じ分ける卓越した才能を多くの人が絶賛。
鬼太郎や怪物くん、『銀河鉄道999』の星野鉄郎など代表作も豊富で、88歳の現在も新作アニメ『5億年ボタン』で5歳の主人公の声を演じている野沢。世界中にファンも多く、まさに日本が誇るレジェンド声優といえる。
1位は今年、残念ながらこの世を去った大山のぶ代さんのドラえもん。「見た目と声がこんなにも一致したキャラは他にいない」(神奈川県・45歳・女性)、「ドラえもんといえば、この声。夢を与えてくれた」(東京都・43歳・女性)など、116票の圧倒的支持を集めて堂々の首位。
ドラえもんを大切にして'79年から26年間、他のアニメへの出演を断っていたそう。
たとえ声優が変わって長い年月が流れても、彼らの愛すべき声はいつまでも人の心に残り続けるようだ。
<取材・文/荒木睦美>