セリエA第19節が5日に行われ、ローマとラツィオが対戦した。
イタリア屈指の熱狂度を誇る“デルビー・デッラ・カピターレ”の幕が上がる。ホームチームのローマは、試合前の時点で5勝5分8敗の成績を残しており、勝ち点「20」で10位に甘んじている。今季、クラブレジェンドのダニエレ・デ・ロッシ監督の下でシーズンをスタートさせたが、開幕後4試合を1分3敗で終えた時点で解任が決定。後任のイヴァン・ユリッチ監督(現:サウサンプトン)も不調のチームを立て直すことができず、わずか12試合で指揮官交代に踏み切った。今季3人目の監督として迎え入れられたのは、過去に2度ローマを率いたこともあるクラウディオ・ラニエリ氏。就任以降、公式戦では4勝2分2敗と悪くない成績を残しており、後半戦の巻き返しに向けて、まずはダービーをモノにして弾みをつけたい。
対するラツィオは、今夏より指揮を執るマルコ・バローニ監督の下、ここまで上出来なシーズンを過ごしている。前節終了時点での成績は11勝2分5敗で、勝ち点「35」を獲得。ナポリ、アタランタ、インテルを追いかける4位に位置しており、25年ぶりのスクデットを手にするためには、これまでよりもペースを上げて勝ち点を積み上げたい。勢いに乗る意味でも、アウェイ開催のダービーを制さなければならない。
そんな両チームによるゲームは、序盤の11分にローマがスコアを動かす。ピッチ中央付近でアルテム・ドフビクが背後からのロングボールを胸で落とし、ロレンツォ・ペッレグリーニを経由してパウロ・ディバラが右サイドへ展開。アレクシス・サーレマーケルスがアーリークロスを送ると、ゴール前へ走り込んだペッレグリーニが体制を整え、右足でシュートを突き刺す。セリエAでは6試合ぶりに先発に戻ってきた“カピターノ”が、大一番で今季セリエA初ゴールを奪い、ホームチームが先手を取った。
勢いに乗ったローマは続く18分、GKミレ・スヴィラルからのロングフィードをドフビクが落とし、反応したディバラが中央を突破する。3対2の状況を作り出すと、ディバラは相手を引きつけて右へのパスを選択。並走していたサーレマーケルスは左足でフィニッシュまで持ち込むと、GKイヴァン・プロヴェデルに阻まれたものの、こぼれ球を自ら押し込む。見事な速攻を完結させ、ローマが序盤のうちにリードを2点に広げた。
早々と2点を追いかける展開を強いられたラツィオは22分、敵陣中央でマテオ・ゲンドゥージからのパスを受けたフィサヨ・デレ・バシルが前を向いてドリブルで前進。寄せてきたマッツ・フンメルスをキックフェイントでかわし、左足を振ったが、エヴァン・エンディカのブロックに阻まれて枠へ飛ばせない。
以降、ボールを握る時間はラツィオの方がやや長かったが、ローマ守備陣を脅かすような決定的なシーンを生み出すことはできずに、前半の45分間は終了。後半はラツィオがより一層の勢いを持って試合に入る。立ち上がりの47分には敵陣中央でボールを奪ったバレンティン・カステジャーノスが、強引なドリブル突破からシュートを放ったが、GKスヴィラルに阻まれる。
徐々にラツィオが“らしい”シーンを見せられるようになり、敵陣でプレーする時間も増えていく。左サイドで推進力を見せたヌーノ・タヴァレスが敵陣のスペースを切り裂き、マッティア・ザッカーニも徐々に仕掛けられる場面を作り出すが、決定機まで持ち込むことはできずに時計の針が進む。
終盤に差し掛かるとカステジャーノスやタヴァレスらが次々とゴールを脅かす。後半の45分間は完全にラツィオのペースと称することのできる内容となったが、ローマ守備陣も組織的な穴を見せる場面は少なく、ラツィオは最後まで1点が遠い。後半アディショナルタイムにはフンメルスへのファウルをきっかけに、両チームの選手がエキサイトする場面も勃発し、カステジャーノスにレッドカードが提示。試合はこのままタイムアップを迎えた。
この結果、ローマが今季初のダービーを制し、公式戦直近4試合の成績を3勝1分とすることに成功。ラニエリ監督の下、逆襲の準備は整ってきている。一方のラツィオは、昨年12月16日に行われた第16節インテル戦(●0−2)以来、3試合ぶりの今季6敗目。今節の開催が後ろ倒しとなっているアタランタ、インテルにプレッシャーをかけることはできなかった。
次節、ローマは12日に敵地でボローニャと、ラツィオは10日にホームでコモと、それぞれ対戦する。
【スコア】
ローマ 2−0 ラツィオ
【得点者】
1−0 10分 ロレンツォ・ペッレグリーニ(ローマ)
2−0 18分 アレクシス・サーレマーケルス(ローマ)