山本由伸、今永昇太、千賀滉大(写真=GettyImages) 今季のメジャーリーグも大谷翔平(ドジャース)を中心に、多くの日本人選手がエキサイティングなニュースを日本に届けてくれるだろう。
1995年に野茂英雄がメジャー挑戦を果たしたのを機に、それまでほとんどいなかった日本人メジャーリーガーは徐々に増加。今季は最大で15人の日本人がメジャーでプレーする可能性がある。
今季から活躍の舞台をアメリカに移す“ルーキー”は合計4人。いずれも投手で、昨季までNPB各球団でエース級の働きを見せていた面々だ。
菅野智之(巨人→オリオールズ)は昨季、見事な復活を遂げ、チームを優勝に導くと、セ・リーグMVPを受賞。1年契約ながら年俸1300万ドル(約20億円)を勝ち取った。プロ入り後、2度目となるルーキーシーズンを35歳で迎える。
他には、セ・リーグで菅野としのぎを削った青柳晃洋(阪神→フィリーズ=マイナー契約)と小笠原慎之介(中日→ナショナルズ)、さらに佐々木朗希(ロッテ→ドジャース=マイナー契約)の3人がメジャーの強打者たちに立ち向かう。
マイナー契約の青柳、藤浪晋太郎(マリナーズ)、佐々木、さらに二刀流の大谷を含めると今季の日本人投手は総勢13人。このうち藤浪と松井裕樹(パドレス)を除く11人が先発タイプの投手である。
一般的に日本人投手は制球力や投球術に優れているといわれるが、どの投手もローテーション入りさえできれば、二桁勝利を期待したくなる実力の持ち主。ただ、そんな歴戦の強者でも10勝の壁は意外と厚い。
たとえば、2023年は大谷(当時エンゼルス、以下カッコ内は当時の所属チーム)、菊池雄星(ブルージェイズ)、千賀滉大(メッツ)の3人が大台10勝に達したが、昨季は今永昇太(カブス)の1人だけだった。
過去を振り返ると、二桁勝利を挙げた日本人投手が最も多かったシーズンは2014年。田中将大(ヤンキース)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)、黒田博樹(ヤンキース)、岩隈久志(マリナーズ)がそれぞれ10勝の大台に乗せた。
母数も多い今季はその4人を上回る可能性が高そうだ。というのも、米国データサイト『Fangraphs』に掲載されている「Steamer(スチーマー)」と呼ばれる成績予測システムによると、今季は今永、山本、菊池、千賀の4人が11勝、ダルビッシュと佐々木の2人がそれぞれ10勝すると算出しているからだ(日本時間18日現在)。
他にも大谷が9勝、菅野は7勝すると弾き出されている。大谷は肘の状態によるが、菅野はその実力を考えれば、やや控えめな数字といえるだろう。
もしこの2人が予測を上回り10勝することになれば、日本人投手の8人に二桁勝利のチャンスが生まれる。どの投手もケガなく過ごせればという条件付きにはなるが、11年前の4人を超えてのはまず間違いないのではないだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)