勉強せずに「もう私立でいいや‥‥」。高校授業料無償化で教育の質の低下が危ぶまれる理由

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2025年04月02日 07:40  週プレNEWS

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2月26日、高校無償化に関する合意文書を手にする石破茂総裁(中央)、公明党・斉藤鉄夫代表(右)、日本維新の会・吉村洋文代表(左)


日本維新の会の肝いり政策「高校の授業料無償化」が、与党との来年度予算案の合意によって成立される見通しだ。

現行の所得制限が撤廃され、2026年4月からは私立高校に通う世帯への支援金が大幅に引き上げられるが、「私立に行っている子どもの授業料まで税金で賄う必要があるのか」という不満も声も根強い。「高校の授業料無償化」が教育に及ぼす影響とは...。

【写真】「高校の授業料無償化」を進めた前原共同代表

■私立進学者への支援に批判

自公政権と維新の間で合意された「高校の授業料無償化」は、正式には「就学支援金制度」と呼ばれる。2014年に始まり、年収910万円未満で公立・私立を問わず子ども一人当たり、公立の年間授業料に相当する年間11万8800円が支給される。また2020年には、私立高校に通う子どもがいる年収590万円未満の世帯に対しては、年間39万6000円を上限に支援金額が拡充された。この上限は、私立の授業料の全国平均額を踏まえたものだ。

そして今回の「高校の授業料無償化」によって、2025年4月から全ての所得制限が撤廃され、さらに2026年4月からは、私立に加算されている年間39万6000円の上限額が45万7000円に引き上げられる見通しとなった。

「現在でも所得制限付きではありますが、公立・私立ともに授業料分の支援金、つまり税金が投入されている。その所得制限も平均世帯年収を超えており、厳しいものではありません。前原共同代表は『すべての子どもが等しく学べる環境をつくりたい』と言っていますが、『私立に行く子どもまで税金で面倒をみる必要があるのか』という批判は根強い」(全国紙社会部の教育担当記者)

■支援金が部活動費に消える

とはいえ、授業料無償化の対象となる当事者は、大きな恩恵を感じているようだ。次男がこの春からサッカーのスポーツ特待生として北関東の私立高校に入学したという、自営業の遠藤修一さん(仮名、48歳)が話す。

「次男は小学2年でサッカー始めて、はなから勉強で高校に入学する気なんてありませんでした。部活の仲間を見ても、そんな子ばかりです。ひとえにスポーツ特待生といっても色々ランク分けされていますが、うちの子は入学料や施設費が免除されたうえ、年間25万円の奨学金をもらえます。それでも授業料は別途年間40万円近くかかるので、今回の政策による支援の拡充はありがたい」(遠藤さん)


ただ、「教育の機会均等」という授業料無償化の本来の目的に適(かな)っているかどうかについては、疑問が残る。

「授業料以外にも、部活生の保護者にとっては部活動費という大きな負担があります。特に遠征費。最近はインバウンドの影響で物価高でホテル代が高騰していることもあり、1泊2日の遠征で3万円以上を徴収されることもあると聞いており、年間では授業料無償化の支援金の上限を超えそうです。

それでも授業料無償化のおかげで、うちのような零細自営業者でもなんとか3年間、部活を続けさせてやれそうです。我々のように、子どもをスポーツ推薦で私立に入学させたい家庭にとっては、授業料無償化は実質的に部活の遠征費に対する支援になるといってもいいでしょう」(遠藤さん)

■就学支援で学習意欲低下?

さらに、学習面に与える意外な影響について危惧するのは、都内公立中学校の進路担当教員だ。

「どんなに劣等生でも、家庭の経済的事情から中学3年の最後には公立高校に合格できるよう、最低限の勉強はする子どもが一定数いました。しかし、『就学支援制度』が始まり、学力をほぼ問われない私立高校に簡単に進路を決める子が増えたような気がします。

もちろん、私立のほうが施設費など公立よりはお金はかかりますが、今後『無償化』という言葉が先行すれば、最後まで勉強しないまま『私立でいいや』と決めてしまう子どもがさらに増える可能性がある。また、そうした子どもたちを目当てに、営利に走る私立高校も出てくるでしょう」(進路担当教員)

高校授業料無償化に合わせて、授業料をはじめとした学費の「便乗値上げ」が広がる可能性は広く指摘されている。事実、私立高校に通う年収590万円未満の世帯に対する支援金額が、年間最大39万6000円に拡充される直前の2019年度から2024年度までの5年間で、都内の私立高校の平均授業料は約8.2%増加しているのだ。

一方で日本維新の会の前原共同代表は、3月3日のXで早くも「次は大学無償化に取り組む」と"宣言"している。「教育のバラマキ」が教育の質の低下を招くという、本末転倒が起こらなければ良いのだが‥‥。

文/山本優希 写真/自民党、前原誠司氏公式ホームページ

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  • 行きたかった学科がもう近場の県立には無くなってて、私立にはあったけど親にはもちろん『金無いから』と反対された。元々勉強嫌いだったし一番レベル低い県立通ったが、中学時代より勉強頑張った(笑)
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