《膣の専門医に聞いた》“恥垢”はにおいの原因に、日々のお手入れで若返る還暦からの“膣ケア”

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2025年02月25日 07:00  週刊女性PRIME

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サイトリ杉山美容クリニックの櫻井夏子先生

 手や頭皮が乾燥するように、加齢による女性ホルモンの低下で、膣も乾燥しやすく、かゆみが出てくるように。ケアを怠ったり関心を向けないと、病気に気づけないことも……。ほかにも尿漏れやにおいのトラブルなど、フェムケアに詳しい美容外科医に聞いた。

慢性的な不快感や炎症の原因にも

 2月19日は語呂合わせから、「フェム(2)テッ(10)ク(9)を学ぶ日」だそう。最近よく耳にする“フェムテック”や“フェムケア”って何?

「フェムケアとは女性(Feminine)とケア(care)を組み合わせた造語で、膣のケアをはじめ女性の身体や健康にまつわるケアのこと。フェムテックはそれらの悩みを解決するための商品やサービスのことです。

 女性は生理痛、月経前症候群、更年期など、女性ホルモンの影響を強く受け、一生涯悩みはつきません。人生100年時代といわれる今、心身共に健康でい続けるために、どの世代にとっても重要です

 と話すのは、美容外科医の櫻井夏子先生

 櫻井先生は婦人科形成を専門にする、いわば“膣のスペシャリスト”だ。

「50代〜60代は閉経を迎えて、性交渉への積極性も減り、デリケートゾーンへの関心が薄れていく世代。それゆえに、乾燥やかゆみなどの異変を感じても、放置してしまうか、そもそも気づかない人も多い。

 女性ホルモンの分泌量が減ることで、デリケートゾーンが乾燥しやすく、そのままにしておくと、慢性的な不快感や炎症の原因にもなります」(櫻井先生、以下同)

 膣炎になると排尿痛やにおいのもとになる。

女性ホルモンは筋肉の維持にも関係しているので、子宮や膣、膀胱を支える骨盤底筋群も衰えます。すると、尿漏れや、子宮が体外へ出てしまう子宮脱になり外科的な手術が必要になることも。こうした女性ホルモンの低下による身体の変化や、性器のトラブルに早めに関心を向けると、シニア世代以降も快適な陰部で過ごせます

 膣ケアは何から始めるのが正解?

「まずは外陰部を鏡で見てみましょう。スキンケアの時に顔を鏡で見るように、シワやたるみ、炎症がないかなど日頃からチェックを。デリケートゾーンを見たり触れたりするのは、恥ずかしい、タブーと思っている方が多いですが、目視することで気づくことはたくさんあります。

 例えば、乾燥による大陰唇や小陰唇のひび割れは、軽症の場合は無症状なので目で見ることではじめてわかるのです。ひび割れから菌が入り込んで炎症を起こすこともあるので、痛みがない場合は、清潔にした後に保湿をして悪化を防ぎましょう

 乾燥以前に、汚れがしっかり落ちていない、と気づく人も多いという。

クリニックでは診察前にビデで洗浄してもらうのですが、トイレットペーパーの切れ端が外陰部、いわゆるヒダの間に残っている人も少なくありません。それは普段からゴシゴシと、デリケートゾーンにダメージを与えながら汚れが残りやすい拭き方をしている証拠。“小”をした時は、ペーパーを押し当てて水分を拭きとる“押し拭き”をして、ペーパーの切れ端が残らないようにしましょう

60代以上の女性の10人に1人が子宮脱を含む骨盤臓器脱に

 さらには、尿や汗、おりものなどに含まれるタンパク質から、できる“恥垢”が残っていることも……。

毛細血管が老化することで性器も萎縮するため、シワやたるみが深くなり、そこに恥垢がたまります。においの原因になるので、しっかりとヒダの間まで見て洗い、やさしく丁寧に汚れを落として

 鏡で見て正常な状態を知っておくと、トラブルに気づきやすいという。

ピンク色のボールのようなものが膣の入り口あたりに見えたら、子宮脱を起こしている可能性が高いです。60代以上の女性の10人に1人が子宮脱を含む骨盤臓器脱を起こしているというデータもあるので、人ごとではありません。膣に何か挟まっているような違和感も伴うため、異変を感じたらすぐに医師に相談をしてください

 鏡でチェックする習慣と一緒に、手軽にできるセルフケアも取り入れたい。

乾燥には保湿とマッサージがおすすめ。お風呂上がりなど清潔な状態で、弱酸性のデリケートゾーン専用ジェルなどを使い、軽く指を押し当てながら性器全体に塗り広げます。

 膣の中にも指を第二関節あたりまで入れ、入り口を指の腹でぐーっと1分間ほどやさしく圧をかけることで膣の内側がほぐれて血行がよくなります。血流がよくなると肌細胞に酸素や栄養が行き渡りやすくなるので、乾燥の改善や予防になるのです

 体調が悪い時は避け、ジェルやオイルは「膣の中まで使用可能か」をチェックしよう。

膣の中にまで保湿剤を入れてマッサージをすることに抵抗がある人は、外陰部だけでも毎日行うことで、血行がよくなりふっくらしてくるので、まずはそこから試して

 加齢のためと諦めがちな尿漏れには、骨盤底筋群を鍛える上図のケーゲル体操が効果的。

ただ、尿漏れはお腹に力を入れた時に起こる腹圧性尿失禁、少しずつ尿があふれてきてしまう溢流性尿失禁など、さまざまな種類があり、原因が異なります。症状がひどい方は、早めに婦人科か泌尿器科の受診を

 日々の食事でもセルフケアができるという。

今すぐ取り入れたいマッサージ&グッズ

膣の中にも、腸と同じように善玉菌がいて、悪玉菌が増えることで炎症などのトラブルが起こりやすくなります。加齢とともに悪玉菌が増加する傾向にあるため、善玉菌のエサとなる発酵食品や食物繊維が豊富な食べ物をしっかりとる“菌活”が、膣の健康にもつながります

膣の乾燥を防ぐ! デリケートゾーンマッサージ

身体が清潔な時に行う。デリケートゾーン用の保湿剤を指に塗り大陰唇や小陰唇のヒダの中まで指を入れて保湿剤を塗り広げるように軽くマッサージ。膣には指の第二関節あたりまで入れて指の腹でぐーっとやさしく圧をかける。会陰をクルクルと円を描くように刺激することで、便秘の解消にも!

老舗フェムケアショップがすすめるイチオシグッズ

中高年世代にも、フェムケア商品への関心が高まっているように感じます。特に尿漏れ予防や防止のために膣トレグッズを購入されたり、吸水ショーツをお求めの方が多いです」(ラブピースクラブ広報・山本あやのさん)

・elvie(英)/35200円(税込み)

 スマホと連動された本体を膣内に挿入すると、専用アプリが膣圧を測定。アプリの指示どおりに膣を「締める・ゆるめる」運動をすることで、骨盤底筋が鍛えられ尿漏れや便秘、お腹ぽっこり、冷え性の改善に。

・MOON PANTS/7480円(税込み)

 15ml〜20ml吸水量で、抗菌防臭効果もある吸水ショーツ。お腹を冷やさず締めつけないハイウエストタイプで、前面にはカイロ用のポケット付き。速乾性があるので、旅行のお供に1枚持っておくと安心。

お問い合わせ ラブピースクラブ(0120-812-554)

取材・文・イラスト/ますみかん

櫻井夏子先生 サイトリ杉山美容クリニック院長。美容皮膚科医、整形外科医。婦人科形成のスペシャリスト。「フェムケアをもっと知ってもらいたい!」という思いから、講演活動も行う。(インスタ@dr_natsu_beauty)

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  • ボディソーフや石鹸だけではダメですか?
    • イイネ!8
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