写真 いきなりですが、焼肉は好きですか?「ダイエットの敵」「高カロリー」と思われがちな焼肉ですが、お肉の種類や食べ方を工夫すれば、むしろダイエットにも健康にも良いところがあります。ただし、焼肉を食べる際には、ちょっとした注意が必要なのも事実です。
そこで今回は、焼肉が腸内環境に与える影響と、よりヘルシーで健康的な食べ方について解説していきます。最新の研究結果を基にお伝えするので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
◆なぜ焼肉で腸内環境が悪くなるのか?
焼肉の特徴は「高温での調理方法」と「動物性タンパク質・脂質の多い食材を使用すること」です。近年の研究により、これらの特徴が腸内環境に様々な影響を及ぼすことが明らかになってきました。
特に注目したいのは、以下の2つの要因です。
1. 高温調理による終末糖化産物(AGEs)の生成
2. 動物性タンパク質・脂質の過剰摂取
ただし、お肉には良質なタンパク質や鉄分、ビタミンB群など、健康維持に必要な栄養素も豊富に含まれています。つまり、焼肉そのものが「悪い」わけではなく、食べ方や量によって腸内環境への影響が大きく変わってくるのです。
◆焼肉が腸内環境に与える具体的な影響
ここからは、腸への具体的な影響をみていきましょう。
まずは、高温調理による影響です。もしかしたら、「糖化」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。糖化とは、簡単にいうと「焦げ」のこと。主に2つの現象があり、「体内で発生する糖化」と「調理中に発生する糖化」があります。
焼肉は、高温でお肉を焼きますよね。まさにその時、糖化が引き起こされているのです……! そして、高温でお肉を焼くことで糖化が進むと、終末糖化産物と呼ばれる物質が生成されます(名前からして、良くなさそうな感じがしますよね)。
そして、オーストラリアのディーキン大学の研究では、終末糖化産物により「腸内細菌のバランスを悪くする」「腸管の透過性を増す(腸を傷つける)」などの影響が懸念されているのです。(※1)
◆お肉を食べすぎると、腸内環境が乱れる理由
焼肉で腸内環境が悪くなる理由は、糖化だけではありません。「動物性タンパク質・脂質の多い食材を使用すること」も関係しています。たとえば、牛肉や豚肉には「動物性脂質」が多く含まれています。
動物性脂質と腸の関係を調べた研究では、以下の影響がありそうです。(※2)
・良い働きをする細菌(ビフィズス菌など)の減少
・腸に炎症が起きる
・腸管のバリア機能の低下
そしてお肉といえば……タンパク質も豊富ですよね。適度なタンパク質は必要ですが、過剰に摂取すると、腸内の腐敗産物を増加させます。これらの物質は腸内環境を悪化させ、さらには全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
◆腸内環境を守る焼肉の食べ方3選
ここまでお伝えしてきましたが、焼肉は決して悪いものではありません! 腸内環境を整え、ダイエットにも役立つ食べ方を知っておきましょう。
1. 腸に優しい部位を選ぶ
豚肉や牛肉には、動物性脂質が多いとお伝えしました。しかし、部位によっては、脂質が少ない場合もあります。具体的には、ロースやタンなどを中心に選びましょう。カルビやホルモンなどは脂肪が多いので、少量に抑えることをおすすめします。
2. お米も適度に食べる
「お米も一緒に食べたら太りそうだし、ご飯は無しにしよう!」そう思われた経験があるかもしれません。しかし、お肉ばかりを食べてしまうと、脂質やタンパク質などが過剰になり腸を荒らす原因に……。体脂肪の増加にもつながります。お米にはデンプンが豊富ですが、適度に摂取することでそれらの悪影響を防いでくれるのです!
3. 発酵食品と組み合わせる
キムチや漬物などの発酵食品には、乳酸菌などの良い働きをする細菌や食物繊維が豊富に含まれています。これらを焼肉と一緒に取り入れることで、腸内細菌のバランスが良くなるのです。
◆焼肉を食べるなら、同時にやりたい腸活ケア
もし余裕があれば、焼肉を食べている時に腸内環境を整えるケアもしてあげましょう。ポイントは、食物繊維の摂取。仮に動物性タンパク質や動物性脂質をたくさん摂ったとしても、食物繊維を十分に摂取すれば腸荒れを防ぐことができるのです。
今は、食物繊維を手軽に摂取できるパウダーもたくさん販売されています。たとえば、以下の食物繊維です。
・難消化性デキストリン
・イヌリン
・グアーガム分解物
これらの食物繊維は、特に腸内細菌のエサになりやすい特性があります。エサをしっかり摂取することで、腸内細菌が元気になり、腸内環境を整えることにつながるのです!
◆少しの工夫で、美味しく焼肉を楽しもう!
今回お伝えした内容は、焼肉以外でも同じことが言えます。ですので普段からお肉を選ぶときは、脂身が多すぎない部位を選ぶようにしましょう。もちろん、脂が乗ったお肉も美味しいので、適度に楽しみたいですね。
また、気にしすぎるのもストレスになってしまいます。たまに食べるくらいなら影響は少ないですし、できる範囲で楽しく腸活に取り組んでいきましょう!
出典:(※1)Kate Phuong-Nguyen「Advanced Glycation End-Products and Their Effects onGut Health」(2023)
(※2)Yi Wan「Habitual animal fat consumption in shaping gut microbiota and microbial metabolites」(2019)
<文/腸活の研究家ざっきー>
【腸活の研究家ざっきー】
腸活の研究家。「健康と体作りを後回しにしない」をモットーに、フォロワー11万人のInstagramでは、論文を元にした腸活情報や腸が整うレシピを発信中。Instagram:@zakii312、Twitter:@chokatu_zakii