
SNSでは、ルールを守らない人間の話題があとを絶ちませんが、小林朋道さん(@Tomomichikobaya)のXへの投稿によると、動物界には律儀に交通ルールを守るカラスがいるらしい。
「たぶんアイツ(同一個体)だと思うのだが、アイツは、“信号と横断歩道”を知っているのだ。ここらあたりの横断歩道では、信号が青になっている横断歩道を選んで、止まっている車を尻目に堂々と渡っていく。君、凄いよ」
投稿の画像に写るカラス、まったく迷うことなく横断歩道へと進み、左右確認するかのような仕草すら見せつつ、赤信号で停車している車の前をトコトコと歩いていきます。しかも、歩行者信号が青のうちにキチンと最後まで渡り切る姿に感動すら覚えます。人間ですら守れない人がいるというのに、野生のカラスが交通ルールを守っている!
「交通ルールを守れるカラスくん」
「セキレイも同じことやっているの見かけます」
「飛ばずに歩くところが、、、笑」
「問題は、カラスの標準脳機能でコレが出来るけど、出来ない人間が沢山いる事なんだよなぁ」
「人類が滅んだ後の地球の支配者はカラスじゃないかと、割と真剣に思う」
「カラスってずっと観察してると愛おしく見えてくるよね」
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この投稿に集まったコメントを見ると、カラスの賢さを実際に見たことがある人たちも多数。リポストにも「一般的な犬猫は3歳児、カラスは5歳児程度の知能があるとか。それにしても独習だから凄い」とあるように、やっぱりカラスは賢いのですね。
それにしてもこの動画、よく偶然に撮影できたものだと思っていたら、投稿者の小林朋道さんは動物行動学者であり、公立鳥取環境大学の学長! さっそく専門家のお話を伺ってみました。
実は短距離なら、カラスも歩いた方が楽ちん!?
ーーカラスは賢いと言われますが、横断歩道を理解するとは。このカラスが特別なんでしょうか?
「これは鳥取県で撮影したものですが、カラスの認知能力についてはかなり以前から研究がされており、横断歩道と信号と車、この3つの関係を学習することは彼らにとって比較的容易なことだと思います。賢く見える鳥の擬人的な行動は、このほかにもたくさんありますね」
ーーそうなんですか! でもなぜこのカラスは横断歩道を渡り始めたんでしょう?
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「おそらく横断歩道の周辺に餌があったからではないででしょうか。危険物から急いで離れる必要がある場合などは別ですが、短距離の移動なら飛翔より歩行の方がエネルギーの消費が少ないからでしょう」
ーー今回の投稿へのコメントでも「飛べばいいのに…」「飛ぶ方がラクじゃない?」と寄せられていましたが、そんな理由があったんですね
「今回のような短い距離の移動なら、飛ぶより歩く方がエネルギーを使わないので、おそらく横断歩道を歩いたのでは…と思われます」
ーー小林さんは公立鳥取環境大学の学長なんですね? ご専門は鳥類ですか?
「最近は、学長になってからあまりできてないのですが、ニホンモモンガの捕食者であるフクロウに対する防衛行動を中心に、モモンガの生態全般を調べております。
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それ以外にも、これまでには洞窟性コウモリ、アカハライモリ、スナヤツメ、ナガレホトケドジョウ、シベリアシマリスなどを研究対象としてきました。ほとんどが絶滅危惧種で、研究結果は保全に役立てています」
ちなみに、公立鳥取環境大学は「生物多様性の保全の見地から、さまざまな野生生物の生態学的研究も行なっています」とのこと。
小林朋道さんの研究をまとめた著書には、自然豊かな公立鳥取環境大学を舞台に起こる動物と人間をめぐる事件の数々を人間動物行動学の視点で描いた『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!』(築地書館)などの大人気「先生!」シリーズに加え、『ヒトの脳にはクセがある』(新潮社)、『人間の自然認知特性とコモンズの悲劇』(ふくろう出版)などがあります。
さらには、小林さんのXや大学のウェブサイトをのぞくと、動物の愛らしい姿や面白い習性にも出会えます。それにしても、小林朋道さんの研究対象のニホンモモンガが可愛すぎる!
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)