2026年春に卒業予定の学生を対象とした合同企業説明会=1日午後、千葉市美浜区の幕張メッセ 2026年春に卒業予定の大学生らを対象とした企業の採用説明会が1日解禁された。人手不足を背景に学生優位の売り手市場となる中、既に4割近くが事実上の内定を得ているとの調査もある。将来の不確実性を嫌うとされる学生に対し、企業は福利厚生や入社後のキャリアなどの説明に力を入れている。
政府が示す就職活動のスケジュールは、大学3年生の3月1日に説明会、4年生の6月1日に面接、10月1日に正式内定が解禁される。だが、就職情報会社マイナビ(東京)が2月に実施した調査では、内々定率は36.6%と前年から11.7ポイント上昇。人材獲得競争の過熱で就活の早期化が進む。
3月1日に幕張メッセ(千葉市)で開かれた合同企業説明会には多くの学生が訪れた。中央大学の2年生は、同級生で就活を始めた人が多いと感じて情報収集に来た。「定年まで同じ会社で勤め上げる時代ではないと思うので、若手にも成長機会のある会社を見つけたい」と話した。金融業界を志望する日本大学の3年生はマイホームを買う人生プランがあり、「全国転勤のない地域採用がいい」という。
企業は有望な人材の確保へ、初任給引き上げといった待遇向上のアピールに躍起だ。マイナビによると、学生が企業選択で重視するポイントでは「安定している会社」が増加傾向で、特に「福利厚生の充実」に安定性を感じるという。入社後のミスマッチを防ぎたい考えも強く、インターンシップ(就業体験)の参加率は8割超と高水準で推移している。
企業は勤務地や所属先を事前に確約するなど採用形態を多様化させている。リクルート(東京)の就職みらい研究所の栗田貴祥所長は「画一的な制度を見直し、働き手にとって魅力的な環境に変革できた企業が継続的に成長していける」と話す。
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2026年春に卒業予定の学生を対象とした就職活動が解禁され、合同企業説明会に参加する学生ら=1日午前、千葉市美浜区の幕張メッセ
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2026年春に卒業予定の学生を対象とした就職活動が解禁され、合同企業説明会に参加している学生らに自社の資料を差し出す出展者ら=1日午後、千葉市美浜区の幕張メッセ
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合同企業説明会の会場で福利厚生などを伝えるポスター=1日、千葉市美浜区の幕張メッセ