《“おひとりさま”を食い物に》高齢者「身元保証サービス」で相次ぐ利用者財産の無断着服!

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2025年01月24日 06:10  web女性自身

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高齢者の身元保証や死後事務などを行う『身元保証サービス業者』が増え、関連するトラブルも増加。その実情が見えてきました」



そう話すのはニッセイ基礎研究所社会研究部の鈴木寧さんだ。



背景にあるのは、身寄りのない“おひとりさま”の増加だ。2050年には、5世帯に1世帯が65歳以上のおひとりさま世帯になるという予想もある(2023年、国立社会保障・人口問題研究所)。



「従来、家族が担っていたさまざまなケアや手続きを、おひとりさまの場合は、家族に代わって行う人が必要です」(鈴木さん、以下同)



夫婦で暮らしているからと安心はできない。どちらかが先立つと、残されたほうは即おひとりさまだ。親戚がいても高齢で頼れない、子どもがいても遠方に住んでいるから頼れない、子どもに迷惑をかけたくないという高齢者も多い。さらには90代の親と70代の子どもだと子どもが先立つことも考えられる。



「日本では、賃貸住宅の契約や入院時などに身元保証人を求められることが多いです。そんなときに家族に代わって身元保証を請け負うのが、『家族代行』とも呼ばれる身元保証サービスです」



こうした業者は、身元保証業務以外にも、行政手続きの援助や金銭管理など「日常生活の支援」や、遺体の引き取り、親族や知人への連絡、葬儀の手配、病院などの費用の精算、家財の処分、公共料金などの停止手続きなど「死後事務」を行うところが多数。



「業者の身元保証のおかげで入院できた。助かった」という声があるいっぽうで、トラブルも多い。



国民生活センターによると、身元保証サービスに関わる相談は2014年度の99件から、2023年度には355件と3.6倍に増加。2024年度も12月末までに295件と、2023年度を上回るペースで相談が寄せられているという。



たとえば70代女性は「定期的な安否確認」まで含めた身元保証サービスを140万円で契約。だが、1年たっても安否確認の連絡はなく、緊急時に必要な書類も作成されない。解約を申し出ると説明もなく50万円が振り込まれたそう。



また、60代女性は身元保証の費用は払い済みなのに、預託金として、さらに100万円が必要と言われた。詳細な説明は受けていないという。



相談は「思ったより高額」「契約の内容がよくわからない」「約束したサービスが提供されない」「解約時のトラブル」が多い。



鈴木さんは、契約内容の設計はかなり難しい作業だと話す。



「家族に代わって支援を行うので、サービスが多岐にわたります」



身元保証というと「契約」が思い浮かぶが、入院した後も自宅から衣類などを運ぶといったこまやかなサービスも必要だ。



「さらに、死後事務までを考えると契約期間は長期に及びます。その間に利用者の体調や経済状況などが変化すると、それに合わせてサービスも変えねばなりません。



それらすべてを想定して契約するのはかなり困難です。契約者は高齢者が多いので、契約内容を理解するのも難しいでしょう」



国は2023年に初めて身元保証サービス業者の調査を行った。その結果、従業員は10人未満が約8割、事業継続年数も5年以下が約半数と判明。零細企業が多く、事業の継続リスクが高い業者もあるだろう。



利用料金はさまざまだが、契約時に100万〜200万円かかる業者がほとんどだ。そのほか年会費や日常生活の支援については都度払いが求められることもある。



また、驚くことに利用者の死亡後、利用者の財産の寄付や遺贈を約7割の事業者が受け取っている。業者への感謝を込めて寄付する利用者もいるとは思うが、本人の意思と異なる事業者への遺贈を記した遺言書が作成されていた例も報告されているのだ。



「利用者に提供するサービスを減らし費用を抑えれば、利用者の財産は多く残り、遺贈される財産が増えることになります。財産を無断で着服する悪徳業者がいないとは限りません。身寄りのない人だと真相は闇の中となる可能性も」



統一された規格などなく、料金体系は業者ごとにバラバラだ。料金には、一括前払いと毎月払いなどが混在する。複数の業者から相見積もりをとっても、比較のしようがないのが実情だ。 適正な業者を見極めるポイントとは…… なにより大きな問題は、身元保証サービス業の監督官庁がないことだ。国は基準を設けて業者の認証制度等の構築を目指すというが、今すぐ身元保証サービスが必要な人もいるだろう。鈴木さんに適正な業者を見極めるポイントを聞いた。



「契約の際は、冷静に判断できる第三者の立ち会いがあると安心です。2023年の調査では契約内容の『重要事項説明書』を作成する業者は全体の2割でしたが、作成する業者を選んでください」



ほかにも、契約内容の説明は1回に限らず何度も受け、熟慮期間を設ける。契約をいつでも解約できること、利用者からの相談窓口があることも重要だ。



「寄付は求められたら注意が必要。寄付や遺贈を条件とした契約は避けるべきでしょう」 死後事務について、利用者自身は確認できないので第三者が確認する仕組みが必要だ。さらに、契約後も体調の変化などに応じてサービスの見直しを行い、安価な公的サービスの情報提供も業者に求めたい。



「身元保証サービスは、さまざまな専門家と連携が必要になることも。利用者の生活全般を把握し、利用者が本当に必要なサービスを提供してくれる身元保証サービス会社が見つかるといいですね」



玉石混交の中から、自分に合った業者を見つける選択眼を養おう。

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  • 日本では入院時などに身元保証人を求められることが多い → 直近10年の間に、帯状疱疹で1週間入院した時も、自由診療の手術受けた時も、保証人とか要求されたりしなかったけどね。
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