BYDオートジャパン・東福寺厚樹社長が語る「シーライオン7の全容」「PHEVの投入」「日本市場の課題」

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2025年04月26日 07:50  週プレNEWS

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BYDオートジャパン・東福寺厚樹社長

EV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド)を武器に進撃を続ける中国BYD。世界に衝撃を与えた噂のEVがついにニッポン上陸!! いったいどんなクルマなのか? 日本市場での戦略は? 日本の乗用車部門のトップを務めるBYDオートジャパンの東福寺厚樹社長を直撃した!

【写真】EVセダン・シールをベースに開発されたシーライオン7

■世界6位に立った中国BYD

――まずお聞きしたいのは、昨年のBYDの世界新車販売台数です。なんだかスゴいことになっていますね?

東福寺 427万台でした。

――この数字はホンダや日産を超えて世界第6位です。率直な感想はいかがですか?

東福寺 4年前、私が入社したときの新車販売台数は74万台でした。それが187万台となり、302万台に増え、ついには427万台ですから......本当に驚きしかありません。

――この急成長の背景に何が挙げられます?

東福寺 中国は世界最大となる3000万台の自動車市場を持っています。

――そのうち乗用車市場はどれぐらいの規模ですか?

東福寺 2600万台が乗用車になります。さらにその乗用車の中でも変化が起きています。具体的には、"新エネルギー車(EVとPHEV)"へ乗り換えられるお客さまが急激に増えています。単月で見ると、すでに新エネルギー車の割合は50%を超えている。

――逆に言うと、中国では純ガソリン車の販売が急減しているわけですね。

東福寺 ええ。つまり、BYDの急成長の原動力は、新エネルギー車をちゃんと用意できているのが大きいと思いますね。

――そんな業績絶好調のBYDが、日本市場に噂の新型EVを投入しました。どんなクルマですか?

東福寺 4月15日から日本で販売開始となったシーライオン7は、SUVタイプのEVです。

――すでにシーライオン7は世界各国で販売されているそうですね?

東福寺 イギリス、イタリア、フランス、ドイツ。あとはオーストラリア、タイほか......間もなくインドネシアでも販売が始まります。

――反響はいかがです?

東福寺 おかげさまで、「ものすごいアップスケール」「スタイリッシュ」「ハイクオリティ」というような声が多いですね。実際、私もドアを開いたときの内装の質感に驚きました。

――シーライオン7は日本市場におけるフラッグシップセダン・シールをベースに開発されたそうですね?

東福寺 日頃、シールに乗る機会が多いのですが、シーライオン7に乗ると、静粛性や乗り心地の進化をはっきりと感じますね。

――今回の試乗会に参加している専門家からも同様の声を耳にしました。ちなみに日本市場においてセダンの頂点がシール、SUVの頂点がシーライオン7ですか?

東福寺 間違いなく、そういう位置づけです。

――現時点で、シーライオン7の手応えはいかがです?

東福寺 モータージャーナリストの皆さまからは、「相当いいね」という評価をいただいております。一方で、商品の出来栄えと価格がアンマッチだと感じた方も多い印象ですね。

――何しろシーライオン7は後輪駆動が495万円、四輪駆動が572万円という衝撃のデフレ価格。しかも、巨大ナビ(タッチスクリーン)、大型のガラスルーフ、本革シートなどフル装備です。

東福寺 後からつけるものはほとんどないですね。シーライオン7は"全盛り"にしましたので、装備の部分はご安心ください(笑)。

――すでに100台以上受注しているそうですが、ズバリ、日本市場でシーライオン7は売れますか?

東福寺 もちろん期待はしていますが、ご存じのように日本市場はEVがドーンと売れるマーケットではありません。昨年発売したシールは初期1000台限定で495万円という価格で販売しました。

6月末に発売して9月の時点で500台までスムーズに売れましたが、そこから残り500台が売れるまでに多少時間が必要でした。シーライオン7も気は緩められません。

■日本市場で値下げ攻勢開始!

――今年、日本市場にBYDのPHEVがついに導入されます。世界販売においてPHEVの比率というのはどれぐらいですか?

東福寺 昨年、BYDの乗用車部門の世界販売比率はEVが41.5%、PHEVが58.5%です。

――つまり、EVとPHEVの両輪がBYDの強みなわけですね。

東福寺 そのとおりです。

――PHEVの日本市場導入のめどは?

東福寺 日本市場には年内になんとか発表、発売したいと考えています。

――日本市場に投入されたBYDのEVは4モデルです。PHEVの展開はどうお考えですか?

東福寺 来年以降になりますけれども、PHEVでも大きさの異なるクルマも少し増やす予定です。BYDのPHEVは小さいのもあれば、大きいのもある。価格帯も違うので、お客さまはより選びやすくなると思います。

――EVの普及が伸びない日本市場でPHEVは大きな存在になる気がします。

東福寺 お客さまにとっても、国内マーケットにおけるPHEVの選択肢が増えますよね。ただし、BYDには日本市場における課題もあります。

――それは?

東福寺 当初はどなたもBYDをご存じなかった。そのときに比べますと、現在は長澤まさみさんのCM効果もあり、48%ぐらいまでブランド認知は増えました。

――はい。

東福寺 しかし、BYDがどんな会社で、どんなクルマを販売しているか。そこまでご存じの方になると少し減る。そこからさらに次に乗り換えるクルマとしてBYDを検討するかとなると、さらに数は減ってしまいます。

――長澤まさみを起用したテレビCMが大きな反響を呼び、日本市場での認知度は格段に向上したものの、まだまだ課題が残っているわけですね。今後、その課題にどう取り組むのでしょうか?

東福寺 バッテリー性能を含めた技術面、充実した装備、デザイン面をこの低価格で手にできる。それを幅広くお伝えしていきたい。

――ちなみに昨年の日本市場のEV販売台数は前年比33%減で、4年ぶりの前年割れとなりました。一方、BYDは54%増をマーク。しかも、今年4月1日には小型EV・ドルフィンと、SUVタイプのEV・アットスリーを値下げしましたね?

東福寺 値下げ後の価格はドルフィンが299万2000円〜、アットスリーが418万円〜です。

――コスパ最強すぎるシーライオン7が上陸し、噂のPHEVも登場を控えています。すでに日本市場の課題解決が始まっている?

東福寺 今年のBYDに期待していただきたいですね。

●東福寺厚樹(とうふくじ・あつき)
1958年生まれ。早稲田大学卒業。81年、三菱自動車工業に入社。国内・海外事業を担当したほか、米国と豪州に駐在。2011年からフォルクスワーゲン グループ ジャパンでネットワーク開発を担当。16年にフォルクスワーゲンジャパン販売の社長に就任。21年8月、BYDジャパン執行役員兼乗用車事業本部長として入社。22年7月から現職

取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾

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  • おカネ、個人情報、生命を預けるような財・サービスを購入する際にはチャンチョソ企業は避けるべしという世界の共通認識w
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