日本語学習支え「懸け橋に」=17歳で来日ハイチェンコさん―ウクライナ侵攻3年

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2025年02月22日 07:31  時事通信社

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時事通信社

インタビューに答えるマクシム・ハイチェンコさん=12日、東京・赤坂
 戦火から逃れ17歳で来日したマクシム・ハイチェンコさん(20)は、ベンチャー企業で働き、ウクライナ避難民向けの日本語学習アプリの作成に携わった。起業の夢に向け、4月からは別の会社で新たな道に進む。ロシアによる侵攻から3年を迎える中、「ウクライナと日本の懸け橋になりたい」と意気込む。

 ウクライナ南部ミコライウ州出身。首都キーウの大学でサイバーセキュリティーを学んでいた。侵攻時は1年生だったが、周辺ではミサイルの音は聞こえず、侵攻が起きた実感は湧かなかった。

 一方で、自身を取り巻く環境は一変。ウクライナでは侵攻を受け、18〜60歳の男性に出国を禁じる総動員令が出された。当時17歳で、故郷にとどまり戦場に行くか出国すべきか迷った。

 そんな中、母親から「ウクライナのために良いことをして戻ってきて」と言われ、出国を決意。日本のアニメが好きで日本語も勉強していたことから、侵攻から3カ月後の2022年5月に来日した。東京都内で新生活を始め、同年9月にはITスキルと日本語力を買われて教育系ITベンチャーに採用された。

 同社では、日本語習得で苦労することが多い避難民用の日本語学習支援アプリの作成を手掛けた。アプリを通じ、ひらがなやカタカナ、漢字を学び、日常生活レベルの会話を習得できるという。アプリ登録者は500人を超え、毎週のオンライン授業はマクシムという名前の愛称から「マックス塾」と呼ばれ人気を呼んだ。

 来日から間もなく3年。「軍事侵攻が当たり前になり、慣れてしまった。それが怖い」と危機感を強める。「侵攻を許してはいけない。日本はウクライナへの関心を持ち続けてほしい」と訴える。

 母国の母親からは昨年、電話で「もう無理、限界だから会いたい」と涙声で言われた。ただその後は息子の活躍を知り、心から応援している。ハイチェンコさんは25歳までに起業するとの夢をかなえるため、4月から別の会社でスタートを切る。「日本とウクライナをつなぐという、自分にしかできないことを頑張りたい」。 

このニュースに関するつぶやき

  • 母親を呼び寄せればいいのに。
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