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上司から性的暴行を受けるなどして心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、宮城県内の陸上自衛隊駐屯地に勤務する30代の男性自衛官が、駐屯地側に民間の労災に当たる「公務災害」を申請したことが判明した。申請は昨年12月17日付。男性は「関係者に謝罪してもらうとともに、組織の隠蔽(いんぺい)体質を変えてもらいたい」と訴えている。
男性と、支援する弁護団が27日に仙台市内で記者会見して明らかにした。弁護団によると、男性は2006年、18歳で任官。配属直後から隊の男性上司2人から「女みたい」などの発言を受け、忘年会で女装するよう指示を受け、キスをされたり胸を触られたりするなどした。
勤務中も整備工場内で2人から体を拘束され、下半身を露出させられたほか、工具で性器に触れるなどの暴行を受けた。こうした行為は男性が異動するまで5年近く日常的に続いたという。
男性は22年に所属長へ一連のハラスメント行為を報告したが、「(本人の証言と)事実が一致しないので(ハラスメントを)認定できない」と告げられるなど、十分な対応を受けられなかったとしている。男性は24年2月、PTSDと診断された。
男性はこれまで受けた暴行について「吐き気のするような経験だった」と振り返る。「自衛隊には階級が下の者は上に逆らえない組織風土がある。他にも同じような被害を受けた隊員がいるが『昔から俺もやられているから我慢しろ』と言われた」と告白。「組織体質が変わらなければ、隊を続けるかどうか迷っている」と複雑な胸の内を明かした。
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弁護団の小野寺義象弁護士は「公務災害の認定をめぐっては、自衛隊内部の調査にとどまり不十分だ。本来であれば第三者機関に調査してもらう必要がある」と指摘した。
駐屯地側は毎日新聞の取材に「調査中なので詳細は控えたい」と答えた。【遠藤大志】
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