憧れの注文住宅 「オープンな間取り」の現実 におい・温度・音でストレス実感 暮らし始めてわかった後悔ポイント

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2025年01月11日 18:50  まいどなニュース

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理想の空間のはずでしたが…

「家じゅうどこにいても、温かな家族の雰囲気を感じられる家」
「ゆるやかなゾーニングで多用途に使える広々空間」

【漫画】「中学生になったらこんな間取り、子どもが嫌がるかも…」将来に不安を感じています(全編を読む)

…こんなキャッチコピー、おしゃれなハウスメーカーのパンフレットで最近たくさん見かけませんか。

壁で空間を間仕切りするのではなく、アイランドキッチンや回遊型のウォークインクローゼット、スキップフロアなどをうまく活用した「オープンな間取り」が最近増えています。そういった注文住宅を建てることに憧れる方も多いのではないでしょうか。

夫と3人家族のAさん(関西在住、40代、パート)も、小さな子どもが家のどこにいても見守れる家を目指し、個室をできるだけ少なくした「平屋+ロフト」の注文住宅を3年前に建てました。しかし、いざ暮らし始めてみると、いろいろと後悔が絶えないといいます。

「最近人気の間取りなんです!!」といわれて建てた家でしたが

子どもは一人と夫婦で決めていたAさん。両親とも離れて暮らしていて、今後同居するような予定もありませんでした。そこで、自分たちで家を建てるときは部屋数は少なめにして、リビング・ダイニングをゆったり広めにとろうとイメージしていたそうです。

その要望を建築士さんに伝えたところ提案されたのが、平屋にスキップフロアを組み合わせたロフトスタイルの間取りでした。

壁や個室を取り払った間取りのメリットとして、高い天井で圧迫感がないこと、壁や扉が必要ない分コストが削減できることなどがあげられます。ロボット掃除機を使いやすいことも決め手になりました。

「ロフト部分を寝室として使いましょう!子どもが小さい間は3人川の字で、成長したらカーテンで間仕切りをつけて、緩く視界を遮るようにレールをつけてあります!」と建築士さんは語ります。そう聞いて、「きちんと将来のことも考えてくれている」と安心しきっていたAさん夫妻でした。

いざ暮らしてみると…想像以上の不便さを実感

完成した住宅は、それまで暮らしていたアパートと違い、天井が高くて窓は大きく、明るい陽射しが一日中家の中全体に降り注いで、日中は照明がいらないほど。

引っ越した当初は「こんな素敵な家に住めるなんて…!」と感激していたAさん夫婦でしたが、暮らし始めてみると当初意識していなかった「不便さ」に次々と気がつくことになりました。

最初に問題だと感じたのは、「料理のにおい」です。家の中央部に設けたアイランドキッチンは、換気扇をつけていても、コンロをつかった料理のにおいが家中に回ってしまうのでした。リビングはともかく、寝るときにロフトのベッドにいても食べ物のにおいがするのには困りました。そこで、できるだけ鍋やフライパンを使わず、オーブンや圧力鍋などを使うような献立を考えることにしました。

次に悩んだのは「細かい温度調節ができない」ことでした。夏、ロフトのベッドまわりが暑いなと思って空調の温度を下げると、下のフロアであるリビングやダイニングは寒くなってしまいます。逆に冬は北側に設けたお風呂や洗面所のゾーンが極端に寒くなったりと、仕切りがないことによる、温度調整の難しさを実感したそうです。

さらに困るのが、子どもが遊ぶ時の足音や声が家中に響くこと。行き止まりのない回遊型のレイアウトに、1階全体を見下ろせるロフトスペースがあることもあって、お友だちを招けば子どもたちはどたばたと大はしゃぎ。吹き抜けの大きな空間に、音を遮るものはありません。

また、目隠しをしておける場所やひとり静かにいられる場所がないため、着替えやムダ毛のお手入れなど、家族とはいえ「ちょっと見られるのに抵抗があるようなこと」をするときに、困ってしまうことに気がつきました。

「今はまだ子どもが小学校1年生で、どこで何をしているか料理しながらでも見守れるメリットの方が大きいです。しかし、中学生になったらこんな間取り、本人が嫌がるかも…って気づいて今から心配しています」と、将来について不安を感じているAさん。思春期を迎える前にリフォームする可能性も前提に、貯金に励んでいるそうです。

(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)

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