山里亮太、情報番組で見せた“手のひら返し”に強烈な違和感、得意の“攻撃性と保身”は「MCに邪魔」

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2025年04月27日 07:00  週刊女性PRIME

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南海キャンディーズ・山里亮太

世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。

第42回 山里亮太

 情報番組『DayDay』(日本テレビ系)のMCに、南海キャンディーズ・山里亮太さんが就任すると聞いたとき、ちょっと意外な気がしました。

 たしかに山里さんは人気者であり、スキャンダルを起こしたこともない。妻は人気女優・蒼井優さんでお子さんもいらっしゃるので、パパとして子育ても語れる。数字(視聴率)とコンプライアンスを重視するテレビ局にとってうってつけの存在であることはわかりますが、山里さんが“朝の番組のMC”として適性があるのかと言われると、首をかしげてしまうのです。

山里の“手のひらを返したような態度”に違和感

 実際、山里さんの番組内での発言はたびたび炎上しています。そこで、どうして山里さんが「朝の番組のMC」に向かないのかを考えてみたいと思います。

 山里さんの最近の炎上と言えば、元タレント・中居正広さん関連のことがあげられます。昨年末に『女性セブン』が、中居正広さんがフジテレビの女性社員に性暴力を働いたと報じました。『週刊文春』は、これは中居氏と女性社員の間の個人的な問題ではなく、フジテレビの社員がスターに女性を“上納”することで、タレントからの覚えをめでたくし昇進している、つまり組織的な関与があると書いています。

 もしそれが本当なら、報道機関として、また日本を代表する大企業としての信用はガタ落ちと言えるでしょう。『文春』は当初、女性は「フジテレビの社員に食事会に誘われた」と報じていましたが、その後の取材で「中居氏本人に誘われた」と、記事の一部分をこっそり訂正しています。人の記憶というのは実はとてもあやふやで、話しているうちにだんだん内容が変わっていくことは珍しくありませんし、会話をすべて録音しているわけでもないでしょうから、ある程度の齟齬が生じることは仕方がないと思いますが、そういうときはきちんと公表したほうがいいのではとも思いました。

 山里さんも『文春』の書き換えに激しく憤っていました。1月29日放送の『DayDay』では、「これ、結局フジテレビは関与してなかったっていうことになるわけでしょ? そうなると、今回のことの騒動の根本が違うわけで」「まだこれからいろいろ調べてくるんだろうけど、週刊誌の間違った情報を真実として、それを武器にいろんなことが起きてたわけじゃないですか。で、間違ってましたって言ったからって、今まで間違ったことから派生したことは、もう取り返しがつかなくて」と、中居さんは悪くないのに、週刊誌のせいで引退に追い込まれたとでも言うように『文春』を批判しています。

 しかし、3月31日に発表されたフジテレビ第三者委員会は、中居氏による性暴力があったと認定しており、報告書の内容もおおむね『文春』と一致していたのでした。山里さんは4月1日放送の『DayDay』において「残念でした。こんなことがあったんだって、憶測だって言われることもあった中で、かなり厳しい形で出たことで衝撃は隠せないなと思いました」と急にトーンダウンしています。

「あれ? 憶測だって言われることもあったって人の意見みたいに言ってるけど、週刊誌報道を誤報っていったのはあなた自身ですよね?」と、手のひらを返したような態度に、違和感のあった人もいたことでしょう。

発想や物事の捉え方が極端な山里

 根本的な話になるのですが、山里さんはMCという立場をどうとらえているのか疑問に思います。情報番組のMCに求められるのは“中立性”ですから、週刊誌の報道や特定の誰かを正しいとか間違っているとジャッジする立場にないと思うのです。

 週刊誌が芸能人の性加害を報じたからと言って、性加害は真実だと決めつけてはいけないのと同様に、記事の一部に間違いがあり、訂正していたからといって、記事全体が間違い、つまり誤報や憶測であるとまでは言い切れないでしょう。MCは、週刊誌がこう報じたという事実のみをベースに議論を展開し、コメンテーターAさんはこう言っていますが、Bさんはどう思いますか?というふうに交通整理しつつ、多様な意見を引き出すことが求められるのではないでしょうか。コメントが無難過ぎると視聴者が退屈してしまいますからつっこみ、極端な方向に走れば軌道修正するなどの舵取りをすることを求められていると思うのです。

 山里さんはどちらかというと、コメンテーター向きだと思うのです。コメンテーターであれば、「彼はそんな人ではないと思う」と擁護したり、週刊誌を糾弾しても、個人の意見として受け止められますし、ちょっとクセがあるほうが番組的にはありがたい。しかし、MCが証拠もなくそのようなコメントをしてしまうと、番組自体が偏向しているとみなされ、この番組とMCはヤバいと視聴者からそっぽを向かれてしまうでしょう。もっとも、これは山里さん本人の問題というより、キャスティングする側のミスではないかと思いますが。

「記事の一部を訂正した=誤報、憶測」と解釈したように、山里さんは発想や物事の捉え方が若干極端な傾向があると言えるのではないでしょうか。みなさんの周りにも、敵か味方か、勝ちか負けかというように、物事を二極化して考える人はいると思いますが、このような極端な物の捉え方は「白黒思考」と呼ばれています。

 何言ってるんだ、世の中には敵か味方しかいないだろうと思う方のために説明しますと、世の中には敵と味方以外に「敵でも味方でもない人」というのが存在し、そういう人が大多数だったりします。また、白黒思考を続けていると、攻撃性が高まることがわかっています。自分とは違う意見だったり、追従してくれない人がいた場合、普通の人は「あの人はそういう意見なのね」と受け止めますが、白黒思考の人は「オレの意見に賛成してくれない、つまり敵だから、叩きのめしてやらなければならない」とみなして、攻撃対象にしてしまうからです。

 しかし、こういう“ゆがみ”というのは、芸人さんにとっては大切な個性であり、強みです。山里さんは、2018年12月14日放送の『しくじり先生 俺みたいになるな』(テレビ朝日系)において、山里さんは自身をすぐに他人と比べて嫉妬する性格であることを明かし、相方のしずちゃんこと山崎静代さんが自分よりも注目を集めたことに納得がいかず、映画『フラガール』のオファーが来たときは、話をもみ消そうとするなど、相方を攻撃した過去を明かしています。

 今年の3月25日放送の『山里亮太と平成デトックス』(テレビ朝日系)では、かけだしの頃に、超有名番組に出してやるという名目で、番組スタッフに女性をナンパしてこいと言われ、できないと言うと飲み代を払わされたなどの新人イジメを明かしています。

人を見下す人ほど嫉妬深い

 売れっ子になっても、過去の恨みつらみを隠さない姿が面白いという人もいるのでしょうが、私は山里さんって、実は自己評価が相当高いんだろうなという印象を持ちました。恵まれない人が恵まれた人に向ける感情を嫉妬だと思っている人は多いでしょうが、心理学では、嫉妬とは、自分より下とみなしている人にラッキーが起こったときに抱く感情とされています。

 つまり、人を見下す癖のある人ほど、嫉妬深くなるわけです。加えて、自分は価値ある人間だ、その自分を粗略に扱うなんて許せないという気持ちが強すぎるために、10年以上前の過去の恨みを水に流すことができないのではないでしょうか。

 それはさておき、芸人として売れるためには、芸を磨くだけではなく、強い人や組織に盛り立ててもらうことが必要と言えるでしょう。吉本興業の闇営業問題が明るみになった際、何人かの芸人が会社の在り方に声をあげ、『DayDay』の前の番組、『スッキリ!』のMC加藤浩次さんも、かなり強い口調で批判していました。

 一方、山里さん自身はこの流れにのらず、2019年7月24日放送TBSラジオ『山里亮太の不毛な議論』内で、会社批判をする若手に対し、「きっとウチの会社って、“対・会社感”を出した人をちょっとメモったりするんじゃないかなっていう、几帳面さ、真面目なところがあると思ってる」と会社に報復される可能性を指摘しています。

 会社員でも、正論であったとしても、自分が身を置く会社の批判を経営陣の前で堂々とすれば、居場所がなくなるのは当たり前。山里さんの考え方はまったくもって正しいのですが、この発言からは、世の中の動きにはまるで興味がなく、長いものに巻かれて、自分だけ大成できればそれでいいという保身の強さを感じさせます。

 攻撃力と保身力を武器にスターへの階段を駆け上がった山里さんですが、人を傷つけないことを重視する今の時代、しかも、情報番組ですから、誰かを攻撃することは求められていません。山里さんの十八番、うらみつらみも朝にはふさわしくない話題でしょう。証拠もないのに強い組織や人に肩入れするような態度をとれば、ネット民の反感を買って炎上することは明らかです。

 つまり、朝の情報番組では、山里さんの武器はことごとく使えないため、山里さんの良さが活かせないように見えるのです。明石家さんまさん風に言うと、朝の番組では「個性死んじゃう」のではないでしょうか。

 しかしながら、朝の番組のMCというのは大きな仕事ですから、ぜひ成功させたいと思っていることでしょう。バラエテイ番組では“ゆがみ”をキープして笑いを取りつつ、情報番組ではいかにその“ゆがみ”を取り払って客観的に物事が見られるかが、いまの山里さんには求められていると思います。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」

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