3月14日、東京・霞が関の経済産業省前で、街頭活動中に刃物で切りつけられた「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(57)。支援者らと写真撮影をしていたところ、握手を求めてきた宮西詩音容疑者(30)に襲われ、左耳周辺に重傷を負った。
立花氏は16日投開票の千葉県知事選挙に立候補していたが、けがの治療に専念するため選挙戦最終日に予定されていた街頭演説を取りやめることに。4名が立候補した知事選では現職の熊谷俊人氏(47)が再選し、立花氏の当選はかなわなかった。
そんな立花氏の怒りの矛先は、犯人以外にも向けられていた。
襲撃事件から一夜明けた15日、Xで心配してくれた人に向けて感謝の気持ちをつづり、《夜中に切り付けられた時の映像が何度か浮かびました。心のどこかで怖さを感じているのかも知れませんが、きっと心も大丈夫です》と気丈にコメント。そのいっぽうで、《TBS報道特集は本当に許せません!今日もまた私が悪者であると報道するのでしょう!》と憤りを見せていた。
TBSといえば、これまでニュース・報道ドキュメンタリー番組『報道特集』で、斎藤元彦兵庫県知事(47)の内部告発文書問題や昨年11月に行われた兵庫県知事選挙をめぐる誹謗中傷などの問題を特集。候補者だった立花氏についてもたびたび取り上げており、立花氏が襲撃された翌15日も同番組で「立花氏らに選挙がゆがめられたのか?動画拡散の報酬を検証」と題した特集が放送された。
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いっぽう、選挙期間中に候補者である立花氏の疑惑を追及する特集を放送することは、“公平性を欠き、放送法や公職選挙法に抵触するのではないか”と指摘する声が上がっている。『報道特集』のX公式アカウントには、《選挙中は公平を期し報道を控えるんじゃなかったのか?》《公選法は大丈夫?》と疑問視する声も寄せられていた。
17日に行われた林芳正官房長官(64)の定例会見でも、質疑応答で15日放送の『報道特集』に関する質問があった。
ある記者は「翌日に千葉県知事選の投票日を控えた中での放送であり、特定の候補、立花孝志氏を本人への取材もなく一方的に取り上げ放送したものです」、「少なくとも近年で、選挙期間中それも投票日の前日に投票権のある有権者が数多く見るテレビというメディアで、特定候補者を大きく取り上げた例はこれまでない」と問題視。そのうえで、「放送法や公選法148条に抵触する可能性、また政府対応を検討する可能性」について見解を求めていた。
しかし林官房長官は、「個別の事案については具体的な事実関係を承知しておらず、お答えは差し替えます」と回答。そのうえで、一般論として次のように述べていた。
「公職選挙法第151条の3におきまして、選挙に関する報道評論について虚偽の事項を放送し、または事実を歪めて放送するなど、表現の自由を乱用して選挙の構成を害しない限り、放送法の規定に従い放送番組を編集する自由を妨げるものではないと規定されております」
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「放送法は放送事業者の自主自立を基本とする枠組みとなっておりまして、放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものとそういう風にされております。このため政府としてコメントすることは、差し替えさせていただきたいとそういう風に考えております」
そんななか、立花氏は18日に公開したYouTube動画で、『報道特集』についてBPO( 放送倫理・番組向上機構)に苦情の電話をかける様子を公開。異議の申し立てをする意向を示し、投開票前日に放送された特集について「特定の候補者を貶める放送をしたということで、選挙の妨害、公職選挙違反や放送法4条違反になると思います」と主張していた。
TBSはこれらの指摘をどう受け止めているだろうか。本誌が18日にTBSを取材すると、19日夕方に広報室から文書で次の回答があった。
「ご指摘のようなご意見があることは承知しておりますが、今回の放送は、視聴者の皆様に重要な事実をお伝えする公益性の高い報道であると考えております」
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