写真はイメージですこんにちは。これまで3000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験を活かし、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。
「婚活がうまくいかないという人」は多いのですが、その原因が服装やメイクを含む外見にあることも少なくありません。ですがジェンダーや「男らしさ」「女らしさ」の在り方も多様化する中で、婚活のサポートをする側からの“外見アドバイス”は、年々難しくなっていると感じることがあります。
私は女子SPA!でもたびたび、婚活市場にいる女性たちの残念な婚活コーデをご紹介しています。その記事を見て「私も残念婚活コーデだった」と語るのは麻美さん(仮名・35歳)です。面談にいらっしゃった麻美さんはボーダー柄のセーターを着ていました。髪はパサついていて、実年齢よりも上に見えます。
◆普段の仕事は制服で、婚活に適した服装が分からない
高齢者施設で栄養士として働く麻美さんは、職場では制服があり、仕事中はマスクなのでお化粧は眉毛を描く程度であまりしないそうです。勤務先は住宅街の中で、おしゃれな人が多い繁華街やオフィス街ではありません。
職場には出会いがなく、結婚相談所に登録したという麻美さん。婚活コーデは、白いブラウスにカーディガンを羽織るコーディネートでした。普段制服を着ている彼女は、デートの服や婚活にふさわしい服が分からないのだといいます。
「一応、結婚相談所の担当者にも相談したんですが、『フェミニンなパステルカラーのワンピースやブラウスがいいです』としか言われませんでした」
麻美さんは日常でほぼスカートをはかないため、婚活のためにスカートを購入し、ブラウスや花柄ワンピースを着て、十分にオシャレをしたつもりだったそうです。
ですがそれらが「残念婚活コーデ」だと気づいたのでした。
◆頑張って“可愛い服”で婚活しても、寄ってくるのは……
筆者は麻美さんに「ウエストラインが出る服で、半袖やノースリーブで腕は出した方が健康的で明るく見える」とお伝えしました。ですが、「腕が太いから隠したいんです」とのこと。
麻美さんが婚活用に購入したという、普段の生活で着ることがない花柄ワンピースは、単体で見れば「可愛い」です。
「可愛い服を着れば可愛いのではないのですか?」
「それは服が可愛いだけだから。かわいくて人気がある女性は、かわいすぎる服を着ていないんですよ」
実際に、麻美さんに申し込みがくるのは40代50代の年上男性ばかりで、同年代の30代半ばの男性に申し込み(※結婚相談所における、会ってみたいという意思表示)をしても断られるのです。
申し込みが来た男性たちのプロフィールを見せてもらいましたが、太っている男性も多く、決してイケてるおじさんたちではありませんでした。
◆「自分らしくない服を着てまで結婚したくない」
30代半ばの男性は、20代後半の年下女性も、30代の美女も、婚活の対象にしています。
今人気の女性は、わりと体のラインがはっきり見えるノースリーブニットなんかを着ていることが多いです。ところがそのことを伝えると、麻美さんは反論します。
「そこまでしないとだめですか? 肌を出したり体のラインを出したりして、自分らしくない服装をしてまで結婚したいわけじゃないんですよね。内面を見てくれる人がいいんです」
「肌を出すと言っても、胸の谷間を出すとか、ミニスカートで脚を出すとかじゃないんですよ。ただの腕です。体のラインといってもボディコンを着ろってわけじゃないんですよ。今も申し込みはあるし、どうしても嫌であれば今の写真で申し込みしてくれる男性と会ってみては?」
望まない服装を無理強いをするわけにはいきません。ですが何もかも今のままではうまくいかない、そのことには気づいてほしいのです。
「この人たちって、内面っていうより私の年齢しか見てないですよね」
「そうだけど、それも含めて内面ってことじゃないでしょうか。いろんな女性と比較検討される婚活という場で、相手が『会ってみたいな』って興味を持つ写真にするのって、別に媚びてるとかじゃなくてただの気遣い。今のプロフィール写真は垢抜けなさすぎて、気遣いもできないように見えちゃうし、友達が少なそうにも見えますよ」
「そうですか……」
◆都内近郊に住みながら、地元から出なさすぎる生活
服装を変えることに強い抵抗感をお持ちの麻美さん。彼女の暮らしについて少しヒアリングしました。麻美さんの親しいお友達は同じ大学の栄養学部に通っていた同級生で、医療機関の栄養士として働いています。お友達も自分と同じように制服があり、日常ではほぼカーディガンを着ているそうです。
さらにお友達と会うのは横浜方面が多く、東京23区に出てくる機会はあまりないことが分かりました。プロフィール写真の撮影で着ていた清楚な服は、溝の口(神奈川県川崎市)にあるショッピングセンターで購入したそうです。
溝の口は麻美さんの住まいからも近く、買い物や食事する場合ももっぱら溝の口が多いそうです。渋谷や恵比寿で買い物をしたのは、20代のころに数回あった程度。麻美さんとお会いしたのは品川のオフィスですが、「品川駅ではほぼ降りたことがない」そうです。
◆買い物が地元ばかりだと、丸の内OL恵比寿OLに負ける
私は婚活中の買い物だけでも都心に出るよう勧めることにしました。
「首都圏での婚活だと、恵比寿や丸の内で働いていて、買い物やお食事は表参道や銀座って女性がライバルになるんですよ。溝の口もたまにはいいけど、婚活中の買い物はせめて恵比寿、渋谷、新宿ぐらいまでは出ていきましょう」
「分かりました。せっかく東京に来たし、帰りに恵比寿のアトレでも見てみます」
「できたら、都内の女性のヘアメイクと服装も見るようにしてくださいね」
「そうしてみます」
麻美さんは恵比寿アトレに行ってみて、周りの女性が髪の毛がサラサラで垢抜けた女性が多く、気後れしてしまったそうです。その後「ちょっと外見を見直そうと思う」と連絡をいただきました。
◆「ありのままの私を丸ごと受け入れて」は努力の欠落
婚活の場では、溝の口が活動エリアの女性と、恵比寿や表参道が活動エリアの女性とが、同じ土俵に立つのです。自分の立ち位置を知る気持ちがあるのなら、外見にも気を使いましょう。
麻美さんは幸い外見の改善の重要性に気が付いてくれました。でも婚活市場には「ありのままの自分を丸ごと受け入れてくれる人がいい」「外見で人を判断するのはダメ。自分の内面を見てほしい」と言って、垢抜けないヘアメイクや服装を変えようとしない人がいます。
もちろん、外見が良ければ内面が良いとは言いません。でも外見を整える努力が欠落している方で、気配りやコミュニケーション力がある方はほとんどいないです。即効性があるのに頑なに外見を変えない人の場合、内面に課題があることが多いですね。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt