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セクハラ・パワハラ行為が問題視されたことでラジオ番組などを降板したフリーアナウンサーの生島ヒロシが、事実上の引退となる可能性が高まった。レギュラー番組を放送していたTBSラジオの社長が「もう引退状態」と明言したのだ。
生島については、ラジオ番組の女性スタッフに不適切な画像・動画を送信するなどのセクハラ行為や、スタッフにきつく当たるなどのパワハラ行為が繰り返されていたとして、TBSラジオが長年続いていた『生島ヒロシのおはよう定食』『生島ヒロシのおはよう一直線』からの降板を発表した。
生島も「私自身のハラスメントに対する意識・認識が甘く、猛省をしております」などと事実を認める謝罪コメントを公表。会長を務めていた所属事務所「生島企画室」からも退所・退任となり、同事務所は「FIRST AGENT」に社名変更した。
TBSラジオの林慎太郎社長は26日の定例会見で、今後の番組起用について「生島さん自身は引退状態ですので、もうご出演いただくことはないかなと思います」と語り、生島の事実上の引退を示唆。ラジオ業界を支えてきた大ベテランの幕引きとしては寂しい「業界追放」ともいえる状況となった。
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「私のところにも動画が……」
さらに週刊誌で元所属タレントの女性が悪質なセクハラ行為を告発するなど騒動はいまだ収まっていないが、生島は世間一般的には人当たりのいいキャラクターで知られていただけに、ネット上では驚きの声が広がっている。
しかし、実は業界内では生島のセクハラ・パワハラについては「周知の事実」だったようだ。在京テレビ局の関係者が証言する。
「生島さんに近い人たちに話を聞くと、ひわいな画像や動画の件はかなり知られていたことのようです。実は私のところにも、ある方からそのような動画が送られてきたことがあったのですが、元をたどれば『生島さんから』だったと。私は男性ですからまだ目くじらを立てることはなかったのですが、女性からすれば気持ち悪いの一言ではないかなと思います。
また、パワハラに関してもラジオの制作スタッフの間ではかなり有名でしたが、生島さんは人気番組のパーソナリティーを長年務める『TBSラジオの顔』のような存在だったため、誰も注意したくてもできない“お殿様”状態だったようです。今回の画像・動画の件がある意味、被害告発のいいきっかけになったと聞きました」
長寿番組ほどハラスメント起きやすい
近年は芸能界でもコンプライアンスが厳しくなっているが、生島の件は「氷山の一角」との見方もある。「告発」されかねないような、前時代的な振る舞いを続けている大御所は他にもいるのだろうか。前出の関係者が続ける。
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「大なり小なり、そのような司会者はいるでしょう。番組が長く続けばその確率も高くなります。長く続くということは、結果を出しているということ。結果を出していれば、その司会者の言うことがなにかと通りやすくなる。時にそれが無茶なことでも、製作陣は我慢せざるを得なくなるのです。なので、長く続く番組はどうしてもパワハラ・セクハラが生まれやすい傾向がある。一方で、司会者側の苦悩もあるかと思います。天狗になってしまう司会者が一概にすべて悪いとも言えず、製作陣の不甲斐なさが原因になっていることもままありますから。
ただ、ここ数年はコンプライアンスが厳しくなっていますから、司会者もみんなそのあたり注意していると思います。周囲へのモノの言い方、接し方など、よくも悪くも昔では考えられないほどソフトになっている現場もある。ちなみに、今最も人気の高いアナウンサーの一人である元日本テレビの羽鳥慎一さんは、これまで周囲からの悪い評判を一度も聞いたことがありません。スタジオでも外ロケでも周りへの配慮は完璧じゃないでしょうか」
今後も時代に適応できない大御所が「告発」される可能性はありそうで、羽鳥のように配慮できるタイプだけが生き残っていく「司会者の淘汰」が進んでいくのかもしれない。
(文=佐藤勇馬)
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