
備蓄米の放出後も一向に下がらないコメの価格。そんななか、トランプ政権は関税をたてにコメの輸入拡大を求めてきました。コメ騒動のさなか、波紋が広がっています。
【写真で見る】「日本のコメに近い」アメリカ・カルローズ米とは
街の食堂は国産米から輸入米に切り替え…客の反応は東京・神田にある和定食のお店。売りは、2日間弱火でじっくり煮込んだ鯖の黒煮定食。柔らかい身に炊きたてのごはんが良く合いますが、そのごはんが大きく変わったのです。
Q.こちらはどちらのお米ですか?
食堂 新 平野新さん
「これはアメリカのカルローズ米です」
以前は国産のコシヒカリを使っていましたが、2024年、アメリカからの輸入米に切り替えました。
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平野新さん
「コメの値段が上がっていく中で、お米屋さんに『日本のコメに近いコメないですか?』と聞いて紹介してもらったのが、この輸入米」
肝心の味はというと…
中西悠理キャスター
「さっぱりしているんですけど、かむと程よい粘りもあって、甘みもちょっと感じますね」
客の反応は…
Q.輸入米を使っているが
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女性客
「全然気がつかなかった」「大盛全然いけちゃうかも知れない」
しかし、ここに来て新たな悩みが。
平野新さん
「もともと(2024年)この輸入米も(1キロ)200円台の中盤だったんですけど、今は倍以上の(1キロ)580円まで上がってきてしまっている」
輸入米も需要が増え、値上がりしているのです。コメの輸入が拡大されれば、価格が下がる期待も。
平野新さん
「輸入米がいろいろな形で増えてくるのでは。それで全体の(コメの)価格が落ち着いてくると嬉しい」
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米騒動が収束する気配を見せないなか、揺さぶりをかけてきたのがアメリカのトランプ大統領です。
アメリカ・トランプ大統領(4月2日)
「友である日本はコメに700%の関税をかけている。我々にコメを売ってほしくないからだ」
16日の日米交渉では、牛肉やジャガイモとともに、コメの輸入拡大も取り上げられたといいます。
しかし、コメは日本の農産物のなかでも“聖域”。いまから30年以上前、アメリカが市場開放を迫ってきたときには、農業関係者が国会の敷地に侵入してデモを行う事態に発展しました。
農業関係者(1993年12月)
「いままで百姓は黙っていた。だけど俺たちは黙っていない。もう黙っちゃいない」
当時の宮沢総理はクリントン大統領に、こう訴えたといいます。
宮沢総理(1993年4月・日米首脳会談)
「5年間にわたって選挙に負け続けてしまう」
結局、政府は“ミニマムアクセス”といわれる最低輸入量の受け入れを決定。現在、外国産のコメを年間77万トンだけ、関税なしで輸入しています。
そして今回、トランプ政権の要求を受け、アメリカ産の輸入を6万トンほど増やす案が浮上しているのです。
「日本人が食べるものがアメリカに右往左往される」 農家の訴え千葉県で50年以上、コメ作りを続けてきた伊藤秀雄さん(74)。トランプ政権の要求を受け、コメの輸入を増やす案が浮上していることに対し…
Q.輸入の枠の拡大を検討しているが
コメ農家 伊藤秀雄さん(74)
「何で日本の農地を休ませて、アメリカからコメ買わなきゃいけないの?」
「国内のコメの生産力を回復させることこそ先決だ」と指摘し、そもそもコメ作りでは、農家の生計が立ちゆかないと訴えます。
伊藤秀雄さん
「24年間で110万戸の農家が消えた。農家が飯を食っていけるだけの、国家の安全保障としての政策をやるべき。日本人が食べるものがアメリカに右往左往されるんだよ、今度。どんどんどんどん。日本はダメになっちゃうよ」
コメ騒動に追い打ちをかけるトランプ関税。“日本の食”をいかに守るか、問われています。