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タニタは2月から、置き社食サービス「タニタカフェ at OFFICE」の提供を開始した。同社が全国で展開している「タニタカフェ」の食事を、オフィスで食べられるようにした法人向けサービスだ。サービス開始の経緯を、直営のタニタ食堂やタニタカフェの運営、メニュー開発を手掛けているタニタ食堂(東京都板橋区)の浅尾祐輔取締役に聞いた。
置き社食の導入時に企業が用意するものは、専用の冷凍庫を置くスペースと電子レンジのみ。キッチンなどの設備投資は不要だ。初期導入費は6万6000円、月額は4万9500円からで、商品代金は別途必要となる。
利用者は冷凍庫から好きなメニューを選び、PayPayで購入すれば、電子レンジで解凍して食べるだけ。提供時間を選ばないため、昼食としてだけでなく、朝食や夜食、家に持ち帰っての食事としても利用可能だという。
食事メニューはショートパスタ2種、カレー1種、スープ3種と2種のスイーツメニューの計8品を定番メニューとして用意した。その他、季節ごとに限定メニューを追加する予定だ。
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価格は企業ごとの導入プランによって異なるが、上限を設定している。例えば、「『噛む』サーモンと雑穀のショートパスタ 豆乳トマトソース」は790円、「トマト仕立てのピリ辛スパイスカレー」は770円、「かぼちゃとベーコンのとろーり豆乳ポタージュ」は580円、「ベイクドチーズケーキ」は380円だ。
置き社食の主なターゲットは、タニタカフェの店舗と同じ30〜50代の女性を想定している。一方で、浅尾氏は「普段あまり健康を意識していなくても、『週に1回くらいは健康的な食事をしたい』という人もいると思います。そうした人にもご活用いただければ」と話す。
●機内食開発で培ったノウハウ、どうする?
タニタが置き社食を開始するきっかけとなったのが、機内食だ。同社は2021〜2023年まで、JAL国際線の機内食を監修していた。
機内食はその特性上、冷凍の状態で機内に搭載する必要がある。そのため、冷凍でもおいしく、かつしっかりかみ応えのあるレシピの研究開発に取り組んだ。
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約2年半の間に7種類の機内食を開発するなかで、タニタは冷凍食品についてのノウハウを蓄積した。「これを何かに生かしたいと、2022年末からは自社で冷凍弁当の製造・販売を開始しました。あくまで実験的な取り組みだったのですが、想定以上に好意的な声が寄せられました」(浅尾氏)
ちょうどその時期は、コロナ禍を経てリモートワークやフレックスタイムなどの多様な働き方が広まっていた。浅尾氏は「当時、社員食堂や仕出し弁当などの従来のサービスでは、従業員の食事に対するニーズを満たしきれないと感じていました。いつでも、どこでも手軽に食事が取れる冷凍の置き社食サービスの需要はこれから高まるだろうと判断し、サービスを開始しました」と振り返る。
●タニタの置き社食、強みは2つ
現在、複数の会社がタニタの置き社食と同じようなサービスを展開している。こうした競合他社と比較した際の強みとして、浅尾氏は賞味期限の長さと野菜の豊富さを挙げる。
置き社食の商品は、製造から11カ月の賞味期限がある。近年はサステナビリティの観点から、食品ロス対策も重要な施策の一つだ。「賞味期限が1年近くあるので、何かしらの理由で過剰発注をしない限り、食品ロスは発生しづらいと考えています」(浅尾氏)
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野菜の使用について、浅尾氏は「食事メニューには6〜9種類の野菜をメインに使っています」と話す。また、利用者にしっかりとかんで食事することを意識させるため、野菜のかみ応えにもこだわったという。
まず、使用する野菜は固さが異なるものを選んでいる。種類によってカットの大きさを調整したり、細切りや輪切りなど形状を変えたりすることで、食感に変化を持たせた。茹(ゆ)で加減も調整し、解凍しても適度な固さを保つようにしている。
●サービス開始から3日で200件の問い合わせ
置き社食は現在、関東の1都7県(東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨)をサービス対象エリアとしている。月額費用は4万5000円で、48食以上のプランが基本となるため、「1人当たりの金額や利用数量を考慮すると、50人以上の事業所が適正だと考えています」(浅尾氏)とのこと。その他、業種や業態に制約は設けていない。
オフィスの立地や周辺環境により、外食する場所やコンビニが遠いなど、いわゆる“ランチ難民”と呼ばれる人が多い企業への売り込みはどうするのか。浅尾氏は体験会やテスト導入といった施策は現時点で想定していないものの、今後要望が増えるようであれば検討するという。
2月4日のサービス開始から、3日間で200件弱の問い合わせが寄せられているタニタの置き社食。そのうち、対象エリアである1都7県以外からの問い合わせが4割ほどを占めており、9月頃からは対象エリア外でもサービスを開始する予定だという。タニタが提案する新しいランチの選択肢は、働く人々の胃袋をつかめるか。
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