画像はイメージですいまや、日本中どこに行っても外国人観光客を目にするのではないだろうか。ただ、利益をもたらしてくれる一方で、そのマナーに悩まされるケースも少なくないようだ。
今回話をしてくれたのは、イタリアンレストランで勤務する中川紗代さん(仮名・30歳)。アパレルやカフェが立ち並ぶ、都内有数の人気エリアの一角で働いている。
◆同一人物が「1日5回」トイレを借りに来たことも
「海外の方ね、たくさんいらっしゃいますよ。一番多いのは『トイレを貸してください』というケースですね。トイレを貸してくれる店として海外のサイトで紹介されているんじゃないかと思うくらい、毎日大量に来ますよ。人種はあまり関係ないですね」
立て続けに訪れる外国人観光客への対応に中川さんは日々悩まされているという。
中川さんが働いているレストランは都内でも有数の人気スポットだ。多くの若者が集まるエリアだが、同時にかなりの外国人も訪れ、賑わっている。
「うちの店は店長が優しくて……。最初は親切心で対応していたんですけど、同じ人が1日に5回もトイレを借りにきたこともあるんです。『お腹が痛いんだ!』とジェスチャーで悲痛に訴えてきましたが、流石にね……」
◆一般客からクレームが入る事態に
時には、店内にいる他の客から『トイレがずっと空かないんですけど』とクレームが入ることもあるそうだ。
「そんなこと私に言われても……と思うのですが、一応トイレのドアをノックして促すようにはしています」
なす術がないからこそ中川さんのストレスはたまる一方だ。
最近ではトイレだけを利用しようとする客には「トイレだけのご利用は駄目です」と、身振り手振りで駅にあるトイレを案内しているという。
◆「コップの水」を水筒に入れて持ち帰っていた
「困っているのはそれだけじゃないんです」と中川さんは吐露する。
「これは海外からの旅行客ならではの発想だと思うのですが、水の問題にも悩まされていて……」
外国人の客に水をサーブしていると、コップが空になるのが異様に早い時があるそうだ。
「やけにペースが急だなと思って観察してみると、注いだ水を自分の水筒に移し替えているんですよね。しかも堂々と。お客様には水を無料で提供しているので、水筒に移されるのはなんだかなという気持ちになります。中には水だけ飲んで料理を頼まずに帰ろうとする無礼な人もいるんです!」
◆人目を盗んで食べていたものは…
さらに中川さんのお店では、外国人観光客が食べ物を店内に持ち込んで食べてしまうケースもあるという。
「持ち込みはダメだと張り紙でも伝えているのですが、片付ける際にコンビニのおにぎりやチキンのゴミがテーブルに置いてあったりします。ある日、2階の席がいい! としきりに訴える外国人の方がいらしたので、怪しいなと思ったんです」
違和感を覚えた中川さんが足音を立てずに階段を上り、2階席の様子を窺うと、中川さんは唖然としたそうだ……。
「羊羹を持ち込んでむしゃむしゃと食べていたんです。普通飲食店に食べ物を持ち込みますかね。うちはイタリアンレストランなんです。何もここで食べなくても……。
せっかく日本に観光に来てくれているので、いい思いをしてもらいたい気持ちは山々です。でも節度を守らない方がいるのも事実。こちらの身にもなってほしいものです」
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対応に追われるスタッフの苦労はひとしおだろう。「お客様は神様」というスタンスは尊重したいところではあるが、トイレだけ借りる人たちは客ではない。ときには、毅然とした対応が必要なのかもしれない。
<TEXT/おせりさん>
【おせりさん】
下北沢に住む32歳。趣味はポーカーとサウナ、ホラー映画鑑賞。広告代理店・制作会社を経てフリーランスのブロガー兼ライターに。婚活ブログ『アラサー女の婚活談義』と生きることをテーマにした『IKIRU.』を運営中。体験談の執筆を得意としている。X(旧Twitter):@IKIRUwithfun