写真 誰かの秘密というのは気になってしまうもの。それが好きな人の秘密ならなおさら、という人も多いのではないでしょうか。
けれど好奇心や勝手な想像だけで秘密を暴いてしまうと、今回話を聞かせてくれた今井香織さん(仮名・20代後半)のように後悔するかもしれません。
◆幸せいっぱいの新婚生活に、ある心配ごとが
香織さんは、優しくて働き者、家事は分担するのが当たり前という夫・友哉さん(仮名)との新婚生活を謳歌(おうか)していました。
付き合っていたときは、週に何度かデートできれば多いほう。同棲をせず結婚をした香織さんは、友哉さんと過ごす時間が増えたことを嬉しく思っていました。
「でも新婚3か月ぐらいから、夫の様子がおかしいと感じるようになったんです。キッカケは、夫の部屋に畳んだ洗濯物を持って行ったときのこと。いつもはノックしてから入るのですが、その日はうっかりそのまま入ってしまいました」
その瞬間、夫がハッと香織さんのほうへ振り向き、慌てた様子でノートパソコンを閉じたのです。そして、焦った口調で「ちゃんとノックしてよね。み……見られたら困る……ほら……仕事のパソコンとかもあるんだからっっ!」と、明らかに不審な態度。
「だいたい、『仕事のパソコンって何?』と思いました。その場でパソコンを確かめるという手もありましたが、そのときはサラリと流してしまったんです。でもやっぱり後で気になり始めて……その気持ちがどんどん高まっていきました」
浮気を疑った香織さんですが、「正面きって確認するのは怖いという気持ちと、たとえ否定されても信じられないという気持ちがあり、まずは証拠を見つけることにしたんです」と、夫に確認するよりも先に行動に出ます。
◆夫の部屋に忍び込んで見つけたものは
「ある日、夫の部屋に侵入しました。出てきたのはエッチな本とパソコンで閲覧していたと思われるエッチな動画のみでしたが、内容が本格的なSM。私は夫とSMプレイをしたことがなかったので、まずは性癖について問い詰めることにしました」
はじめはSM好きということを否定していた夫ですが、エッチな本を目の前に差し出したところ、「香織は、こういうプレイが好きじゃないのをわかっていたから」と涙ながらの告白がスタート。夫に隠れて部屋を物色した後ろめたさもあり、香織さんは先に謝罪しました。
「それで丸く収まると思っていたのですが、夫が予想外の行動に出たんです。『いまなら何を話しても許してもらえる』とでも思ったのか、SMプレイ専門の風俗に通っていたことを自ら暴露してきました」
泣き落としで乗り切ろうとしている様子を察した香織さんが怒りの言葉を口にした途端、夫は「じゃあ風俗通いをやめたら、香織が相手してくれるの?」と逆ギレ。夫の態度に、ついキツイ言葉を投げかけてしまった香織さんは、別の意味で後悔することになります。
◆詰め寄った先で夫がこぼした“びっくり発言”
「夫がボソリと小さな声で、『なんなら、もっと怒ってほしいかも……』なんて言いはじめたんです。私はSMプレイには興味がないし、こっちは怒っているのに夫は妙に興奮気味という変な感じも気持ちが悪くて、もはや話し合いにもならなくなりました」
それでも一瞬は、2人でSMプレイを楽しんでいるところも想像してみた香織さん。しかし、「冷静に考えると、やっぱりダメでした。私は男性にリードしてもらってだんだんとソノ気になるタイプ。言葉責めや女王様役をするのは、私には無理だと思いました」と早々にあきらめます。
◆歩み寄りを提案する夫に、妻の決断は
「暴露してラクになったのか、夫は『性の問題さえなければ、僕たちはうまくいってたじゃん。お互い、少しずつ歩み寄ろうよ』『最初は、軽い言葉責めからでいいから』などと提案してくるようになりました。私は提案には乗れず、ますます夫の性癖が許せなくなっていきました。
結局、そのまま収拾がつかずに離婚話にまで発展し、破局しました」
ただ、「性は奥深いもの。理性や想いではどうにもできないこともあるのだと実感しましたし、秘密のままがいいこともあるのだと、あらためて反省しました」と香織さんは言います。
誰かと長く仲良くいるためには、秘密を無理に暴こうとせず、そっとしておいたほうがいいこともあるかもしれません。
―シリーズ「男と女の『ゆるせない話』」―
<取材・文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。