東京・浅草で旅館を経営していた夫婦が有害成分「エチレングリコール」で家族4人を相次ぎ殺害したとされる事件で、父親の死亡保険金約460万円をだまし取ったとして、警視庁浅草署捜査本部は12日、詐欺容疑で、元会社役員細谷健一(44)、妻志保(38)両容疑者を再逮捕した。逮捕は6度目で、一連の事件の捜査はこれで終結する見通し。
両容疑者は2018年1〜6月に健一容疑者の母八恵子さん=当時(68)、姉美奈子さん=同(41)、父勇さん=同(73)、23年3月に次女美輝ちゃん=同(4)=を殺害したとして、昨年、殺人容疑で4度逮捕された。
今年に入り、勇さんら3人の死亡保険金計約2580万円をだまし取ったとして、詐欺容疑でも逮捕、起訴された。
再逮捕容疑は22年3月、別の生命保険会社にも勇さんの死亡保険金の支払いを請求し、約460万円を詐取した疑い。
健一容疑者は勇さんが病死したという内容の死亡診断書や請求書を提出したが、保険会社の約款には、遺族であっても故意に殺害した者は受取人になれない旨の記載があった。
美輝ちゃんの不審死をきっかけに同庁が捜査し、両容疑者が4人を殺害し、保険金を詐取した疑いが浮上した。
健一容疑者は一連の事件で、否認や黙秘を続けているが今月6日、東京地裁での勾留理由開示手続きに出廷した際は、「公判で全てのことをお話ししようと考えている」などと述べた。
任意同行に応じる細谷志保容疑者=2023年8月29日、東京都台東区