
「え、今なんて……?」と思わず耳を疑うような言葉が、店員の口から飛び出すこともあるようだ。
東京都の男性(70歳〜)は、銀行の案内係との”堂々巡り”の記録について投稿を寄せた。
「聖徳太子の一万円札の新札1枚と福沢諭吉の一万円札9枚、合わせて10万円を預金しようと、とある銀行に行った」
旧札預金という少し特殊な手続きが、最終的に「カスハラ扱い」という残念な結末を迎えたという。一体何があったのか。その“泥沼化”のプロセスを追ってみよう。(文:天音琴葉)
「福沢諭吉は今も相当量流通しているよ!」
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男性は、聖徳太子は現行紙幣ではないので窓口で両替の上、まとめて10万円を預金しようと、窓口の順番待ちの受付券を取ろうとした。
受付券を取ろうとすると、初老の女性案内係が「今日はどんなご用件ですか」と聞いてきた。男性が説明すると聖徳太子のお札について「鑑定が必要ですので本日は預金できません。鑑定には2週間かかります」と言われた。ここまでは男性も想定内だった。
だが、問題は次だった。案内係は「他にどんなお札をお持ちですか?」と尋ね、男性が「福沢諭吉の一万円札を持って来た」と答えると、まさかの言葉が返ってきた。
「それも鑑定が必要かもしれません」
唖然とした男性は、「福沢諭吉は今も相当量流通しているよ!」と指摘。すると案内係は、なんてことないという様子で、
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「それでは聖徳太子は鑑定に出して、福沢諭吉はCD(キャッシュディスペンサー)で預金して下さい」
と、当初の男性の希望を無視した提案をしたのだ。
「どういう気持ちで鑑定が必要と言ったのか」と問い詰めるも……
当然男性は、
「自分はまとめて窓口で手続きしたいと最初から言っているのに、何故そうできないのか?」
と、納得がいかない。案内係に、
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「第一、現在流通している福沢諭吉が鑑定が必要だとか言って案内したことはおかしくないのか?」
と、そもそもの発言の真意を質した。
しかし、案内係は核心に触れようとせず、「それでは2枚の手続用紙に記入して下さい」と、話を逸らそうとした。男性が「どういう気持ちで鑑定が必要と言ったのか」と食い下がるも、返ってきたのは「それはどうも」という、謝罪ともつかぬ曖昧な返事だけ。まるで暖簾に腕押しだ。
男性はさらに質問を重ねた。
「鑑定の聖徳太子と流通している福沢諭吉を今日預金をお願いすると通帳はどういう記載になるのか」
些細なことではあるが、一応確認しておきたかったのだろう。だが、案内係の答えはまたもや「それは窓口で聞いて下さい」だった。
男性の不満は募る一方だった。「とにかく質問に答えてくれ!」と、説明を強く求めた。これに案内係は、男性に向かってこう言い放った。
「お客様は普通のお客様ではありませんから別の者が対応します」
そして、カスタマーハラスメント防止を呼びかけるポスターを指差したというのだ。
男性は「自分が答えられないのを詰められるとカスハラ扱いされて」と、さすがに腹が立ったという。「とにかく質問に答えてくれ!」という言い方がキツかったのかもしれないが、案内係の変な言葉が発端なのだから、男性としては納得がいかなかっただろう。
結局、男性は窓口に行き、担当者から「9万円は本日記帳して、聖徳太子札は2〜3週間後にカンテイと注記して振り込まれます」という説明を受けた。
「案内係にはその知識がなくて説明できないから、お客をカスハラ扱いしてあくまで自分のプライドを守ろうとしたのかもしれない」
今も納得がいかない様子の男性だが、暴力や暴言以外にも、威圧的な態度や同じ要求をしつこく繰り返すことなどもカスハラ認定される。特に東京都では4月から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行された。自身の行為がカスハラに該当していないか、まずは一人ひとりが自分自身をチェックしてみたほうがいいだろう。
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