【国際女性デー】制定から50年、ジェンダー後進国・日本の現状と未来「女性をリスペクトする記念日として定着させたい」

2

2025年02月28日 09:10  ORICON NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

「国際女性デー」制定から50年、日本の現状と未来は?
 女性の地位向上や差別撤廃などを目指し、国連が3月8日を「国際女性デー」に制定して今年で半世紀。しかし、日本では未だ男女間の雇用格差や賃金格差、ハラスメントなど課題は山積み。世界各国の男女格差を表した「ジェンダーギャップ指数」でも、日本は世界146ヵ国中118位(2024年度)となっている。そこで、日本で「国際女性デー」を広めるなど、ジェンダー平等を推進する様々な活動を展開しているHAPPY WOMAN(R)の代表・小川孔一さんに、現在の日本の問題点や目指す「女性が幸せに生きられる社会」について聞いた。

【写真】「ついにやった」「女性として認められた」IKKO

■言葉遣いにも潜む「無意識の偏見」、日本社会に根付く固定観念とは?

 国連によって「国際女性デー」が制定されたのは、今から50年前の1975年3月8日。以後、イタリアではこの日を「ミモザの日」として、女性に愛と感謝を花言葉とするミモザの花を贈る風習が定着。アフガニスタンやカンボジアなど、20カ国以上でこの日は祝日に制定されているほか、世界各国で女性の権利についてのワークショップやイベントが開催。3月8日はジェンダー平等の推進や、女性の権利を守るための行動を再確認する日として世界中で様々な取り組みが行われてきた。

 そんな中、日本はというと、「国際女性デー」の認知度ですらまだまだ低いのが実情。それを表すように、世界経済フォーラム発表による男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」では、公表が始まった2006年以降、日本は毎年「ジェンダー平等後進国」と言える下位グループに位置。2024年度は調査対象146カ国中118位と、前年の125位から小幅に順位を上げたものの、多くの新興国や途上国、日本政府が開発援助している国々よりも低い結果となっている。

 経済協力開発機構(OECD)の加盟国として先進国に位置づけられているのに、なぜ、ジェンダー平等において、日本は後進国となってしまっているのか。まず、その原因のひとつは、女性管理職と女性議員の数の少なさだと指摘されている。ジェンダーギャップ指数は、「教育」「健康」「政治」「経済」の分野ごとに算出されるが、日本では女性の「政治参画」と「経済参画」がとくに低く、ジェンダーギャップ指数を押し下げる要因になっているのだ。その背景について、小川孔一さんはこう分析する。

 「夫婦別姓が認められていないのは先進国で日本だけですが、そこに象徴されるように、日本は制度や文化・歴史が影響している面がひじょうに大きいといえます。昭和の時代の日本は、男性は働きに出て、女性は家事をするという無意識の偏見が根付いています。

 しかし時代は変わり、少子化が進み経済も衰退している今、男女ともに意識を変えて取り組んでいかないと、国の未来はありません。男女共同参画や働き方改革などの制度面はだいぶ改善されてきましたが、まだまだ問題は山積みです。法律だけでなく意識も、いろいろ見直さなければいけない時期にきていると思います」(小川氏/以下同)

 特に大きな課題として小川さんが挙げるのが、「無意識の偏見」だ。

 「男はこうあるべき、女はこうあるべきというような、思い込みってありますよね。配偶者のことを“家内”とか“嫁”“奥さん”と呼びますが、これも女性は家にいて、家事をするのが当たり前だった時代の言い方で、今の時代はふさわしくないとも言えます。男性が家事を『手伝う』と言ってしまうのも、家事は女性がやるものという無意識の思い込みがあるからです。長年、染みついた文化・習慣を変えることは大変ですが、こういったアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)をどう脱却していくかは日本が直面している大きな課題だと思います」

■日本に「国際女性デー」を根付かせるために10年かけた取り組み

 小川さんが「HAPPY WOMAN(R)」を立ち上げたのも、そんな課題を解決したいという思いが発端だった。まだ日本では大半の人が「国際女性デー」の存在すら知らなかった2015年のことである。

 「自宅出産で2人の子どもが生まれ、僕がへその緒を切ったことがきっかけでした。女性という生命体の強さや、たくましさを目の当たりにしてリスペクトが芽生えるとともに、生まれてきた子どものこれからを考えたとき、今の日本の未来に対してひじょうに危機感を覚えました。自分の人生100年だけでなく、子どもたちの生きるさらにその先の100年まで豊かな国にしていくのが親として、大人としての責任だと思ったんです」

 そのために、まず、取り組んだのが「国際女性デー」の存在を日本に広めることだった。2015年のSDGsが採択された年に起業し、2年間の準備期間を経て、2017年から「女性の生き方を考える日」をテーマに、3月8日に「HAPPY WOMAN FESTA」を開催。「当時はジェンダーの問題への関心も薄く、興味関心を持ってもらうことは非常に困難でした。みんなに好奇心を持って、ワクワクする気持ちで参加してもらいたい」という思いから、エンターテイメントの要素を取り入れて、トークショーやワークショップなどを行った。

 その後も産官学民を巻き込んで様々なイベントを実施。現在は、国連関連機関をはじめ内閣府男女共同参画局、外務省、厚生労働省や各自治体などからの後援をはじめ、様々なパートナー企業が協賛、協力をしている。

 ホテルや百貨店、レストラン、フラワーショップなどでは、「国際女性デー」のシンボルであるミモザや、HAPPY WOMAN(R)のシンボルカラーである「HAPPY YELLWOW(R)|幸せの黄色」をモチーフにしたディスプレイやアイテム、メニューなどを展開するイベントやサービスを実施。さらに、持続可能な社会づくりに貢献した女性の性や企業を称える「HAPPY WOMAN AWARD」は毎年メディアで報道され、年々エントリーする人や企業、報道するメディアが増えているという。

 「一会場だけや、ひとつのイベントだけでは効果は知れています。なので、生活の中で気づいたら『HAPPY WOMAN』という言葉を目にできるよう、多彩な場所で多くの人たちを巻き込んで現象を作ることに力を入れてきました。『国際女性デー』のイベントというと、世界的にはデモが一般的ですが、私は日本では『幸せ』を軸に、前向きなメッセージを発信する日にしたかった。そうやって社会的ムーブメントを起こしていくことによって、みんなが意識を変え、行動し、世の中を変えていければと思って、この10年間取り組んできました」

■目指すは「国際女性デーのあり方が変わる時代」、小川さんの描くジェンダー平等のゴール

 10年の歳月を経て徐々にではあるが、着実に日本での広まりを実感しながらも「まだ志の3合目程度」と苦笑する小川さん。たしかにジェンダー後進国の日本には、先にも述べたとおり、まだまだ問題が山積。しかし、その一方で小川さんのもとではこんな希望の種も育っている。

 「HAPPY WOMAN FESTA 2025では、大学生たちとのイベントも共催します。今の若者は子どもの頃から教科書で当たり前のようにSDGsを学んでいて、今、社会を動かしている大人たちとは明らかに違う環境下で育っています。そのため、ジェンダー平等において大人とは考え方に大きなギャップがあり、学生でいるうちはジェンダー不平等を感じていないのに、就職した途端、ギャップを感じ始めるという社会であることが問題。

 でも、学生部の子たちを見ていて、日本の未来は明るいなと感じていますので、彼ら彼女らがその感性を存分に発揮できるよう、そして、後輩にバトンタッチしていけるようにもしたいと考えています」

 そんな小川さんが目指すゴールは、「ジェンダー平等が実現し、国際女性デーのあり方が変わる時代。女性をリスペクトする記念日として定着させたい」。

 「日本のジェンダーギャップ指数を上げていくことがまずひとつの目標ではありますが、やはり一番大事なのは、すべての人たちが幸せに生きていくための最低限の環境を整え、誰もが自分らしく幸せに生きられる社会を作ることです。今後、AIの普及で働き方が劇的に変わっていくことが予測される中、働き方や生き方は変化し、女性もますます力を発揮できる時代になると思います。SDGsの17番にパートナーシップがありますが、一人でできることは限りがあるので、みんなで力を合わせて、日本を自分が自信をもって生きていける社会にしていきたいと思っています」

 この時期、ミモザや黄色をモチーフにしたディスプレイや商品を目にする機会がきっとあるハズ。昨年末から世間を騒がせたフジテレビ問題で日本の女性軽視の実情があぶり出されたが、昭和の時代に当たり前だった価値観に「否」を唱えられる人が増えていくことで、さらなるスピード感をもって社会変革が進んでいくことを期待したい。

 取材・文/河上いつ子

このニュースに関するつぶやき

  • 大概のジェンダーバカは男性憎悪・男性蔑視・女尊男卑思想に凝り固まった奴が多い。田嶋陽子とか北原みのりあたり見ればよくわかる。
    • イイネ!5
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

前日のランキングへ

ニュース設定