
熟年離婚を決断できない理由とは?
若いうちは「元気なのだから働けばなんとかなる」「再婚したら状況が変わるかも」などと楽天的に考えることができるかもしれません。それが年齢を重ねるにつれ自身の健康への不安や親の介護といった問題も生じるため、お金の悩みは若い世代より深刻さが増していきます。実際、お金の不安がネックになって「離婚したいのにできない」ケースも珍しくありません。では、熟年離婚をする際に経済的な不安を解消するにはどうしたらいいでしょうか。熟年離婚後のお金の不安が軽減する3ステップ式のシミュレーション法をご紹介します。
ステップ1|離婚後「出ていくお金」をシミュレーションする
熟年離婚後に後悔しないためのファーストステップは、離婚後の生活にかかるお金がどの程度になるのかを「事前に」「入念に」シミュレーションすることです。家賃を含めた生活費や医療費、貯蓄額など「出ていくお金」を細かく算出することで離婚後に必要な金額が見えてくるので、今すぐ準備をはじめられます。熟年離婚後も不安なく暮らすために必要なお金をより明確にしたい人は、お金のプロに相談するのもおすすめです。
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ステップ2|離婚後「入ってくるお金」を事前に把握する
熟年離婚で得られる財産分与の金額、一生でもらえる年金額、自分自身の預貯金など、確実に手にすることができるお金、つまり「入ってくるお金」がどのくらいになるのかを把握します。大切なのは、離婚の話が具体的になる前に済ませておくことです。なぜなら、離婚を匂わせた途端に「相手にお金を渡したくないから」と、今持っているお金を隠すケースもあるからです。特に夫婦で築いた財産については、油断せず証拠をとっておくことをおすすめします。
ステップ3|離婚後に「お金を増やす」方法を考える
熟年離婚後は、一時的に財産分与や年金分与でまとまったお金が入ってくることもありますが、それだけを頼りした生活には心細さを感じるのではないでしょうか。少しでも収入が増えることは心の安寧にもつながりますから、熟年離婚後にお金を増やすことを具体的に考えましょう。「資格取得やスキルアップを考え、長期的に働ける仕事を見つける」「自宅の一部を貸す」「投資の勉強をはじめる」「趣味を生かしたビジネスを小さくはじめてみる」といった、リスクの少ないことからスタートする方法もあります。
熟年離婚で得られる最大のメリットとは?
熟年離婚には不安がある一方、「自由を手にすることができる」という大きなメリットもあります。これまで我慢してきたことから解放され、自分の好きな趣味や人間関係、時間の使い方など、すべて自分の思い通りに自由に過ごせるようになります。自由な生活に制限がかからないよう、離婚前にお金の不安を払拭(ふっしょく)しておくのはとても大事なこと。
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岡野 あつこプロフィール
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。32年間で相談件数3万8000件以上、2200人以上の離婚カウンセラーを創出。著書多数。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』。(文:岡野 あつこ(離婚ガイド))