※写真はイメージです 移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
今回は、マナーの悪さに“不快感”だけが残ったという2人のエピソードを紹介する。
◆「チッ」隣から何度も繰り返された舌打ち
仕事を終え、普段通りに満員電車に乗り込んだ内田栞奈さん(仮名・20代)。乗り換え駅まであと数分のときだった……。
「チッ」
すぐ隣から舌打ちが聞こえてきたという。
「まさか自分へ向けたものだとは考えもしませんでした」
「チッ」
再び舌打ちをされたため、内田さんは“なにごとか”と思った。辺りを見わたすと、隣に立っていた女性が内田さんを睨みつけていた。
女性は片手にスマートフォンを持ち、もう片方の手で吊り革を握っていた。
「なにをしてしまったのか……。まったく心当たりがなかったので驚きました。車内は混雑しているので、少しはぶつかることもあるかもしれませんが、どう考えても“舌打ちをされる”理由がわからなかったんです」
ほんの数分が永遠のように感じられたそうだ。
「満員電車は誰もがイライラしている状態ですし、肘が当たったりカバンが食い込んだりすることもあります。でも、それはお互い様ですよね」
◆何に対して怒っているの?
悶々としていると、隣の女性は再び睨みながら舌打ちをしてきたという。
「はじめは舌打ちに対して、緊張感と焦りから不安な気持ちでした。でも、私にわざと聞こえるようにイライラをぶつけてくるその女性に、だんだんムカついてきました」
ただし、ここで同様の態度をとり対抗することは、労力の無駄遣いであり、ストレスが溜まるだけだろうと内田さんは考えた。
結局、ムカつきながらも降車するまで耐え続けた。
「満員電車からようやく解放されても、この出来事が今でも忘れられません」
◆おじさんの“ある行動”にムカついた
伊藤直哉さん(仮名・20代)は、毎日地下鉄で通勤しているのだが、乗客の“ある行動”にムカついたという。
「カバンの持ち方にムカついたんですよね。最近は40〜50代の人も“リュック”を持つ人が増えていますけど、電車に乗ってくるほとんどの“おじさん”は、リュックに背負ったままなんです」
伊藤さんが乗車する最寄り駅は始発から3番目の駅のため、基本的には座れるそうだ。この日も座れたのだが……。
「電車が混みあってくると、私と向かい合うように立っていた人が、流れで回転したりして最終的には、私に背中を向けるような状態になることもあります」
たまたまリュックを背負っている人がおり、伊藤さんの顔はリュックで押される状況になった。
「その人の感覚としてはリュックの存在に意識がなかったんでしょう。まったく気づいていませんでした」
◆カバンを押し返した結果…
はじめは我慢をしていた伊藤さんだったが、遠慮なしにどんどん押してくる様子に腹が立ってきたという。
「思い切って押し返してみたんです……。そしたら混雑の流れで押されたと思ったみたいで、体勢を維持しようと余計に押し返してきたんです」
さらには、地下鉄の混雑がピークに達し、踏ん張ることができない状態になると伊藤さんにのけ反るようなかたちでもたれかかってきたそうだ。
「さすがに注意しようと思いましたが、必死に我慢しました。そして、降車駅につくとなにごともなかったように降りていきました」
伊藤さんは、「混雑する電車内では、リュックは前に持つという“暗黙のルール”は守ってほしい」と訴えた。
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。