
現役時代と違って、定年後は収入が限られてくるため、無理のない範囲でお金を使うことが大切です。
とはいえ、節約ばかりでは息が詰まってしまいます。友人とのお出掛けやちょっとした贈り物が、日々の楽しみや心のハリになることもあるでしょう。今回は、実際に定年後の人々がどのくらい交際費を使っているのか? また、人付き合いを楽しみながら節約するコツなどをご紹介します。
定年後の交際費の平均額とは?
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編2024年(令和6年)平均結果の概要」によると交際費の平均額は以下のとおりです。・2人以上世帯(65歳以上):月額2万3888円
・単身世帯(65歳以上):月額1万6460円
交際費は人生を豊かにしてくれる大切な出費と言えますが、最近は、電気代や食料品などの値上げが続いています。気付かないうちに家計全体の出費がかさんでしまうことも。交際費も「知らないうちに使い過ぎていた……」というケースもあるでしょう。だからこそ、交際費も家計の一部として、バランスよく管理していくことが大切です。
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交際費をかけ過ぎないためのヒント
交際費は、全部をガマンするのではなく、うまく整えることが大切なポイント。「最近ちょっと多いかも……」と感じた方は、こんな工夫を試してみてはいかがでしょうか?
●月の上限額をざっくり決めておく
あらかじめ「交際費は月○○円まで」と決めておくだけで、使い過ぎ防止になります。また、現金で封筒管理する方法のほか、キャッシュレス派なら家計簿アプリや交際費専用の口座・決済アプリで管理するのもおすすめです。
●会う頻度やスタイルを見直す
「毎月会っていた友人と、2カ月に1回にしてみる」「外食ではなく、おうちで持ち寄りにする」など付き合い方を工夫すると、楽しい時間はそのまま、負担だけを減らせます。
●断りづらいお誘いには「代替案」を
お誘いを断るのが苦手な方は、代替案を添えるのがおすすめです。「今月はちょっと厳しいから、来月にしませんか?」など、相手への思いやりを込めつつ、自分のペースも大切にしましょう。
人付き合いを楽しみながら節約するコツ
「節約=ガマン」と思われがちですが、実はお金をかけずに楽しめる人付き合いの工夫はたくさんあります。
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映画館や美術館、公民館での催しなど、シニア向けの割引や無料イベントは意外と豊富。気軽に楽しめて、気分転換にもぴったりです。
●お金がかからない趣味を通じた交流でつながりを広げる
読書会やボランティア活動など、費用をかけずに人と交流できる場はたくさんあります。自分の好きなことを通じて、自然と会話も広がります。
●「プチおしゃべり」で心のゆとりを
公園でベンチに座っておしゃべりしたり、カフェでお茶を楽しんだり。ちょっとした時間の共有でも、心がほぐれます。
●オンラインツールを使って気軽に交流
遠方の友人や外出が難しいときには、ZoomやLINEのビデオ通話を使えば、お金も移動時間もかけずに、顔を見ながらゆっくり話せます。
人付き合いは「金額」より「気持ち」。無理なく、心地よい距離感でつながっていくことが、老後の楽しさや安心感にもつながっていきます。
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まとめ
年を重ねても、人との関わりは暮らしを豊かにしてくれる大切なもの。交際費は「削る出費」ではなく、「上手に使う」ことが大切です。自分の家計に合った予算を意識しながら、無理のない工夫でお付き合いを楽しみ、心もお財布もゆとりある日々につなげましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))