
元保護猫の男の子「アサト」くんは、生後5カ月のとき、飼い主のXユーザー・ゆきのさん(@wakuyukinon)の家族になりました。その出会いは、飼い主さんの夢が実現した瞬間だったといいます。
今から4年前、ひとり暮らしをしていた飼い主さんは「猫と一緒に暮らせる家に引っ越したい」と考え、時間を見つけては家探しをしていました。夢は黒猫を迎えること。特に、足にくるりんと絡まる細くて長い尻尾を持った子に憧れていたといいます。
「実家の猫が長毛種で、ふさふさの立派な尻尾を持っていたんです。そのため、尻尾に特徴のある子がいいなと思うように。また、黒猫はミステリアスでかっこいいイメージがあり、甘えん坊な子が多いと聞いていたので、男の子がいいなとも考えていました」
そんなある日、実家の猫が11歳で虹の橋を渡りました。飼い主さん家族は悲しみに暮れる中、思いがけない出会いが訪れます。
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「母がスポーツジム仲間から『小さな黒猫を保護したのだけれど、お迎えしない?』と声をかけられたのです。それが、アサトくんでした」
保護主さんのおうちには、すでに親子の猫が暮らしていました。子猫とアサトくんの折り合いが悪かったことから、やむを得ず里親さんを探すことになったといいます。
「母猫が何度たしなめても、子猫がアサトのことをいじめてしまって…。そのうち『なんでこの子をかばうの!』と母猫に反発するようになって、親子関係まで悪化してしまったと聞きました」
「お迎えするなら保護猫を」と決めていた飼い主さん。理想を思い描いてはいたものの、「こだわらないようにしよう」と考えていました。ところが、アサトくんはまさにその理想通りの猫だったため、とても驚いたそうです。
「『これは運命では?』と思い、すぐに保護主さんへお迎えしたいと連絡しました。猫と暮らせる物件はすでに見つけていたため、迷わず引っ越しを進めたのです」
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新居が整うまでの2カ月間は実家で預かってもらい、その後アサトくんとの生活がスタートしました。
“噛み癖”に四苦八苦、改善した方法とは
お迎え後、一番大変だったのは“噛み癖”を直すことでした。小さいころに母猫から離れたためか、“甘噛み”の加減を知らず、飼い主さんの腕はすぐに傷だらけになったといいます。
「噛み癖をなおす方法を調べて、ひとつずつ試しました。うちで効果があったのは、噛んだときにコインを入れた缶を振って大きな音を立てること。それから、AI音声認識アシスタント『アレクサ』にオオカミの遠吠えを流してもらう方法も試しました」
アサトくんの気がそれた隙に、飼い主さんはそっと部屋の外へ。ドアを閉め、しばらく戻らないようにしてみたところ、少しずつ噛み癖が改善されたそうです。
「当時は、『何して遊ぶ?』と声をかけただけで激怒され、噛まれることも。『理不尽すぎる!』 と思ったことが何度もありましたね(笑)」
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猫を迎えてガラリと変わった生活
アサトくんを迎えてから、飼い主さんのライフスタイルは大きく変わりました。
「以前は休日になるとよく外出していましたが、アサトくんと暮らし始めてからは月に1回ほどになりました。仕事帰りに遊びに行くのも、数カ月に一度程度。それでも不満に思ったことはありません。アサトくんと過ごす時間が何よりも大切で、日々満たされています」
また、生活のリズムが整ったことも、思いがけない変化だったそうです。
「夜遅くまで起きていると怒られたり、朝は『ご飯!』と起こされたりするので、自然と規則正しく健康的な生活を送るようになりました」
現在4歳を迎えたアサトくん。性格は「甘えん坊の王子様」そのものです。小さいころから抱っこが大好きで、今も抱っこしてもらえないと怒るほど。暑い夏をのぞいて、寝るときは「抱っこして」とせがみます。
「不安になると『鼻チューして』と甘えてくることもあります。健康診断で動物病院に行ったときも、『鼻チューちて!!』と必死に訴えてきて…。あまりのかわいさに悶絶しました。もちろん、すぐに鼻チューしました(笑)。アサトをお迎えして、本当によかったです。以前は、朝起きるたびに『なぜ働かねばならないのか…』と憂鬱に思うこともありましたが、今は『アサトを養うために仕事を頑張るぞ!』と、活力がみなぎってきます」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)