後継ぎ不在、住宅耐震化進まず=専門家「命守るため改修を」―能登半島地震1年

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2025年01月01日 07:31  時事通信社

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国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された輪島市黒島地区で倒壊した建物=2024年1月20日、石川県
 能登半島地震では、建物の倒壊などによる直接死が228人に上った。全壊住宅約6000棟のうち約7割は石川県輪島市と珠洲市に集中するが、両市の住宅耐震化率は約50%と全国平均の87%を大きく下回る。後継ぎがいない高齢者が高額な耐震改修に踏み切れないことが背景にあるが、専門家は「命を守るため改修してほしい」と強調する。

 能登半島では2007年にも輪島市などで最大震度6強の地震が発生し、自治体は耐震化の必要性を訴えてきた。同市は20年、耐震化率90%の達成に向け約4200棟の改修が必要と試算。戸別訪問などで啓発に取り組んだが住民の反応は鈍く、市が把握する20〜22年度の改修工事は28件にとどまる。

 市の担当者は「後継ぎがおらず、あと何年住むか分からない家を耐震化しようと思わない高齢者も多い」と明かす。能登半島は大きな住宅が多く改修費が高額になりがちなことも、耐震化に踏み切れない要因とされる。

 国土交通省によると、輪島、珠洲両市と穴水町で調査した木造建築物約4900棟のうち、1981年以前の旧耐震基準を満たす建物の約20%が倒壊した。一方、改定を経て現在の耐震基準になった2000年以降に造られた建物の倒壊率は1%未満にとどまった。81年以前の建設でも耐震改修が行われた建物は倒壊が確認されなかったという。

 金沢大の村田晶助教(地震防災工学)は「現在の耐震基準を満たしている限り、能登半島地震クラスの地震が起きても倒壊にはほぼ至らず、人的被害は出ない」と分析した上で「耐震化で人命が守られることが結果として表れた。改修した方が圧倒的に良い」と強調する。

 村田助教によると、予算の都合で住宅全体の耐震化が難しい場合、寝室や居間など滞在時間の長い部屋だけを補強することで費用を抑えられるという。村田助教は「家がつぶれて帰省中の子どもや孫が亡くなったら後悔してもしきれない。寝室だけでも耐震化しておくべきだ」と呼び掛けている。 

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  • 冗談抜きで最早地方行政レベルの復興は無理で国家プロジェクトで十年単位で将来を見据えた農業漁業観光業復活の為の計画が必要で道路事情も根本的に改善せねば未来は無いだろうて
    • イイネ!6
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