写真 大好きな人からの誘いに飛び上がるほどうれしかったのに、いざデートをしてみると幻滅した…というケースは意外と多いようです。
「デートをするまでは完璧だった」と話す貝塚碧衣さん(仮名・20代)も、そんなひとり。
◆意中の人から遊園地デートのお誘いが!
ある日、大好きな取引先の社員Sさん(男性・20代)との会話でUSJの話題が飛び出し、その流れでお誘いが。
碧衣さんの住む地域からUSJのある大阪までは、車で約3時間かかることから、「これは脈あり!」「この日に告白もアリかも?」と大はしゃぎしていました。
「前日の3日ぐらい前から着る服に悩み、睡眠不足状態で待ち合わせ場所に到着。Sからは『朝早くに出て、近くで朝ご飯を食べてから入園しよう』と誘われていたので、朝食にはどんなお店をチョイスしてくれるのか楽しみにしていました」
Sさんが選曲してくれたプレイリストを聞きながら、到着までの楽しいドライブ。あっという間の3時間に、つい朝食への期待も跳ね上がります。ところが彼が車を停めたのは、USJの近くにあるコンビニ。
「ひとりで入っていったので、トイレかと思っていました。でも、コンビニから出てきた彼は、パンパンになったビニール袋を両手に持っています。
そして車に乗り込むと、『USJのなかで食べると高いから、いまのうちにお昼の分まで食べておこう!』と言ったのです」
◆せっかくのUSJなのにドケチすぎてげんなり
コンビニの袋には、おにぎりやサンドイッチが大量に入っています。さらに彼は後部座席に置いてあった保冷バッグを手に取ると、「お茶とかジュースは、ドラッグストアでまとめ買いして冷やしておいたんだ」と飲料を取り出したのです。
「節約精神はすばらしいですが、正直『初デートで、これはない』と幻滅しました。
当然、入園したあとはチュリトスやドリンクなども一切買わない。フードやドリンクを片手にSと写真を撮りたかったのに、それをあらためて提案する余裕はありませんでした」
なぜならSさんは、フードやドリンクの販売スポットの前になると「贅沢、贅沢」とぶつくさ言い、つないでいた手を強く引っ張りながら通り過ぎるのです。
途中、お互いのお腹がグーっと鳴ったときにも、「外に出たら、何か食べに行こう」と言う始末。
「さらにSは、ユニバーサル・エクスプレス・パスの事前購入もしていないし、当日購入もしない。
無料の“よやくのり(e整理券)”は利用しましたが、取得した券面に記載された案内予定時間を過ぎるまで次の取得ができないなど、なんだか疲れ果ててしまいました」
◆飲み物も買えないから熱中症気味になってしまった
まだまだ暑さが残る日だったこともあり、碧衣さんは熱中症気味になってしまいます。
そのことを伝えても、飲み物を買ってくれるわけでもない。体調が悪いので早めに帰りたいと伝えると、Sさんは碧衣さんの心配どころか、「え! 入園料もったいない!」と口走ります。
「思わず、『ごめん。入園料は私が全額あとで返すから、今日はもう帰らせて』と懇願してしまいました。
これにはSも、『変なこと言ってごめん。料金は払ってくれなくても大丈夫だから。今日は、もう帰ろう』と言ってくれたのです。ホッとしました」
◆告白は生ぬるい飲み物とともに…
駐車場に着くと彼は、保冷バッグから生ぬるくなったペットボトルを取り出すと、一気に飲み干すよう指示。碧衣さんが落ち着いてくるのを見計らうと、「今度は、彼氏彼女としてUSJに来たい」と告白してきたのです。
「無理の一択でしたが、帰り道のこともあるし、ひとまず『いまは体調が悪いので考えさせてね』と言いました。そのあとは、無言の道中です。数日後、正式にお断りの返事をしました。
いま振り返っても、人生でダントツ最悪なデートでした」
デートの楽しさは、人気のスポットであるかどうかだけではなく、自分や相手の価値観や感覚によっても大きく左右されるもの。
どちらかが相手に幻滅してしまうことを避けるためには、行き先やプランよりも、デート相手のリサーチが何よりも大切かもしれません。
<文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。