移民は諸悪の根源なのか?トランプ大統領が進める「移民の強制送還」の弊害をアメリカZ世代が言及

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2025年03月12日 21:10  TOKYO FM +

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移民は諸悪の根源なのか?トランプ大統領が進める「移民の強制送還」の弊害をアメリカZ世代が言及
ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40〜18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

3月5日(水)のテーマは「移民の強制送還で人種のるつぼニューヨーク激震」。トランプ大統領が進める移民の強制送還と、それについて感じることをラボのメンバーが話し合いました。


※写真はイメージです



◆脅かされる移民コミュニティ

今回のテーマは、昨今、日本でも論争になっている移民問題について。ニューヨーク市の人口の4割近くが外国生まれ、つまり移民です。そんなニューヨークの街は2025年に入って大きく変貌しました。移民の多い街でこれまで賑やかだった通りから、人の姿が減っています。その理由はトランプ新政権の大規模な移民の強制送還です。

アメリカには“不法移民”と呼ばれる人が1,100万人ほど住んでいます。不法移民とはいえ、多くは一時的な滞在許可を得て、アメリカ人がやりたがらない低賃金の仕事に就いて、税金も払っています。「アメリカは不法移民なしでは機能しない」と言われるのはこのためです。

政府は今、こうした移民が多くいそうな工場や店だけでなく、学校や教会にも移民局の取締官を派遣。その模様を当局側が積極的にニュースやSNSで流しているため、移民コミュニティの人々が感じる「いつ家族や友達が連れていかれるかわからない」という恐怖は想像を絶するものがあります。

この状況について、ラボのメンバーはどう感じているのでしょうか。

メアリー:こんな話を聞いたよ。トランプに投票したあるアメリカ人の、ベネズエラ人の妻が強制送還されてしまった。「彼女はトランプが言っていたような犯罪者ではないのになぜ?」って言うんだ。ビザが切れて不法滞在になったり、然るべき書類を持っていなかったら、強制送還されるという現実をわかっていないんだ。

シャンシャン:私はクイーンズという区の移民コミュニティに住んでいるんだけど、最近電柱に張り紙がしてあったのね。中国語でこう書いてあった。「移民局が来たら、ドアを開けないでください」ってね。ドアを開けないことは法的に許されているんだよ。

例えば、何もしゃべらないとか、何かにサインしろと言われてもサインしないとか。弁護士を雇うことも許されている。そうしたら先日、友人が最近うちの近所にも移民局が来ていたことを教えてくれた。ついに私たちのコミュニティにもどんどん近づいてきているんだ。

ミクア:私の大学の先生は授業中、電話が鳴りっぱなしで授業がめちゃくちゃになったんだ。彼の生徒の多くが移民としての書類や事務手続きを必要としている。移民でなくても、留学生でも安心はできないんだ。

だから彼は授業中、みんなを助けるために奔走していた。彼は「授業に集中できなくて申し訳ない。でも多くの人が僕に質問してきていてどうしようもないんだ」と謝っていた。もうクレイジーだと思ったよ。

メアリー:もっとクレイジーなことがあるよ。トランプが大統領に選ばれる前に、この状況はあっという間に強制収容所のようになるだろうと言ったけど、その通りになった。911の容疑者を拘束しているキューバのグアンタナモ基地が、今不法移民の収容所になっている。あそこではアメリカの法律が適用されないので、どんな人権侵害も許されてしまうんだ。どんな人がそこにいるのかも明らかにされていない。「ああ始まったな」って思ったよ。

グアンタナモ基地には凶悪犯を拘束していると政府は報じていますが、人権団体は、その多くは犯罪者ですらない一般人だと訴えています。しかし、この基地は報道陣も入れないエリアだけに、事実は限りなく不透明です。

実は今回の収録後に、こんな痛ましい事件も伝えられました。アメリカ南部テキサス州に住むヒスパニック系の女子中学生が2月、自ら命を経ちました。彼女は同級生から「移民局が両親を連行するぞ」などと言われるいじめを受けていたとみられています。


(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆矛先は合法的にビザを得て働く外国人にまで

トランプ大統領が進める政策によって、さらに排斥の矛先は、合法的にビザをとって働いている外国人、そしてアメリカで生まれたアメリカ人にも向けられようとしています。

メアリー:基本的にトランプは労働ビザも廃止したがっている。でも、イーロン・マスクはそれに反対しているんだよね。トランプは白人以外のすべての移民を排除したいんだよね? ところがなぜか、イーロンたちが就労ビザ、特に専門技術者のビザがいかに必要かを持ち出し始めた。

クレイジーなのは、彼らは基本的にアメリカ人をバカ呼ばわりして、「我々の文化はダメだ、だから外国人移民が必要なんだ」と言っているんだ。でもね、ビザで働いている人たちはビザを取り上げられたら自国に帰らなければならなくなる。だから搾取される可能性があるんだ。おかげで大企業にとっては安く使えてありがたい人材ということだよ。その上トランプは、出生地主義の市民権も廃止する大統領令を出したよね。でも、連邦判事がそれを差し止めたんだ。

出生地主義の市民権とは、アメリカで生まれた子どもは自動的に市民権を得るというもの。親が不法移民であったとしても、国籍が別であろうとも、それは変わりません。移民の国アメリカならではの憲法で保障された権利でもあります。

トランプ氏の廃止例は今のところ、憲法違反の疑いで連邦判事に差止めされており、世論調査でも「出生地主義を廃止すべき」という意見は3割に留まっています。

移民を全ての悪の根源のように扱い、分断を煽ることで支持を得るのはヨーロッパをはじめ極右政権の定石です。シェリーは「トランプ支持者は拍手喝采かもしれませんが、全米の世論調査では、彼の移民対策を支持しない人は過半数を超えています」と話し、話題を締めくくりました。

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3月5日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月13日(木) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40〜18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/
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このニュースに関するつぶやき

  • 優秀な移民だけを受け入れたカナダだって大変なことになってるから、とにかく基本は入れない方向であるべきだと思う
    • イイネ!1
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