
福井県にあるマルカワみそ株式会社が、Xに投稿した一言が大バズリしている。
<とある会社の方に 「食塩水500ccを入れるだけで、小麦不使用のたまり醤油が出来る国産有機乾燥大麦豆麹」 を提案したら、あまり興味ないって言われました(泣)>
開発の途中だというが、2月10日現在の表示数421.8万、いいね5.8万、リポスト9200超。一体どんな商品なのか? 投稿した同社の専務・河崎紘徳さんに聞いた。
2年間発酵させると美味しいたまり醤油が完成
マルカワみそ株式会社は有機味噌、有機麹、有機甘酒などを製造販売する1914年創業の老舗メーカーだ。
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「食塩水500ccを入れるだけで、小麦不使用のたまり醤油が出来る国産有機乾燥大麦豆麹」(以下、手づくり醤油キット)は、蓋つきの瓶かペットボトルに水を入れて2年間発酵させると、とろりとした濃厚な「たまり醤油」がつくれるというもの。
Xに投稿したところ「海外在住にめちゃめちゃ需要あると思います」「世界中の至る所でつくれるし、輸送費や品質維持のコスト制限にもなる」などのコメントが殺到した。
小麦不使用、アレルギーのある人もOK
市販されている醤油の多くは、香ばしさを引き立たせるため原材料に小麦が含まれているという。手づくり醤油キットは小麦を使わず、国産丸大豆と大麦だけを使用しているので、小麦アレルギーがある人も安心して摂取できる。
「醤油は小麦と水と塩を混ぜ続けて、2年間発酵させてつくります。水を入れる工程を、お客様の手でやっていただくだけです」
仕込んだら、初めの段階で定期的に混ぜることが必須だという。
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「はじめの1週間は毎日、1カ月までは2日に1回、2カ月までは3日に1回、3カ月目からは1週間に2回ぐらい、容器ごと振るか上下をひっくり返すように混ぜます。もし旅行などで混ぜられない場合は冷蔵してください」
できあがったら、もろみの状態で4カ月、絞ると約400ccの醤油が採れて1年半は保存できるそうだ。価格は未定とのこと。
Xの投稿では食塩水を入れることになっているが、その後「あらかじめ塩も入れて商品化することに決まった」とのことで、工程がより簡単になり、真水を入れるだけで良いそうだ。
地元の小学校で食育に活用してほしい
今後については、9月頃の発売を目指して準備を進めている。また、小麦不使用の手づくり醤油キットを展開しつつ、大麦と豆麹の醤油キットと米麹と豆麹のキットも開発したいとのこと。さらに、地元の小学生が5年生になるタイミングで手づくり醤油キットを寄付し、卒業まで2年間かけて醤油づくりを楽しんでもらいながら食育にもつなげたいという。
「ふだん何気なく食べている醤油をちゃんとつくろうとしたら、2年もかかるんだという学びにも役立ててほしい」
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最後にワンポイントアドバイスとして、醤油を買う際の選び方を聞いた。
「原材料は国産の丸大豆・小麦・塩で、本来のつくり方で製造されていること」
安価な醤油は添加物を多く使い、わずか3〜6カ月で熟成させているそうだ。
「本来の醤油は2年かかります」と河崎さんは言う。
余談ながら、河崎さんが「趣味でつくった」という醤油も、手づくり醤油キットに引っ張られて小さくバズっている。
「5年間熟成させた『自然栽培たまりしょうゆ』です」
趣味でつくったこともあり、次の仕込みはしていないという。150gで税込み583円。取材した時点であと約200kgの在庫があると聞いた。欲しい人は、注文を急いだほうがいいかもしれない。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)