11歳娘、ナプキンの減りが早すぎ→理由を聞くと「友達が毎日忘れる」 母、これって深刻かも?…専門家「生理の問題気づかれにくい」

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2025年04月23日 07:20  まいどなニュース

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周期が不安定になりがちな小学生の生理。ナプキンをいくつかポーチに入れて常備しておけば安心…と子どもたちに教えている親御さんも多いはずですが…(筆者撮影)

「生理用ナプキンの減りが早いから娘の出血量が心配で聞いてみたら『友達が毎日忘れてくるからあげてる』って。その子、雨の日に娘を迎えに行ったら『私も送ってほしい』って言い、我が家に来たときは『お菓子ほしい』って言うの。親からお礼を言われたことはなく、おばちゃんは色々心配になるんだよ…」 

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やじるしさん(@arrow01525238)がこのエピソードをXに投稿したところ、1334万件以上表示され、様々な見解が寄せられています。 

やじるしさんによると、友達は天真爛漫な子で娘さんとも仲が良く、娘さんも嫌な気持ちにはなっていないとのこと。そして、ナプキンをもらえる前提で持ってきていないのか、そのあたりもあまりわからないそうです。

「親御さんは多分気づいていないんだと思います。私もナプキンをあげること自体はいいんですけど…いらんことかもしれないけど親御さんとどんな感じなんだろうかと勝手に心配していて。学年が上がると少しずつ家以外での行動が見えづらくなるのは理解できるから、私も娘とのコミュニケーションはしっかりとらなきゃいけないなって思います」とやじるしさん。

学校へも相談することにし、担任の先生が男性だったため保健室の先生に報告。何かをして欲しいということではなく、少し気をつけてみてあげてほしいということをお伝えしたそうです。

親が多忙さや無関心から子の面倒を見ず、子は友達やその家族を頼ったり一人で過ごしている「放置子」のパターン、食事を与えない・ひどく不潔にする・重い病でも病院に連れて行かないなどの「ネグレクト」への懸念、経済的な理由等で生理用品を購入できない「生理の貧困」に繋がっている可能性、単純に親御さんがお子さんのことを何も知らないだけ…などちょっと見過ごせない事態です。 

周囲にこういった子がいた場合、どのように対応すべきなのでしょうか?

今回の投稿を受け、元保健室の先生であり、現在、性教育講師・思春期保健相談士として全国各地の学校や施設で講演会や講座を行っている「にじいろ」さん(@beingiscare)にお話を聞きました。 

全く持ってこない、長時間換えない子も…

にじいろさんは、10代の子どもたちのリアルな性の悩みを多数紹介する書籍『10代の妊娠:友だちもネットも教えてくれない性と妊娠のリアル』を執筆し発売中。10代の子どもたちに知ってほしい性の知識をやさしく伝える活動を行っています。

――こういった「生理用品を持ってこない子」というのは最近の小・中学生ではあり得ることだと感じられますか? 

このような子どもは、今も昔も一定数いるのではと思います。いわゆる 「放置子」と思われるような子どもと出会ったり、身近にいるという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。ただ、「後を付いてくる」「帰らない」「欲しがる」等のほうが気づきやすく、生理用品のことは周りの大人も気づきにくいと思います。  

また、「生理用品を全く持ってこない」とまではいかなくても、「長時間換えない子がいる」という話はちょくちょく聞きます。 めんどくさい等の理由も考えられますが「できるだけ少ない枚数でやりくりしたい」という子も一定数いるのではないでしょうか。 

――今回のケースのような場合、どこに相談すれば? 

まずは学校の先生に相談するのがベストかと思います。 この投稿主さんのように、他にも気になる点がある場合もあれば、部分的に無頓着なだけの場合もあったり、いろいろです。 そのケースに応じて、先生から保護者にはたらきかけてくれたり、必要に応じて他機関へと繋いでもらうのがスムーズかと思います。

――実際に小学校では、生理や生理用品についてどのようにレクチャーを? 

生理のしくみついては小4保健の学習内容にあるのですが、生理用品の所持や使い方については、教科書には載っていません。 でも、補足で養護教諭が授業したり、宿泊行事前に話したり、というのは、多くの学校でやっていると思います。 

ですので、私は所持や使い方について詳しく話すことは少ないのですが、災害の話ともからめて生活必需品であることを強調したり、ナプキン以外にも生理用品があるということは簡単に話したりしています。  

――各学校でのナプキンの設置状況はいかがですか? 

ここ3年くらいで、急激に拡がってきたと感じています。 以前から、保健室には最低限置いている学校が多かったかと思いますが、 自治体から学校に置くよう配付されている所も増えてきました。

それをどこにどう置くのかは各校に任されていることが多いように感じます。 トイレ個室だったり、手洗い場だったり、引き換えカード制だったり。 学校の実態や、先生の考え方も様々です。  

――小学生から生理にまつわる相談などは? 

雑談レベルでよく聞こえてくるのは、学校で急に始まって困る(ナプキンを持っていない、持っていてもその瞬間手元にない、服を汚した)、トイレに行く時間がない、ゆっくり交換する余裕がない、周りに気づかれるのが嫌(持ち歩き方に困る、ナプキンを開ける音が気になる)等です。  

体調不良を男性教員に言いづらい、母親がガマンすべきと促したり、薬や受診を禁止するなどの対応には、直接相談があったり、講演後の感想に書かれていたりします。

――特にまだ経験の浅い小学生にとっては、各家庭や学校が相談できる場であるべきですね。 

性別問わずみんなが生理についての基礎知識を知っていることが安心につながると思います。 子どもたちには「しんどい時、困った時は、話していい、頼っていい。生理でサポートを受けられるのは当然の権利」というメッセージをこれからも繰り返し送れたらと思っています。  

生理による行き場のない悔しさ、辛さ、羞恥心を減らしていくには、積極的な支援と生理に関する教育が不可欠です。大人は「みんな乗り越えてきたのだからあなたも我慢しなさい」ではなく、「自分たちが困ったから、知らなかったから、生きやすい方法を一緒に考えていこう」という姿勢でありたいものですね。 

◇   ◇ 

今回の投稿には、
「先生から言っていただくのが、角が立たなくて良いかと思います」
「保健室にも常備してあるはずですし 先生から親に言ってもらうのと共に今度から保健室で旨の相談をするように促してはどうでしょうか」
「娘さんの思いやり、とても素敵です。優しさが負担にならないように見守りつつ対応できるといいですね」
学校への相談を促すアドバイスや、娘さんとやじるしさんの優しさを称えるコメントも相次ぎました。

それと同時に、問題をはらんでいる可能性の指摘もやはり多く。

「たまに忘れるとかならあるけど、毎日? 親御さんは気にしてないのかな?」
「優しいお嬢さん でも利用する相手と位置付けられている恐れもある 見極めた方がいいのかもと要らぬ心配をしてしまいます」 
「もしかしたら親御さんからそうするように入れ知恵(?)されているという可能性も。やさしい娘さんに依存しているのか?」
「社会的な支援が必要な匂いがするので、学校や児童相談所やその他公的機関にきちんと報告した方が良い気がします」 
「#放置子 を思い出します。言うことを聞く相手を見きわめているのだと思います」
「もしかしたら支援が必要な子かもしれませんし、何より娘さんは不快になってないからその子自身は悪い子ではないと思うので『あげない』と片付けるのは簡単だしそんなリプもある中、お友達の心配をする主さんは優しいお母さんだなと思います」  

たまたま持っていなかったという場合は、よくあることですが、続いてしまう場合は、友達やその家庭になんらかの事情があり、十分なナプキン量を使えていないことも想像できます。

相談しづらい「生理の貧困」…どんな対策が?

「生理の貧困」については、その解消に向け、各都道府県の自治体単位で生理用品の配布や支給を行ってはいますが、2022年に厚生労働省が発表した「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」によると、64.4%の人が居住地域での生理用品の無償提供について「わからない」と回答しています。

無償提供のことを知っていたとしても、小学生が一人で公的な窓口に助けを求めに行くことは現実的ではなく、やはり一番身近な保護者や学校に助けを求めるのが自然です。とはいえ、相談しにくい、言いづらいといった心理的な壁が大きいことも想像できます。

「奨学ナプキン」奨学生の募集や生理用品配布の動きも

こういった社会背景のなか、「エリエール」ブランドの生理用品「エリス」を展開する大王製紙株式会社(東京都千代田区)は、多様性のある社会でひとりひとりの生理に寄り添うプロジェクト「meet my elis」を2022年に始動。

プロジェクトの一環として、さまざまな理由から生理用品の入手に困っている学生を対象に、生理用ナプキンを1年間無償で配布する「奨学ナプキン」を実施しており、2024年度も2,000名の学生へ支援を行っています。

2025年4月現在、25を超える企業・団体が賛同を表明。今年も4月3日から奨学生の募集を開始し、未成年は保護者の同意のもと応募が可能です(5月11日締切)。 

その他、SNS上で生理用品の寄附や配布の案内を積極的に行っている社団法人やボランティア団体なども目にするようになり、「生理の貧困」の根深さとともに、その解消に向けて社会全体で取り組んでいこうという傾向も少しずつ見受けられます。

まだまだ本人が不安を感じることも多いであろう小学生の生理。必要な時に必要なナプキンを使える環境、そして、自分の身体を大切にし、できるだけ快適に過ごすために相談できる保護者や大人が周囲にいること、社会が手を差し伸べてあげられる環境であることが重要だとあらためて感じました。 

参照:厚生労働省「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」(令和4年3月)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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