
Q. 喫煙者ですが、健康診断は毎年問題なしです。禁煙の必要性とは?
Q. 「家族から禁煙を強く勧められますが、タバコを止める必要性を感じられません。長年タバコを吸っていますが、健康診断でも指摘を受けたことがなく、体の丈夫さには自信があるからです。禁煙するストレスのほうが体に悪い気もします。今45歳ですが、これから禁煙を頑張る意味はあるのでしょうか?」A. 健康診断結果が正常であれリスクは高いです。禁煙を強くおすすめします
毎年の健康診断で異常が見られなくても、喫煙による健康リスクは存在します。「自分は大丈夫」と思っていても、体の中ではすでに変化が始まっている可能性もありますので、決して油断してはいけません。例えば「肺気腫(COPD)」は、進行すると在宅での酸素療法が必要となるなど、生活の質が大きく低下してしまう病気ですが、喫煙が大きな要因となる病気です。肺気腫は、健康診断を受けても初期段階では発見しにくいことが多いです。
初期症状は軽微で、レントゲン検査を受けても異常が見つかりにくいため、健康診断の結果がよくても安心できません。
また、喫煙は性機能障害、特にEDの原因にもなります。タバコに含まれる成分は全身の血管を収縮させ、血流を悪化させることが原因です。しかしこれらの変化も、健康診断の結果には反映されません。
さらに、喫煙は自分だけでなく、家族の健康にも悪影響を及ぼします。特に子どもがいる場合、親の喫煙によって、喘息(ぜんそく)や副鼻腔炎、中耳炎などのリスクが高まるという報告は、無視できないものでしょう。喫煙者のパートナーは、非喫煙者のパートナーに比べて肺がんリスクが高いという研究報告もあります。
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狭間 研至プロフィール
大阪大学医学部卒。日本外科学会 認定登録医。大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院などで外科・呼吸器外科診療に従事した後、現在は地域医療の現場で医師として診療を行う。ファルメディコ株式会社 代表取締役社長。医療法人嘉健会思温病院理事長。外科医、地域医療、薬局運営の豊富な経験から、医療と患者さんの橋渡しとなる分かりやすい医学情報発信を行っている。(文:狭間 研至(医師))