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<フィギュアスケート:国民スポーツ大会冬季大会(旧冬季国体)>◇第3日◇29日◇岡山・ヘルスピア倉敷◇成年男子フリー
涙、涙のラストダンスだった。
昨年末の全日本選手権で4位となった37歳の織田信成(大阪)が、現役最後の競技会を終えた。フリー128・85点の合計206・45点。SPから2つ順位を落として個人4位だった。
競技前から涙をこらえられなかった。「楽しんでおいで」と背中を押してくれた母、憲子コーチの泣き顔を見て、「つられて泣いてしまった」。冒頭の4回転トーループで転倒すると、その後もジャンプでミスが相次ぎ、思うような締めくくりとはならなかった。それでも「今シーズン一番悪い出来だったけど、なんか自分らしいかな」とまた感極まった。四方に深々と頭を下げて、戦い抜いたリンクを後にした。
13年の全日本後に1度現役を退いたが、22年秋に電撃復帰。2年と数カ月を全力でやり切った。未練はない。「この2年間好き放題やらせてくれた。(1度目の)引退してから3回膝の手術をして、全日本の時に『膝が限界』と言っていたんですけど、今は絶好調です」と笑い飛ばしながらも、「やり残したことは切りがないけど、気持ちの部分ではやり残したことはない」とすがすがしかった。
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3度目の現役復帰があるかとの問いには「もうさすがに(ない)」ときっぱり。「次は頑張る選手のサポートに回れたらいいかな」と新たなスタートを切る。「この4分間で自分の人生や個性や性格、そして大きな感動を与えられるのがフィギュアスケート」。今後はアイスショーや解説者として携わっていく予定。競技者としては靴を脱ぐが、これからもその魅力を違う形で伝え続ける。【勝部晃多】
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