第2打席のロッテ・山口航輝[撮影=山下拓人] 「まず打つことが大事。長打だけでなく、結果を求めて頑張りたいです」。
ロッテの山口航輝は石垣島春季キャンプ中、このように話していたが、実戦がはじまってからバットできっちりとアピールしている。
今季初の対外試合となった2月16日の楽天モンキーズ戦で、ライトの守備から途中出場し2打席目にセンター前に適時打、2月18日のヤクルトとの練習試合で本塁打を含む2安打2打点、2月22日の中日とのオープン戦では藤嶋健人から昨秋から打撃練習で取り組んできたバックスクリーンに本塁打。
24日の巨人とのオープン戦で1安打、26日のオリックスとの練習試合で明桜高時代のチームメイトだった曽谷龍平からレフト前に適時打を放つなど、対外試合2度目のマルチ安打を放った。ここまで対外試合7試合に出場して、打率.350(20−7)、2本塁打、5打点と結果を残す。
◆ 悔しい1年を糧に
山口は22年から2年連続二桁本塁打を放ち、昨季は開幕4番を務めたが故障や自身の好不調の波が大きく、一軍定着後、自己ワーストの51試合に出場して、打率.200、2本塁打、13打点に終わった。
昨季終了後にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、「引っ張りよりはセンター方向、逆方向に打つのもいいけど、センターにいい打球が打ててるというのはいい形じゃないと、あそこに入らないと思います。そこを目指してやっていきたい」とバックスクリーンを目掛けて打撃練習を取り組んだ。自主トレ期間中も、バックスクリーンにいい打球を打てるようにバットを振った。
「まず自分が追い込みたかったのも1つありますし、妥協できない環境を作って、やるしかないという環境のもとで、トレーナーをつけました。高校から見てもらっている人なので、キツイ練習することはわかっていた。いい練習ができたと思いました」と自主トレ期間中、厳しい練習を課し、体重も3キロ、4キロ落とした。
石垣島春季キャンプでは、朝からバットを振りまくった。アーリーワークでは大塚明チーフ打撃コーチ兼走塁コーチと室内練習場で、マンツーマンでバットを振ることが多かった。大塚コーチは石垣島春季キャンプ中、「あれだけ飛ばすバッターはなかなかいないからね。メカニック的な問題で下(下半身)がつっかえるので、振り抜きがなかなかできないところが一つ課題がある。そこをどう克服していくか、本当は体幹で入れ替えていかないといけないんだけど、うまく行ったり、いかなかったりですね」とマンツーマンで取り組む打撃練習について教えてくれた。
山口も「色々試しながらやっていますし、試している時間とかないとは思いますけど、その中でいかにいいものを出せるように色々試行錯誤しながら、細かいところまで、これだけ時間があったら出てくると思うので、いい練習ができていると思いますし、去年は怪我して振り込めなかったので、いいキャンプを送れているんじゃないかなと思います」と、石垣島春季キャンプは充実の時間となった。
今年の石垣島春季キャンプで、決意を持って練習を取り組んでいるように感じたのは打撃練習だけではない。ベースランニングでは、「先頭に立ってやることは大事だと思いますし、アップとかもなるべく前にいくようにはしています」と常に先頭を走った。
プロ7年目の今季、「去年はああいうシーズンだったので、笑って終われるような、良いシーズンだったなと言えるようにいい成績を残したいです」と意気込む。同じ右打ちの外野手で長打力が魅力の西川史礁、山本大斗をはじめ、外野手のライバルは多い。ポジションを掴むため、とにかく打って打って打ちまくって、自身の居場所を掴んでみせる。
取材・文=岩下雄太