
「息子氏を抱っこして(人身事故の遅延で満員の)電車に乗ることになってしまって、(うわ…周りの方々ごめんなさい…)って思いながら、縮こまりつつ電車に乗り込んだら…」
小さな子どもを連れての満員電車乗車は、気を遣ってしまいます。「チッ」と舌打ちされたり、睨まれたり、「静かにさせなさい」と注意されたり、などの苦い経験はトラウマになりかねません。
しかし、心温まる経験も。満員電車の乗客が、「私の視界に入る全ての顔が息子氏を見て笑顔になって、息子氏に圧が掛からないように空間を皆で維持してくれた」というしょー_さん(@ShoCajon 以下しょーさん)が、「優しい世界が広がることに一役を担えたらうれしい」と取材に応じてくれました。
乗客全員、いい人だった遅延の満員電車内
「子連れでの満員電車への乗車は、基本的に避けてきたので初めての経験でした」と、保育園に通う男の子を育てる父親のしょーさん。遅延が発生し、満員電車に乗らざるを得ず、不安を感じましたが、乗るしかない!と乗り込んだときのことでした。
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みんなが笑顔で配慮してくれただけでなく、長椅子の端に座っていた高齢女性がしょーさんたちに席を譲ることを名乗り出ると、この女性と同じ長椅子に座っている方々が「あ、じゃぁ私が」「いや、私が」「どうぞ、どうぞ」と一斉に中腰に。
まるでコントのような光景に、みんなで顔を見合わせてひとしきり笑い合うというほっこりした瞬間もあったそうです。
「結局、その椅子の真ん中あたりの男性が譲ってくれたのですが、私の左右に座っている人、前に立っている人、奥の長椅子に座っている人たちが息子に手を振ってくれたり変顔したりしてくれたのです」。誰かがあやしてくれる状態が続き、息子さんも超ご機嫌に。
息子さん自身も、周囲の人に笑顔を振り撒いていたそうで、「その様子はまるでファンサを求める人とアイドルの構図でした」としょーさん。目的の駅に着いた際は、手を振ってくれてる人、降りるための道を作ってくれる人、「いってらっしゃーい」「可愛い〜」「癒されたーありがとう」などの声かけをしてくれる人たちに見送られたそう。
グズることなく、車内で過ごした数分間。「降りる時はなんとも温かい気持ちでした。ありがとうございます、を何回も伝えながら降りたことを覚えています」と振り返ります。「数駅の出来事だから、人生において極僅かな時間ですが、経験した中で1、2を争うレベルで優しい空間でした。一生忘れたくないなって思えるぐらい幸せな時間を過ごせました」。
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しょーさんのXの投稿には、「これが社会で子育てのあるべき姿」「優しさの連鎖は素敵」「電車内でのベビーカーについての攻撃的なポストを見るけど、子育てすると周囲の善意にたくさん助けられてます。私も、子供たちも、受けた恩を次の人に渡していけるようにしたい」などのあたたかいコメントが寄せられるなど、大きな反響に。
元々子どもが好きで、子連れ乗車の方 (特にベビーカーに乗るような年齢の子)が乗車してきたら、様子をうかがいつつ、出来ることをしていたしょーさん。満員電車での出来事は、受け手としてどれほど嬉しいものか、を改めて実感できたそう。
「息子のほっこりエピソードが多くの人に届いて共感してもらえてそうで嬉しい限り」というしょーさんは、「これからも自分でも続けていきたいし、こういう優しさがみなさんに広がって欲しい」と取材を締め括ってくれました。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)
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