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Q. うつ病で休職する場合、どのくらいの期間で会社を休むべきですか?
Q. 「うつ病を抱えながら働いているのですが、調子がよくないので、一度休職しようと考えています。経済的な事情もあるので、あまり長期間は休みたくありません。会社はどのくらい休むべきでしょうか?」A. 通常は1〜3カ月と考えますが、個人差が大きいため主治医に相談を
うつ病の休職期間には、かなりの個人差があります。治療効果の出方に差があり、同じ薬でも想定より早く効き始める人もいれば、逆に効果が出始めるのが遅い人もいるからです。うつ病で休職をする場合、通常は勤め先から診断書の提出を求められることが多くあります。実際の診療の場でも、抑うつ状態の患者さんから、診断書を求められることは珍しくありません。
筆者が作成する際は、自宅療養期間は通常1〜3カ月と考え、診断書にも「〇月〇日から〇月〇日まで、自宅療養ならびに外来通院の必要を認めます」というように明確に日付を記します。
「短くても1カ月以上」とする理由は、うつ病の急性期症状は、通常1カ月以内には寛解しないからです。うつ病の治療手段は、基本的に抗うつ薬です。抗うつ薬の効き目は、劇的ではなく、ゆっくりと現れます。
投薬開始から1カ月が経過した頃から、患者さんが効果を自覚できるレベルになることが多いため、処方した抗うつ薬の治療効果を判定するのは1カ月後が一般的です。一方、自宅療養期間を「3カ月以下」にする理由は、うつ病の急性期症状は通常3カ月くらいで寛解するからです。
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段階的な復帰、例えば、はじめの2週間は時短勤務といった形が理想的です」といった内容を記しています。
また、初診の患者さんの場合は、それまでの抗うつ状態の変化や薬の効き方などが通院患者さん以上に分からないため、診断書に記す期間を最初から3カ月にはせず、まずは1カ月ほどにすることもあります。1カ月目の終わりに再度診療した上で、療養期間を1カ月延長する診断書を作成することもあります。
最後に一つ、注意点です。以上の内容は初診から外来通院で治療を受ける方の自宅療養期間の目安です。うつ病の重症度でいえば、軽〜中程度になります。もしも希死念慮がはっきり現れていたり、食事が取れなかったりする場合、うつ病の中でも重症例となり、入院治療が望ましくなります。
主治医としっかり相談をした上で、ご自身にあった適切な休職期間を取ってください。
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中嶋 泰憲プロフィール
千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。(文:中嶋 泰憲(医師))