「女子高生に265万円貢いだ」50代会社役員。女性の“本命彼氏”の存在に怒り、裁判を起こした結果

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2025年03月30日 16:30  日刊SPA!

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※画像はイメージです
「金払いが良かった」
神奈川県の50代の会社役員の男性は、恋人と信じていた女子高生に法廷で突き放された。SNSで知り合い、プレゼント代などに1年間で265万円を費やした相手に本当の交際相手がいたことが判明。

「恋愛詐欺」と怒りに震えて提訴したが、裁判で浮かび上がったのは40歳近く年の離れた2人の関係のいびつさと危うさだった。(※本記事は、『まさか私がクビですか? ── なぜか裁判沙汰になった人たちの告白』(日経BP)より抜粋したものです)

◆女子高生と会えるのは「買い物と食事」だけ

新型コロナウイルスの感染拡大が続く2020年夏、男性はSNSのメッセージ機能でやりとりを始めた都内の女子高生と東京・渋谷の繁華街で会う約束を取り付けた。離婚後、独身生活を10年以上続けていた男性。

友人と現れた女子高生に「次会うときは2人きり、カレカノ(彼氏彼女)の関係で」と伝えると「はい」と返事があった。その反応を、交際の承諾と受け取った。

ルイ・ヴィトンの財布、フェンディのかばん─。会うたびに買い物に付き合い、小遣いも渡した。

10万円以上するブランド品も「誕生日」「付き合った記念」と理由を付けてプレゼント。外形的にはデートや飲食の対価に金銭を支払う「パパ活」にしか見えなかったが、男性は「お金がなくて困っているという『彼女』を助けるのは当たり前」と意に介さなかった。

「パパ活ではなくて彼氏彼女の関係だよね」。念のため繰り返し尋ね、会った後もSNSでしつこく確認した。女子高生は「はい」「わかりました」などと答えていたが、買い物と食事以外で男性と会おうとしなかった。

やがて「家出している」「財布を無くした」などと理由をつけ、口座への入金も迫るようになった。

ある日、女子高生のSNSをひそかに監視していた男性は、自分ではない本当の「彼氏」の存在を目の当たりにする。出会いから1年以上がたった21年10月。怒りに震えた男性は女子高生の住まいを突き止め、内容証明郵便を送った。

その後、東京地裁に損害賠償を求めて提訴。「恋愛感情を利用して265万円を詐取した」とする訴えだった。

◆SNSを通して広がるパパ活被害の現状

若い女性がデートや食事の対価として男性から金銭を受けとるパパ活は、10年代後半からSNSなどを通じて広がった。

買春に直結する「援助交際」と異なり、それ自体は違法行為ではないなどとして出会いのアプリを配信する事業者もいる。小遣い稼ぎの目的で気軽に利用する女性も少なくないという。

互いに思惑をはらんだ関係は双方にリスクがある。パパ活で未成年が性被害に遭うケースが問題化。23年7月施行の改正刑法は、わいせつ目的で16歳未満に金銭提供を約束する行為を罰する「面会要求罪」を盛り込んだ。

警察庁によると、パパ活に限らないものの、SNSをきっかけに児童買春・児童ポルノ禁止法違反の被害に遭った児童は22年に979人に上った。

金銭を提供する「パパ」側が18歳未満の未成年と性的行為に及んだ場合、児童買春や青少年保護育成条例違反などの処罰対象となりうる。

18歳以上でも同意がなければ不同意性交・わいせつ罪に問われる可能性がある。

逆に男性側が被害者となる例もある。

23年に詐欺罪などで起訴された「頂き女子」を名乗る女は、当初から恋愛関係になるつもりのなかった50代男性らの恋愛感情を利用し、1億5000万超の金銭を詐取したとされる。

高額な金銭をだまし取れば詐欺罪に該当し、民事でも不法行為に基づく返還請求が認められる余地がある。

◆東京地裁が下した判決は

地裁は、男性が女子高生と知り合った際に使っていたSNSのアカウント名に「papakatsu」という文字列が含まれていたことに注目。

SNSのやりとりからも恋愛を誤信させる要素はなく「パパ活と合意していた」と男性の主張を一蹴した。高裁も24年2月下旬の判決で地裁の判断を支持した。

年端もいかぬ未成年に対して執拗に交際を求めた理由について、女子高生側の弁護士らから質問されても「真剣に交際する対象だった」「何度も恋人だと確認した」と繰り返すばかりだった男性。法廷にいる誰の目にも下心は透けて見えた。

逆に、女子高生のほうがしたたかに映る。男性に彼氏の存在を突き止められ「学校に連絡する」「親の財産も差し押さえる」などと脅された結果、男性のSNSを「ブロック」した。

ところが3カ月後、化粧や口調、しぐさを変えるなどして別人を装い、違う名前で再び男性に接触した。さらにむしり取れると考えたのか、またもや「交際」の言質を与えないまま高額のプレゼントを迫り、男性はさらに100万円ほどを出費。

男性は法廷で「実際に会ったときも同一人物と気付かなかった」と肩を落とした。

◆裁判中、女子高生に起きた出来事

法廷で「恋人」を主張し続けた男性について、悪びれることなく「パパ活している50代の男性」とにべもなかった女子高生。

男性が自ら証拠として提出した赤裸々なSNSのやりとりには明らかに「援助交際」を要求しているとうかがえる内容もある。

結果的に、男性が児童買春の罪などに問われうる事態は起きなかった。

裁判中、女子高生は本当の彼氏との子どもを出産した。

【日本経済新聞「揺れた天秤」取材班】
日本経済新聞電子版にて2023年7月より連載開始。複雑な世相を映し出す刑事や民事の裁判、法廷から見た現在の社会や当事者たちの姿を描く。

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  • どっちもどっちだと思うんだが…下心丸出しの♂、金目当ての♀
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