◆ 「1年間しっかり戦って、最後に良い結果出したい」
2年ぶりに帰ってきた愛媛県松山市の「坊ちゃんスタジアム」でタイガースの坂本誠志郎が“再出発”した。
1月10日から約2週間、スワローズ勢や他球団の若手捕手との合同自主トレを敢行。坂本は23年1月以来の参加になった。
昨年は「1人しかできないこともある」と甲子園を拠点にして単独トレを行ってキャンプに突入。その前年に初めて参加したのがこの松山での自主トレだった。
現在は履正社高の先輩・山田哲人や、川端慎吾らが中心となっているように毎年、スワローズの主力が汗を流す恒例の自主トレ。2年前、坂本が門を叩いた大きな理由の1つが、捕手・中村悠平への弟子入りだった。
「前回(松山に)来た時も、技術的にもいっぱい教えてもらったし、あとは体力的にもきっちりトレーニングも。技術練習もトレーニングも、どっちもちゃんとやってもらえるんで、そういう意味ではすごい充実した時間だった。(昨年)悔しい悔しい思いして、もう1回ちゃんと1月作ってやろうっていう思いからもう1回お願いしてっていう感じですね」
9年目の昨季はキャリア初の開幕マスクからスタートを切ったが、64試合出場にとどまり不振での2軍降格も経験した。オフには初めて取得した国内フリーエージェント権の行使について熟考を重ねた末に残留を決断。決意新たに挑む今季へ中村への弟子入りで逆襲を期している。
高いフレーミング技術を誇り、チーム内でのポジションも確立しつつある坂本だが、3度のリーグ優勝を経験するなどリーグを代表する捕手の中村から学ぶことは多いという。
「技術的な捕る、投げる、止めるとかの技術もやっぱりレベルはめちゃくちゃ高い。配球的なことにしても甲子園とは違う、どちらかというと狭い球場で野球をやってるっていうのでは全然考え方も違えば、それも参考になることもあるだろうし。同じように事が進まないこと、甲子園と神宮じゃ全然あるんで。そういうのも参考にさせてもらったりとかもある」
甲子園に比べると狭く、長打の出やすい神宮球場で投手陣をリードしてきた先輩の言葉や思考が自身の“引き出し”を増やすことにつながる。
中村だけでなく、川端、山田、カープの小園海斗と坂本にとって課題と言える打撃面にも好影響が出そうな松山での時間。「試合になったら真剣勝負。こういうところではもらえる技術とか聞けることはいくらでも聞いて、勉強して帰りたい」とどん欲に攻守での進化を目指している。
「チームの中心になって野球をやっていきたい思いはありますし。藤川監督になって1年目でしっかり責任感を持って野球やらないといけないなと思っているので、1年間しっかり戦って、最後に良い結果出したい」
松山からリスタートした1年を輝かせて見せる。
文=遠藤礼(スポーツニッポン・タイガース担当)