
そばの乾麺は、常温で長期保存できて便利な一方、鍋でお湯を沸かしてゆでる手間がかかるのが悩みどころです。うどんやパスタには電子レンジで調理できる手段がありますが、そばはあまり一般的ではありません。
そんな中、電子レンジで手軽にそばをゆでる方法があると聞き、試してみました。教えてくれたのは、そば研究家の片山虎之介さんです。
用意するのはタッパーとお湯
乾麺のそば一人前(約100グラム)を電子レンジでゆでるには、まず1.2リットルの熱湯を用意します。水ではなく、必ず沸かしたお湯を使うことが大切です。使用する容器は、電子レンジ対応の耐熱性タッパー。深さがあり、麺が折らずに入るものが理想ですが、入らない場合は麺を半分に折っても問題ありません。
乾麺をタッパーに入れたら、全体が浸るように熱湯を注ぎます。ラップはせず、そのまま電子レンジで加熱します。加熱時間は、パッケージに記載された通常のゆで時間から30秒引いた時間が目安です。たとえば、ゆで時間が4分なら3分30秒に設定します。
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ここで注意したいのが、1分ごとに加熱を止めて、箸で麺をかき混ぜること。麺がくっつかず、吹きこぼれを防ぐために重要な工程です。加熱と撹拌を繰り返し、設定時間まで温めたら、すぐにザルにとって流水でぬめりを洗い流します。これで完成です。
筆者もこの方法を実際に試しました。用意できた容器がやや浅かったため、乾麺は半分に折って使用しました。熱湯を注いで加熱を開始しましたが、最初はかき混ぜるのを忘れ、吹きこぼれてしまいました。2回目からは、タイマーを見ながら1分ごとに加熱を中断し、かき混ぜて再加熱することで、問題なく仕上がりました。加熱後はすぐにザルにあけて流水で洗いましたが、そのとき麺の感触がよく、洗うのも楽しく感じられました。
失敗しないコツ
本来そばは多い水で少ない麺をゆでるのが鉄則。それを電子レンジという狭い空間でうまくやるにはどうすればいいか。この調理法を編み出した片山さんによると、いくつか注意点があるといいます。
最初はパスタをゆでる市販の容器を試したところ、芯が残ることが多く、試行錯誤を重ねたそうです。「結局スーパーで出会ったなんの変哲もないタッパーが深さやサイズともにしっくりきました」。
電子レンジでは一度に高温を維持しにくいため、最初から熱湯を注ぐことが肝心。さらに、容器の深さや形状も大切で、吹きこぼれを防ぐためには「深めのタッパー」が効果的だといいます。
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また、小さい容器では麺同士が重なりやすく、うまくゆでられないこともあります。その対策として、1分ごとにかき混ぜる工程が重要になります。
片山さんによれば「ゆで時間が長めの乾麺でも、きちんと1分ごとにかき混ぜることで吹きこぼれ防止にもなる」とのことでした。
さらに、電子レンジ調理とは別に、「日本の麺つゆは甘めの味付けですが、冷たいそばを食べるときは清涼感を楽しむために、辛味大根などを使って少し辛めのそばつゆで味わうのがおすすめです」と、そば研究家ならではのアドバイスもいただきました。
(大阪芸大短大部・倉成 晶野)
【出典】
▽日本蕎麦保存会jp そば研究家片山虎之介の蕎麦情報マガジン
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