「お母さんは親身になってくれない」中2の娘の本心を知り、47歳の父親が始めた「家族再生」

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2025年03月11日 22:10  All About

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最近、中2の娘に無視されているという47歳の男性。どうやら妻が娘に夫の悪口を吹き込んでいるようだ。娘の様子に注意するようになった男性は、傷ついた娘の本心を知り、家族と向き合うようになっていく。
家族にはそれぞれのありようがある。他の家族をうらやんでも仕方がないし、自分の家族をどう作っていくかは自分自身にもかかっているのだから。

娘に突然、嫌われるようになって

「いつのころからか、妻との仲はあまりよくない方向で固まってしまいました。妻とは会話がスムーズに進まない。途中で話の腰を折るし、まじめな話をしているのに急に茶々を入れてくる。僕がムッとすると『すぐ怒るんだから』と茶化す。話さなければよかったということが多々あって、だんだん会話をしなくなっていったんです」

結婚して15年、ここ数年、特に妻が自分に反感を抱いている気がするとヨウタさん(47歳)は言う。中学2年生の娘と、小学校5年生の息子がいるが、最近、娘の様子がおかしい。

「最近、娘があいさつを返さなくなっている。おはようと言っても返事がない。あいさつくらいするものだぞと言ったら、小声で『おは』という感じ。娘に何かあったのかと妻に聞こうとしても、妻からは話しかけないでオーラが出ている」

どうやら妻が自分の悪口を吹き込んでいるようだと、息子が教えてくれた。いつでもお姉ちゃんにお父さんのことを言ってると。

妻の言うことは正しいが……

妻はパートで働いているが、職場の人間関係や自分のキャリアについてかなり悩んでいるようだった。

「妻はもともとキャリア志向だったから、息子が小学校に入ったあたりで正社員として復帰してもいいんじゃないかと僕は思っていた。だからパートでいいのと聞いたんです。

すると『これ以上、私に苦労させるの? 家のことも子どものことも何もかもやらせて、今度は金を稼げってこと?』とキレたんですよ。いや、前にきみが働きたいって言ってたからと言うと、『そんな体力も気力もないわよ。誰が子どもをここまで育てたのよ』と」

妻の言うことは正しい。だが、ヨウタさんは出張が多く、ときには月の半分以上、家にいないこともあるほど。家事や育児をしたくてもできない日々を送っていた。

「だからこそ家にいるときは、明るい会話をしたかった。娘が小学生のころは僕のダジャレを笑ってくれたり、まじめな話はまじめに聞いてくれていた。でもここ数年は、反応が妻に似てきたんですよ」

息子に聞いたとは言わず、「夫婦のことを子どもたちには言うなよ」とだけ言ってみた。片方の親が、もう片方の親の愚痴や悪口を吹き込むのは子どもに酷だから、と。妻から返事はなかった。

娘の悲しみ

このところ、妻は息子の中学受験の準備に余念がない。息子の塾の送り迎えをし、お弁当だ夜食だと息子にかかりきりだ。そんな様子を見ていた娘が、「私は受験もしてないのに」とつぶやいたのをヨウタさんは聞き逃さなかった。

「受験したかったのかと聞いたら、したくはなかったけど、受験すると言ったらお母さんがあんなふうに親身になってくれたのかなと思ってと答えたんですよ。なんだか娘がとてもかわいそうになって、『ごめんね』と思わず肩を抱いてしまった。すると娘は『やめてよー』と言いながらも笑っていました。久しぶりに娘の笑顔を見た」

少しずつ娘の気持ちを探っていった。妻は、息子が言ったように、ヨウタさんに不満があると娘に愚痴っていたという。

「それも『あなたはああいう男を選んじゃダメよ、不幸になるだけ』『結婚しなければよかったっていつも思ってる』という言い方をしていたようです。これ、子どもが傷つきますよね。父親の悪口のみならず、子どもにとっては、母親が父親と結婚しなければ自分はいないわけだから、自分の存在も否定されたような気になる。

娘には、親のことなど気にせず、自分の好きなように生きなさい、とにかく好きなことを見つけてほしい、見つけたら一生懸命取り組んでほしいと伝えました。すると娘は『私は洋服が好きだからデザイナーになりたい。でもお母さんは、あんたがなれるわけないでしょと取り合ってくれなかった』と涙ぐんでいました」

娘のおかげで目が覚めた

なれるよ、何にだってなれる。だから今から頑張ってみようとヨウタさんは励ました。被服科のある高校もあるし、普通科に行ってから専門学校や大学で学ぶ手もある。選択肢はいくつもあるんだから思い切りやってみたらどうかなと言うと、娘は顔を輝かせた。

「妻は娘に対して希望を与えようとしなかった。それはあまりいいことじゃないですよね。気づかなかった僕にも責任があると痛感しています。娘は妻に洗脳されて、僕に対してあれこれ思うところがあったみたいですが、息子の受験をきっかけに僕と話すようになってから彼女の表情が変わってきました」

嫌われていると思っていたが、そうではなく娘は母親に影響されていただけだった。そして娘は以前の明るさを取り戻しつつある。

「息子の受験への意志確認も含め、一度きちんと家族で話し合った方がいいと思っています」

“家族”を諦めそうになったヨウタさんだが、娘のおかげで目が覚めたと言う。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

このニュースに関するつぶやき

  • 月の半分以上家に居ない夫から「正社員で働け」だと家に居る時も何もしないのに何言っているの?と反発になるの当然。家にいる時は妻を労うのが必要なのに子供と駄洒落を言ったりの会話だけだとなあ
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