第1志望の最下位より第2志望のトップの方が有利?小学校の学内順位が最終学歴に影響する

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2025年03月30日 09:06  TBS NEWS DIG

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小学校の学内順位が将来の学歴や年収に影響を与えることが、最新の研究で明らかになってきました。

【画像でみる】学内順位が将来の年収にも影響

慶應義塾大学の中室牧子教授によると、第1志望校の最下位よりも第2志望校のトップの方が、将来的に有利になる傾向があるそうです。
この背景には、「井の中の蛙」効果と呼ばれるメカニズムが関係すると考えられています。

学内順位は将来の成績に影響する

中室教授が紹介したのは、埼玉県の公立小中学校の学力調査データを用いた研究結果です。

「小学校の時に同じ点数だったとしても、学内順位が1位の児童のほうが、別の学校の学内順位が最下位だった児童よりも、中学校の数学のテストの偏差値が2.1から6.2高くなります。国語も3.1から6.2高くなっている」

この研究結果は、学校内での相対的な順位がその後の学力向上に大きな影響を与えることを示しています。

「井の中の蛙」は悪くない

中室教授は、この現象を「井の中の蛙」効果が関係していると考えています。

「周囲の学力が自身と比べあまり高くない学校で、自分が学年順位が1位になった子は『私はやればできるんだ、もっと頑張ればいいんだ』っとなって、勉強にどんどん投資をしていくようになるので、次のラウンドで測った学力や、あるいは進学先で有利になっている」

つまり、自分の周りの小さな環境の中での相対的な比較が、学習意欲や自信に大きな影響を与える可能性があるということです。

逆に、非常に優秀な生徒が多い環境で最下位になると、自信を失ってしまう可能性があります。

学内順位は将来の年収にも影響する

この「井の中の蛙」効果は、日本だけでなく海外の研究でも確認されています。
中室教授は、アメリカのテキサス州で行われた研究を引用し、次のように述べています。

「学力が同じ児童で、小学校3年生の時の学内順位が最下位になってしまった児童と別の学校で真ん中ぐらいの児童を比較すると、23歳から27歳の時の年収が約18万円から38万円ぐらい違うという研究も出ています」

この研究結果は、小学校時代の学内順位が将来の年収にまで影響を及ぼす可能性があるとしています。

これらの研究結果は、よくいわれる「いい学校に行けば、いい影響を受けて成績も上がる」という考え方とは異なります。

「学力の高い学校に入って学力が伸びるのは、自分が学力が高いときだけなのではという研究もあります」

つまり、単に学力の高い学校に入学するだけでは、必ずしも良い結果につながるとは限らないということです。

親の役割は子どもの自信を支えること

中室教授は、こうした研究結果を踏まえた上で、親の役割についても言及します。

「通うと決めた学校に入学後、子どもが他の人と自身を比べたときに自分の子どもが自信を失わないように支えてあげるっていうことが、どんなときも大事なんだと思うんです」

子どもの成長を評価する際には、他人との比較ではなく、自分自身との比較が重要だと中室教授は強調します。

「人と比較するんじゃなくて、自分と比較する、自分の成長をちゃんとモニターしていく。子どもの年齢が小さくて子ども自身でできない場合は親がそれをやっぱ支えてあげるっていうことが大切ですよね」

学内順位の重要性と個人の成長

“小学校の学内順位が将来の学歴や年収に影響を与える”という研究結果は、単に「トップを目指せ」という結論ではありません。

重要なのは、子どもが自信を持って学習に取り組める環境を選ぶこと、そして子ども自身の成長を適切に評価し、支援することです。

親や教育者は、子どもが自分の可能性を最大限に発揮できるよう、適切な環境選びと継続的なサポートを心がける必要があります。

このニュースに関するつぶやき

  • 学校の知名度(ブランド)や入試の難易度(偏差値)で語っている時点で、たいした人間にならん。本当に優秀で世の中に貢献できる人に育てるには「何に打ち込むか、それを専門に出来る学校はどこか」
    • イイネ!3
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