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東京女子医科大(東京都新宿区)の新校舎建設工事を巡る資金流出事件で、背任容疑で逮捕された同大の元理事長、岩本絹子容疑者(78)が、側近の元大学職員を通じて多額の現金を自身に還流させていたとみられることが捜査関係者への取材で判明した。警視庁捜査2課は、岩本容疑者が不正な資金移動の発覚を防ぐため、現金でやり取りするよう指示していたとみている。
岩本容疑者は新校舎の2棟の建設工事で2018年7月〜20年2月、東京都台東区の1級建築士の男性(68)に、業務実態のない「建築アドバイザー報酬」を約20回にわたって支払うなどし、大学に計約1億1700万円の損害を与えた疑いで逮捕された。
捜査関係者によると、報酬は大学の理事会で稟議(りんぎ)され、男性名義の口座に振り込まれていたという。男性は振り込まれた報酬を引き出して、自分の取り分を引いたうえで、当時大学の経営統括部次長で岩本容疑者の側近とされる女性(52)と都内で落ち合い、定期的に現金で手渡していたとみられる。
現金はその後、岩本容疑者の元に渡っていたとされ、警視庁が使途などを詳しく調べている。岩本容疑者は事件当時、副理事長や理事長を歴任し、施設管理などを担当する経営統括理事も兼務していた。
男性は16年4月に大学に非常勤で採用され、18年7月から約4年間で給与とは別に建築アドバイザー報酬として計約3億1000万円を受け取っていた。
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今回立件した新校舎2棟の他にも、実態のない業務に報酬が支払われた可能性があるとみられる。警視庁は、男性と、側近の女性についても、背任容疑で任意で捜査している。【遠藤龍】
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