ローソンが12月10日に発売した、化粧品ブランド「&nd by rom&nd(アンド バイ ロムアンド)」の福袋が好調だ。従来は新店開業時のキャンペーンなどを除き、福袋を販売してこなかったローソンだが、この冬は全国的に「お菓子」と「コスメ」の福袋を展開しており、いずれも好調だという。どのような狙いで福袋の全国展開を始めたのか。アンド バイ ロムアンドの担当者に取材した。
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●お菓子の福袋に手応え
アンド バイ ロムアンドは、Z世代から人気を集める韓国のコスメブランド「rom&nd(ロムアンド)」とローソンの共同開発ブランド。持ち運びしやすい小さめのサイズと、数百円〜1000円台の手に取りやすい価格が特徴だ。
2023年3月末に発売したところ「ローソンでしか買えない」という限定感もあり、累計で500万個以上を売り上げるヒットシリーズとなった。現在では、10〜20代が「目的買い」で購入する商品として定着している。
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ローソンがこのほど発売した福袋は「&nd by rom&nd LUCKY BAG(アンド バイ ロムアンド ラッキーバッグ、以下:ラッキーバッグ)」。価格は2200円で、化粧下地「グラッシーミルキートーンアップ」(990円)、アイシャドー「メロウアイパレット」(1350円)、リップ「イナピスクエアグラッシーボムティント」(820円)の3点と、ヘアアクセサリーが詰め込まれている。
ラッキーバッグ発売のきっかけは、ローソンが2024年6月に発売した、お菓子やカップ麺などを詰め合わせた「創業祭福袋」(1100円)に大きな反響があったことだった。創業49周年の記念に売り出したところ「物価が高騰している中、お得な内容だ」と幅広い層から支持され、12月にも同様の福袋の販売が決まった。
全国的に福袋を販売するのは同社にとって初の試みだったが、この成功を機に「コンビニにも福袋の需要はある」と気付いたという。生活・日用品部 チーフマーチャンダイザーの加藤愛氏は「化粧品のカテゴリーでも新しいチャレンジをしたいと常々思っていたので、(アンド バイ ロムアンドでも福袋を)やってみようということになりました」と話す。
「韓国コスメは数多くの新商品が登場するため、『どれがよいのか分からない』という人も多いので、商品選びのきっかけになればと考えました。コンビニという身近な場所で購入できるコスメもあることを周知したり、年末年始のイベントを介して接触機会を増やしたりする狙いもあります」(加藤氏)
●“売れ筋以外”を訴求のチャンス?
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ラッキーバッグの中身として、「すでに人気の商品」と「認知度を高めたい商品」の両方を取りそろえた。ロムアンドの人気商品は発色の良いカラーメーク用のアイテムで、アンド バイ ロムアンドの売れ筋もリップだ。このため、ラッキーバッグにもリップを入れた。
「認知度を高めたい商品」としては、化粧下地とアイシャドーを入れた。加藤氏は、「福袋を機に『リップ以外もある』ということを知ってもらいたい。化粧下地(スキンケアの後、化粧の準備として肌に塗る基本のアイテム)とアイシャドー(まぶたに陰影を付けるために使うアイテムで、これも購入層が広い)であれば、普段最低限のメークしかしない人でも邪魔にならずに使って頂けるのではないかと考えました」(加藤氏)。
中でも発売からまだ1年未満の化粧下地については「これを機に認知度を上げたい」という狙いがあった。このためラッキーバッグの価格は「下地ほぼ1個分をプレゼントするような設定」にしたといい、商品3点の合計価格(3160円)から、下地(990円)ほぼ1個分を差し引いた価格に相当する、2200円とした。
カラー展開は、イエベ(黄み寄りの肌)向けの「WARM」と、ブルベ(青み寄りの肌)向けの「COOL」の2パターンを用意。パーソナルカラー診断(肌・目・髪などの色をもとに、その人に似合う色を導き出す診断)が若い世代に普及し、「自分の肌に似合う」化粧品を選ぶ人が増えているトレンドを踏まえた。
●「プレゼント需要」もつかむ
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ラッキーバッグは、2種類合わせて5万5000個を用意。従来のアンド バイ ロムアンドのターゲット層である10〜20代(Z世代)に向けて訴求する。また、かわいらしいパッケージにすることで、クリスマスシーズンや年末年始の帰省を想定し、恋人や家族への“プレゼント需要”も狙った。
狙いは成功しているようだ。購入者における男性の割合は、通常のティントでは約1割。一方、福袋の購入者では約2割に上っている。「販売自体もクリスマスやその直前の土日で伸長しているので、いつもコンビニにいらっしゃる方が、帰宅前のプレゼントに買ってくださったのかなと思います」と加藤氏は話す。“特別感”のあるパッケージとコンビニ自体の利便性も相まって、身近な店で気軽に買えるプレゼントとしての需要をしっかりと獲得しているようだ。
購買層のボリュームになっているのはターゲット層の10〜20代だが、ローソン広報部の持丸憲氏は「それ以外の層にも刺さっているという実感があります」と話す。
「コンビニは幅広い年代のお客さまがいらっしゃるので、10〜20代以外の世代にも届けたいと考えています。『創業祭福袋』の好調をきっかけに、幅広い年代のお客さまにリーチする上で、福袋は1つの手段なんだなと気付いた形ですね」(持丸氏)
●「目的買い」を今後も取り込めるか
コロナ禍をきっかけに、これまで遠出して買っていた日用品なども「コンビニで済ませたい」とする人は増加した。こうした事情やブランド自体の訴求力もあり、アンド バイ ロムアンドにおいて「目的買い」の購入者は多い。
しかし、加藤氏によれば、もともとコンビニ化粧品の売れ筋は旅行用パックなどの「緊急性が高いアイテム」。「目的買い」が多いアンド バイ ロムアンドでも、単品で一番売れる商品はアイブロウ(眉毛を描くためのメークアイテム)だという。
「『眉毛がないと外に出られない』という人は多く、緊急性が高いからです。今回のラッキーバッグのラインアップは、アイブロウのように緊急性が高いといった理由がなくても、魅力を感じて買ってもらえるアイテムを増やしたいという狙いもあります」(加藤氏)
緊急時の需要はこれまで通りに取り込みながら、強みであるリップなどの“カラー物”で「目的買い」の来店客を集め、ブランドを育てていきたい――そう加藤氏は話す。
「今回のような企画品や限定品をコンスタントに発売することで、『これがあるからローソンに行こう』という流れももっと増やしていきたいです」(加藤氏)
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