クラミジア感染症とは……無症状で広がり、患者数の多い性感染症
クラミジア感染症は患者数が非常に多く、特に若年層を中心に広がっている性感染症の1つです。無症状で進行するケースが多く、感染に気づかないまま放置されることも少なくありません。一方で不妊症などの原因にもなるため、早期発見と適切な治療が大変重要です。クラミジア感染症は、「クラミジア・トラコマティス」という病原体が原因で起こります。感染する部位は、生殖器が一般的ですが、喉や肛門への感染も見られることがあります。基本情報を分かりやすく解説します。
クラミジアの主な症状……男女で異なる典型的な症状と合併症
クラミジア感染症は、多くの場合、無症状で経過します。そのため、気づかないうちに他者に感染させてしまうリスクがあります。以下に男女別の典型的な症状を挙げます。■男性がクラミジアに感染した場合の症状
・尿道から透明または乳白色の分泌物が出る
・排尿時に痛みや違和感を感じる
・精巣やその周囲の痛み(精巣上体炎)
■女性がクラミジアに感染した場合の症状
・おりものの量や色の変化
・下腹部の痛みや違和感
・不正出血がみられる
放置すると、男性では精巣炎、女性では骨盤腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こし、不妊症の原因になるリスクもあります。
クラミジアの感染経路……日常生活でリスクがあるのは「性行為」のみ
クラミジアの感染は、主に以下の経路で広がります。
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・感染者の分泌物が粘膜に接触する行為
理屈としては、感染者の分泌物が粘膜に接触した場合、感染する可能性はあります。しかし、日常生活においてそのようなことは考えにくいため、一般的に感染経路は性行為のみと考えてよいでしょう。
無症状のことも多いため、感染が見逃されやすくなります。そのため、感染予防が非常に重要です。
クラミジアの診断法・治療法
クラミジア感染の診断は、尿検査や分泌物を採取して行われます。最近ではPCR検査が普及し、より精度の高い診断が可能となっています。治療には抗生物質が使用されます。一般的に使用されるのは、以下の薬剤です。
・アジスロマイシン:単回投与で治療可能
・ドキシサイクリン:7日間の服用が必要
治療中は性行為を控え、治療後には再検査を受けて治癒していると確認することが大切です。
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クラミジア感染を防ぐためのポイント
クラミジア感染を予防するために、以下の点を心がけましょう。・性行為時にはコンドームを正しく使用する
・定期的な検査を受け、早期発見に努める
・複数のパートナーを持たないようにする
実際の診療の場で感じる、クラミジア感染の現状
日々の診療の場では、クラミジアの感染に気づかず、放置している患者さんは少なくありません。特に、自覚症状のない状態で感染を広げてしまうケース(いわゆる「隠れ感染」)が多発しています。また、一度治療を受けても、パートナーが未治療の場合、再感染(ピンポン感染)するリスクがあります。
そのため、クラミジアに感染していることが分かった場合は、パートナーと一緒に治療を受けることと、予防策を徹底することが重要です。
まとめ
クラミジア感染症は、早期に診断し適切な治療を行えば完治が可能です。しかし、無症状のことが多いため、感染に気づかないことが感染拡大の原因となっています。感染予防を徹底し、リスクがある場合は早めに検査を受けるようにしましょう。
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鏡原 裕一プロフィール
オンライン診療の普及と医療アクセスの利便性向上を目指す起業家医師。院長を務めるクリニックでは、「便利で安心な医療サービス」をモットーにDX化で効率化を図りながら、多様な医療サービスを提供している。(文:鏡原 裕一(医師))